初めて訪れる外国の都会は、どこから歩こうか迷ってしまうもの。メルボルンでは、まずは「CBD(セントラル・ビジネス・ディストリクト)」と呼ばれる中心部から街歩きを始めるのがおすすめ。南北約1キロ、東西約2キロの範囲内に見どころが点在していて、1日いても飽きることがありません。
トラムに乗って、美しくも機能的な「CBD」を散策
碁盤の目のようになっているCBDは、地図を片手に歩くのもよし、路面電車のトラムに乗るのもよし。路面電車は頻繁にやってくるし、駅と駅の間隔が短いので、「場所が分からなくて乗り過ごしちゃった!」となっても慌てることがありません。さらに、CBDと隣接するドックランド地区内は、路面電車が無料で利用可能。地下鉄のようにホームに行くまでの時間もかからず、チケットの買い方に悩まされることもない、気楽に使える交通機関は、初めての旅先での緊張感も軽減してくれます。

街歩きの起点となるのは「フリンダース・ストリート駅」。1854年完成のクラシカルな駅舎はドーム形の美しい屋根を持ち、その堂々たる姿で近代的な街並みを見守っています。アーチ形の玄関の上部に並ぶのは、九つのアナログ時計。それぞれ、駅を発車する各路線の出発時刻を表しています。電子掲示板に置き換える計画もありましたが、市民から大反対され、今でも現役で使われているのだそう。この時計の下は、メルボルンっ子の待ち合わせスポットにもなっています。

この駅と道路を挟んだ向かいにある「セント・ポール大聖堂」をはじめ、「メルボルン市庁舎」や「州議事堂」など、CBD内には美しく貴重な19~20世紀の建築物が点在しています。

なかでも圧倒されたのが、「ビクトリア州立図書館」。神殿のような外観の入り口から館内に入ると、まるで美術館や宮殿の広間のような景観が広がっていました。中央部が吹き抜けになっていて、1階には放射線状に机が並んでいます。入り口にはセキュリティーゲートがありますが、誰でも入館が可能です。1854年建築のオーストラリア最古の図書館は、建物そのものに歴史的価値があり、見学を目的に訪れる人もいますが、ここはあくまでも読書をするための場所。アカデミックで凜とした、文化施設らしい空間が保たれていました。
表通りから裏道に入り込めば、さらに発見が!
CBDを楽しむならぜひ歩いてみたいスポットが、「レーンウェイ」と呼ばれる小径。19世紀に荷馬車が通りやすいように整備された表通りは碁盤の目状になっていますが、一歩レーンに入れば、曲がりくねった道沿いに、自由気ままで、独特の雰囲気が息づいています。なかには流行をリードするショップや人気カフェもあって、思いがけずステキなお店を発見することも。
ストリートアートで知られるのは、フリンダース・ストリート駅のほど近くにある「ホージアレーン」。道沿いの建物の壁は、色とりどりのアートが施されていて、それらは日々、上描きされています。制作途中のアーティストに出会うことも珍しくありません。

クラシカルなアーケードも一見の価値あり。表通りからアーチをくぐると、ヨーロッパの空間が広がっているのは、1892年に開業した「ブロック・アーケード」。アーチ形の天井といい、モザイク画が施された大理石の床といい、現代の一般的なショッピングアーケードとは比べものにならないほど優雅です。
高級店が多いブロック・アーケードに対し、庶民派の店が連なっているのは、「ロイヤル・アーケード」。1870年開業に開業した、市内最古の老舗です。2002年に大改装されていますが、ドーム形の天井も、ルネサンス様式の内装もいまだ健在。カフェや有名なチョコレート専門店などがあって、地元っ子で賑わっていました。

街を歩いて、ランチをして、カフェでのんびり休んでも、まだまだ時間はたっぷり。ぶらりと散策できるCBDは、毎度、地図を読めない(読まない)私でも歩きやすい場所でした。
街歩きを考えると、ホテルはCBD内に取るのをオススメします。私がこの旅で泊まったのは、中心部にある「QTメルボルン」。アートギャラリー風のインテリアが至るところにあしらわれていて、遊び心を感じるデザイナーズホテルです。スタッフの服装も個性的。ともすれば“とんがり系”のホテルかと思いきや、スタッフはみな、とてもフレンドリーで、リクエストにはテキパキと対応してくれました。
13階のルーフトップバーや併設のレストランも大人気。「街の今」を存分に感じることができるホテルに滞在したおかげで、旅の気分もいっそう盛り上がりました。
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