台湾・台東県の緑島 熱帯魚が群れをなして泳ぐ、サンゴ礁の島

リフレッシュ! 極上旅

緑島は台東市から約33km。人口は約3000人。主な産業は観光業で、4月~9月のハイシーズンには多くの人が訪れる

 台湾・台東県の旅で最後に向かったのは、サンゴ礁に囲まれた緑島。この島はダイビングスポットとして、そして、風光明媚めいびな観光地として知られています。にぎやかな台東市から船で約1時間。そこには、青い海と緑が織りなす美しい南国の風景が広がっていました。

かつては流刑地、今はリゾートアイランド

 台東市の富岡港から船に乗ること約1時間。「ものすごく揺れる」と聞き、覚悟はしていたものの、終始ジェットコースターのような揺れに、はるか遠くまで来たような気分で緑島に到着しました。大揺れすることは周知のはずなのに、船内が観光客でほぼ満席だったことからも、この島の人気ぶりがうかがえます。

 日本統治時代(1895~1945年)には「火燒島」と呼ばれていたこの島は、火山の噴火によってできた島。噴火と海水の浸食によって生まれた景勝地が点在しています。

 そんな南国リゾートの雰囲気に満ちた緑島も、かつては流刑地だった時代がありました。1949年から38年間は、政治犯と思想犯の収容所が置かれた「監獄の島」だったのです。ちなみに、その頃に政治犯として緑島に送られ、今は政治家として大活躍している人は少なくありません。

 島は一周約20km。島内の移動手段は、1日数便の周遊バス(ハイシーズンのみ)や自転車、バイクとなります。ただ、坂があまりにも多くて自転車はハードなので、島内に点在する見どころを自由に見てまわるのなら、バイクが断然便利です。私はバッテリーで走る電動スクーターをレンタルしました。ペーパードライバーゆえ運転に不安もありましたが、動作は簡単だし、大自然の中の一本道をひたすら走るのは爽快!

島内の移動はレンタルバイクが便利。電動バイク以外は、レンタルには、パスポートと日本の小型自動二輪以上の運転免許証と中国語の翻訳文(JAFで入手可)が必要

 絶景スポットのひとつが「海參坪」。犬が伏せているように見える「哈巴狗」、美人の寝姿に見えるという「睡美人」と呼ばれる奇岩を一望できます。ここは遠景もさることながら、植物がワサワサと生えている遊歩道も、南国気分を味わわせてくれました。

緑の中の遊歩道を歩いて、絶景スポット「海參坪」へ
「海參坪」。左に見えるのが伏せた犬、右に見えるのが眠る美女

 でもやっぱり、一番心がかれたのは、海の美しさ。真っ白なビーチに座って、打ち寄せる透明の波を見ているだけで、心が落ち着きます。

 その海を満喫できたのが、シュノーケリング。ビーチからほんの少し沖に出ただけで、熱帯魚水族館さながらの海中の光景が見られるのです。色とりどりの魚が悠々と泳ぐ様はあまりにも非現実的で、まるで夢を見ているかのよう。

海の透明度には目を見張るほど。手つかずの自然と貴重な生態系が息づく島は、「国家風景区」に指定されている

 緑島のシュノーケリングは、インストラクターが持つロープにつながれた浮輪に数人がつかまり、一列になって海中をのぞくスタイルが主流です。スキューバダイビングのようにライフジャケットとウェットスーツも着用します。これは、速い潮流に対する安全策と、サンゴ礁や岩から体を保護するため。自由には泳げませんが、泳ぎに自信がなくても安心だし、なによりラクチンです。

 ちょっと海に入っただけで、これだけの熱帯魚とサンゴ礁が見られるなんて。次回はスキューバダイビングを目的に緑島を訪れたいと思っています。

台湾で最初に日が昇る朝日温泉で朝風呂!

 緑島で絶対に行きたいと思っていたのが、島の北部にある「朝日温泉」です。台湾で最初に日が昇るところとして知られています。

 ご来光を拝んだ後は、朝日を浴びながら朝風呂としゃれこもうと、この温泉に一番近い民宿に宿泊。暗いうちにバイクを走らせ、日の出30分前に「朝日温泉」に隣接する展望台に到着すると、すでにそのときを待つ旅行者が何人かいました。

 雲の合間にオレンジ色の太陽が見え始めると、海の青と混ざり合い、一帯は幻想的な雰囲気に。目の前を遮るものは一切なく、バーン!と開けた風景に引き込まれそうになります。

朝日温泉の隣はご来光スポット。年始は初日の出を拝む人でかなり混み合うのだそう

 朝日が昇ったら、楽しみにしていた温泉へ。台湾の温泉は、水着着用、男女混浴が一般的で、家族やカップルで入ることができます。「朝日温泉」も、早朝からにぎやか。日本の温泉とはずいぶん雰囲気が異なりますが、ファミリーが会話を楽しみながら温泉を楽しんでいる光景に、ほのぼのとした気分になります。

日本統治時代には「旭温泉」と呼ばれ、後に改名。太陽が昇る方角に向いていることから、同音の字を用い、「朝日温泉」と名付けられた

 お湯に入ってみると、ちょっとしょっぱい。それもそのはず、源泉はサンゴ礁の広がる海の中にあります。地底に染み込んだ海水や地下水がマグマの熱で温められ、それが硫黄泉となって湧き出ているのです。

 日本の温泉施設に比べると設備は簡素ですが、シャワーや更衣室も完備しています。こんなに気持ちのいい朝風呂は、早起きしてでも行く価値大です。

90度に達する源泉で作る温泉卵を発見。天然の塩味が利いていて、プチ朝食にぴったり

 緑島は、決して豪華なホテルが立ち並ぶリゾートアイランドではありません。その代わりにあるのは、熱帯魚が泳ぐ海や、豊かな緑、絶景の朝風呂、そして素朴な島の人々。民宿に泊まって、雄大な自然のなかをバイクで走り、マリンスポーツをするのがなにより楽しい、居心地のいい島でした。

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芹澤和美
芹澤和美(せりざわ・かずみ)
旅行ライター

 編集職を経て、1996年、中国・上海へ短期留学。帰国後、フリーランスの旅行ライターとして活動。主なフィールドは、98年から通い続けているマカオや、中国語圏、アジア、中米、南アフリカ。主に、旅行雑誌やカード会員誌、機内誌、新聞などで国内外の旅行記事や紀行文を掲載。著書に『マカオノスタルジック紀行』(双葉社)。

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