メルボルンから約1時間 ワインの郷ヤラバレーへ!

リフレッシュ! 極上旅

 目の前に広がる一面のブドウ畑と、その向こうに幾重にも連なる丘陵。そんな絵ハガキのような美しい風景が広がっているのが、ヤラバレーです。一帯はオーストラリア屈指のワイン産地として知られ、たくさんのワイナリーが点在しています。メルボルンの中心地から車で約1時間。旅の一日はヤラバレーまで足を延ばして、ワインざんまいの時間をたっぷり楽しみました。

味と風景に酔いしれる、名門ワイナリー

 華やかなシャルドネに軽やかなピノノワール。メルボルンのワインはおいしくて、食事のたびに「今日はどのワインにしようかな」とワクワクします。ワイン好きなメルボルンの人たちが頻繁に足を運ぶのが、郊外にあるヤラバレー。80軒以上のワイナリーが品質と個性を競い合う、オーストラリア有数のワインのさとです。

ヤラバレーでワイン作りが始まったのは1838年。冷涼な気候と上質な土壌が、ワインに適したブドウを育てている

 「ブティックワイナリー」と呼ばれる家族経営の小さなところから、海外に輸出している有名どころまで、その規模やスタイルはさまざま。個性豊かなワイナリーを訪ね回ってテイスティングを楽しむのが、ヤラバレーの醍醐味だいごみです。

ブドウ畑を眺めながらワインと食事が楽しめるグリーンポイント。テイスティングルームでは試飲ができる

 「大人の遠足」気分で出かけたヤラバレー。まずは正統派のスパークリングワインを求めて、「ドメイン・シャンドン」へ。ここはフランスの名だたるシャンパンのメーカー、「モエ・エ・シャンドン」が自国以外に設立した4軒のワイナリーのひとつ。フランスのシャンパーニュ地方と同じ環境、同じ工程でスパークリングワインが作られています。

テイスティングは、7種類を試せるコース(12オーストラリアドル)と、個室でおすすめのセレクションを試すコース(20オーストラリアドル)がある。ワインを買えば、試飲代の6ドルがディスカウントに

 試飲したのは4種類。長く続くきめ細やかな泡は、シャンパンのイメージそのもの。テイスティング中、スタッフがブドウの品種や工程の説明に加え、「食後、チョコレートとともに、この赤のスパークリングをぜひ合わせてみて」「これは蜂蜜のような香りがして、ブルーチーズとの相性が抜群」と、料理とのマッチングも教えてくれました。

産地呼称ゆえ「シャンパン」とは呼べないけれど、長く続くきめ細やかな泡は、シャンパンそのもの

 テイスティングの後半は、ブドウ畑を眺めるテラスに移動。遠くで聞こえる野鳥の声と緑の香り、爽やかな風が、いっそうワインをおいしく感じさせます。ああ、なんて贅沢ぜいたく! 名門のワインが生まれる場所だということを抜きにしても、その開放的な環境に、すっかり心がほぐれてしまいました。

絶品ランチと気鋭のクラフトジンを堪能

 ヤラバレーを訪ねる楽しみは、ワインだけではありません。ワイナリーに併設されたレストランもまた、クオリティーが高く、期待大。併設といっても、けっしてオマケ的なものではなく、味は本格的。ワイナリーのレストランが味を競う大会もあって、シェフたちは日々、研鑽けんさんを積んでいるといいます。

 「オークリッジ」は、手摘み収穫やフレンチオークたるでの熟成といった、伝統的なワイン作りを続けるワイナリー。ここはワインもさることながら、食事目当てで訪れる人たちでにぎわっています。

 自家菜園で育てた野菜やフルーツをはじめ、地元生産者が手がける食材をみごとな料理に仕立てているのは、若きシェフ。カンガルー肉とサンダルウッドナッツをあわせた前菜や、乾燥熟成かも肉と桃を使ったメインディッシュなど、メニューを読んだだけでは想像できないクリエイティブな料理が、テーブルに運ばれてきます。

自家菜園の野菜や地元食材を使った料理は、この地で生まれたワインと相性抜群

 ワインをたっぷりと楽しんだ後の締めくくりは、ジンのテイスティングへ。ヤラバレーで今、ワインに劣らず注目を集めているのが「フォー・ピラーズ・ジン」。2013年に誕生したクラフトジンの蒸留所です。ヤラバレーはワインの印象があまりにも強く、ジンが飲めるのはちょっと意外でしたが、こちらのスタッフいわく、「ヤラバレーの水はとてもマイルド。こんなに素晴らしい水はほかの場所にはないよ!」。

 伝統的なジンは原料にジュニパーベリー(ハーブの一種)を使いますが、ここではオーストラリア固有の植物であるユーカリをベースにしたり、ハーブやスパイスをブレンドさせたりなど、ユニークな素材を使っています。

「フォー・ピラーズ・ジン」の小さな蒸留施設。いろいろな素材をブレンドしたユニークなジンがここで生まれる

 蒸留所に併設されたバーでは、10オーストラリアドルで3種類のジンが試飲可能です。ブレンドによって、桃のような香りがしたり、かんきつ類のように爽やかだったり。テイストがはっきりと異なるので、ウンチクを知らなくても、飲み比べが楽しい! フィンガーフードもあって、テイスティングにとどまらない、バーでお酒を味わう心地よさも覚えました。

 ワインとジンを楽しんだヤラバレー。どんなに小規模な作り手でも、徹底的に味を追求している情熱的な姿が印象的でした。メルボルンっ子は、「あのワイナリーの今年のピノノワールがおいしかった!」と、自分のとっておきの一本を見つけるのが得意なのだとか。ヤラバレーを訪れて、ワインがますます好きになり、ジンがとても身近なものになりました。

ドメイン・シャンドン

オークリッジ

フォー・ピラーズ・ジン

【オススメの関連記事】

メルボルンはカフェ天国! 腕利きバリスタの味を旅先で楽しむ

中心部だけでもこんなに遊べる! メルボルンの「街の今」を満喫

「世界で最も住みやすい都市」魅力いっぱいメルボルン

芹澤和美
芹澤和美(せりざわ・かずみ)
旅行ライター

 編集職を経て、1996年、中国・上海へ短期留学。帰国後、フリーランスの旅行ライターとして活動。主なフィールドは、98年から通い続けているマカオや、中国語圏、アジア、中米、南アフリカ。主に、旅行雑誌やカード会員誌、機内誌、新聞などで国内外の旅行記事や紀行文を掲載。著書に『マカオノスタルジック紀行』(双葉社)。

JOURNAL HOUSE