まるでファンタジー! 桃の花が咲き乱れる華麗な桃源郷、阿智村へ

リフレッシュ! 極上旅

 「日本一の星空」で知られる長野県阿智あち村。目下、冬の間だけ登場する星空体験型エンターテインメントパーク「天空の楽園 Winter Night Tour STARS BY NAKED」が話題を集めています。このイベントは3月31日(土)で終了しますが、その後も、まだまだ楽しみは尽きません。春を迎えると、阿智村一帯に約1万本の花桃はなももが咲き乱れ、ピンク色のグラデーションに染まるのです。

3色の花桃が咲き誇る春の里山を散策

 一面の桃の花を眺めながら里山を散策する――。想像しただけでワクワクするようなシーンを体験できるのは、春の阿智村。4月中旬から5月中旬にかけて花桃が満開となり、桃源郷のような景色へと誘われます。

 花桃は、観賞用の桃のこと。花の形は桜や梅にも似ていますが、花びらが幾重にも重なっているので、雰囲気はより華やか。江戸時代にはすでに品種改良が行われていたというから、昔から日本人に愛されてきたのでしょう。

花桃の里。ピンクのグラデーションが圧巻!

 花桃の色は、ピンクや赤、白。阿智村で主に見られるのは、1本の枝から3色の花が咲く「三色花桃」という品種です。ピンク、赤、白の花が次々と咲き乱れる風景は、とてもゴージャス。桜のように数日で散ってしまうことはなく、2週間ほど見頃が続くのも特徴となっています。

 阿智村には、はなもも街道、月川温泉郷、昼神温泉郷の三つの花桃スポットがあります。はなもも街道は、伊那谷から木曽谷を結ぶ国道256号沿いの約40キロにわたるエリア。シーズンにはドライブコースとしてにぎわいます。

川底まで透き通った阿智川や緑豊かな山々、青空に映えるピンクの花桃が美しい

 もちろん、車がなくても花桃は楽しめます。阿智村の昼神温泉郷と月川温泉郷で、散策しながらのんびりとお花見するのも、風情あり。先に満開を迎えるのは、標高750~1000メートルにある月川温泉郷です。約4キロの道に約5000本の花桃が咲き乱れることから、「花桃の里」とも呼ばれています。

 月川温泉郷に1週間ほど遅れて満開を迎えるのは、昼神温泉郷。川底まで透き通って見える美しい阿智川と、頭上に咲く花桃、かなたに山並みが見える風景は、とてもフォトジェニックで、カメラが手放せません。

訪れる人を優しく迎える、村全体で大切に育てた花桃の樹

 阿智村の花桃にはヒストリーがあります。1922(大正11)年、木曽川を開発した電力会社の社長がドイツのミュンヘンに行った際、庭に咲いていた3色の花桃の美しさに感動して3本の苗を購入。地元に帰って発電所の庭に植えたのが始まりといわれています。ちなみに、この社長の名前は福沢桃介さんといって、福沢諭吉の娘婿に当たるのだそうです。

 時を経て1974(昭和49)年頃、阿智村に嫁いだ大村トメさんという女性が、嫁入り道具の一つとして花桃の苗をもたらしたことをきっかけに、地域の人々の間に花桃の栽培が広まりました。

 その後、「人も少なく殺風景な山里に嫁いでくれたお嫁さんたちの励みにしたい」と、月川温泉の旅館の社長が、温泉郷一帯に花桃の植栽を始め、村は一挙に花桃ブームに。阿智村全体に1万本の木が植えられ、「日本一の桃源郷」となったのです。そんなエピソードにも、この村の人たちがどれだけ花桃を愛し、大切にしているかがうかがえます。

3色の花桃が咲き誇る、日本一の桃源郷

 月川温泉郷の「花桃まつり」は、今年は4月中旬~5月上旬に開催予定。昼神温泉から会場まで、1日2便のシャトルバス(往復1000円)も運行します。

色鮮やかな花桃

 満開の花の道を歩きながら、地元で愛される花桃の香りをかげば、幸せな気分に包まれそう。桜が終わった後、花桃を見に阿智村へ行く。暖かくなったら、そんなステキな旅をしてみたいものです。

阿智☆昼神観光局

花桃の里(長野県阿智村)

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芹澤和美
芹澤和美(せりざわ・かずみ)
旅行ライター

 編集職を経て、1996年、中国・上海へ短期留学。帰国後、フリーランスの旅行ライターとして活動。主なフィールドは、98年から通い続けているマカオや、中国語圏、アジア、中米、南アフリカ。主に、旅行雑誌やカード会員誌、機内誌、新聞などで国内外の旅行記事や紀行文を掲載。著書に『マカオノスタルジック紀行』(双葉社)。

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