メルボルンの近郊にあるモーニントン半島は、1870年代から保養地として愛されてきたエリア。そこには、都会の近くにあるとは思えないほどの雄大な自然が広がっています。洗練された都市の風景だけでなく、ちょっと足を延ばせば、美しい海や山の緑に出会えるのも、メルボルンを旅したい理由のひとつ。オーストラリアならではの大自然を満喫しました。
モーニントン半島には絶景がいっぱい!
メルボルンから車を1時間ほど走らせると、緑の牧草地やワイン畑、オリーブ畑が広がる丘陵地が見えてきます。メルボルンの人たちは休日になるとモーニントン半島まで足を延ばし、海を望むオリーブ畑の散策や、温泉、果樹園、ワイナリーへの訪問を楽しんでいるのだそう。日帰りでもたっぷり遊べるので、メルボルンを訪れる旅行者も気軽に足を延ばせます。
モーニントン半島きっての絶景スポットが、ケーブルカーの「イーグル」。ゴンドラには窓ガラスがなく、視界を遮るものは一切ありません。眼下には、真っ青なポートフィリップ湾と豊かな緑がコントラストを描く、見事な風景が広がっています。

半島の突端に位置するソレントまで行けば、透明度の高い海と、真っ白な砂浜に迎えられます。ここはメルボルンに先立ち、1802年にビクトリア州で最初にヨーロッパ人の入植地ができたエリア。古くから富裕層の保養地として栄えた場所でもあり、趣ある歴史的建造物が数多く残されています。当時の面影を残す海辺に流れるのは、ゆったりとした時間。海で泳がなくても、カフェやブティックが並ぶ小さな街をそぞろ歩いたり、ビーチでぼーっとしたりするだけでも、心が癒されます。

メルボルン市内に戻る途中にも、見逃せない絶景ポイントがあります。それは、ブライトンビーチ。弓なりのビーチにカラフルな小屋がずらりと並び、その向こうに高層ビル群が見える光景は圧巻です。

ブライトンビーチに小屋が登場したのは1860年頃のこと。なんと150年以上の歴史があるのです。もともとは海水浴客が水着に着替えたり休憩したりするために作られましたが、現在はほとんどの小屋が個人所有で、持ち主は別荘感覚で利用しています。ちなみに、一帯はメルボルンでも屈指の高級住宅街。小屋には電気や水道が完備されていないにも関わらず、販売価格は日本円にして3000万円以上を記録したこともあるのだとか。
ワインとガーデンランチ、オススメのスポット
モーニントン半島は、ヤラバレーと並ぶビクトリア州を代表するワインの産地。「セラードア」と呼ばれる試飲ができるワイナリーが50軒ほどあります。そのほとんどが、ブティックワイナリーと呼ばれる小規模のもの。多くが家族経営で、伝統を受け継ぎながら上質なワインを作り続けています。
私が訪れたのは、「ポイント・レオ・エステート」。テイスティングができる建物の窓の外は一面、彫刻作品が置かれた庭と海。開放的で気持ちのいいワイナリーです。

広大な庭にある約3キロ・メートルの遊歩道を歩いて絶景を楽しんだ後、さっそくワインをテイスティング。同じシャルドネでも生産された年が違うと個性がはっきりと異なるのが面白く、つい真剣に試飲してしまいます。ワインに熟知したスタッフもフレンドリーで、テイスティングというよりは、バーカウンターで飲んでいるような気分で楽しめました。
この日のランチは、「モンタルト・ヴィンヤード」へ。このワイナリーには、ブドウ畑とオリーブ畑を見渡す気持ちのいいガーデンカフェレストランがあり、週末になるとランチ目当てにたくさんの人がメルボルンからやって来ます。

自家製オリーブオイルをたっぷりとかけた焼きチーズや、肉、魚、釜焼きピザ……と、メニューは豊富。パテやチーズ、サラダ、スモークサーモン、ローストビーフ、フムス(ひよこ豆のペーストに練りゴマ、にんにくなどを混ぜてオリーブオイルをかけた料理)、焼き立てチャパタ(パン)などを詰めたランチバスケットをオーダーして、庭でピクニックしている家族連れもたくさん見かけました。
上質なブドウを育てる土壌は、おいしいオリーブも育みます。このワイナリーで作っているオリーブオイルを何種類かテイスティングしましたが、どれも絶品でした。ランチやオリーブオイルのテイスティングもできるこんなワイナリーなら、ワインを飲めないドライバーも退屈しないはず。全員でワインを楽しむのなら、タクシーをチャーターするのがおすすめです。
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