日本一星空がきれいな村、阿智村で楽しむ真冬の旅

リフレッシュ! 極上旅

 寒さが一段と厳しいこの頃。春になったら旅に出よう……なんて思っていたらもったいない! ウィンタースポーツや温泉以外にも、この時期しか楽しめないスペシャルな旅がたくさんあります。訪ねたのは長野県の阿智あち村。そこには、日本一の星空がありました。

冬の間だけ登場する、星空体験型エンターテインメント

 この旅の目的地は、南信州にある阿智村。人口約6500人の小さな村ですが、川底まで透き通って見える阿智川や四方を囲む緑豊かな山々、高原リゾート、泉質に優れた昼神温泉など、たくさんの宝物を持っている場所です。

 ここでしか体験できないものといえば、美しい星空。阿智村は、環境省が2006年に実施した全国星空継続観察で、「全国で星が最も輝いて見える場所」に認定された「日本一星空がきれいな村」でもあるのです。

 この村で美しい星空が見える理由は、適度な高度と、澄んだ空気、山々に囲まれた環境だと言われています。星空観察の舞台は、富士見台高原。夏は標高約1400mの山頂で、星を見る人々でにぎわいます。

日本一星空がきれいな阿智村。凜(りん)とした空気に包まれる冬の星空も美しい

 冬だけの楽しみといえば、「天空の楽園 Winter Night Tour STARS BY NAKED」というイベント。富士見台高原ロープウェー「ヘブンスそのはら」に、日本一の星空と光と映像がコラボする幻想的な空間が登場します。

 テーマは星と宇宙。「スペースコロニー」と名付けられたエリアの中には、実際の宇宙に限りなく近いプラネタリウムや、太陽系の惑星が映し出されるデジタルアートなど、さまざまな仕掛けがなされています。

 「スペースコロニー」へ足を踏み入れ、まず目にしたのは、「これは現実の世界?」と疑ってしまうほどファンタジックな光景。中央にある広場では、最新のテクノロジーを駆使した光のショーが始まっていました。闇夜に浮かんだ星空の映像と宇宙の誕生にまつわるナレーションで構成されるショーに、別世界へと誘われます。

「スペースコロニー」の中央では、特殊な人口知能を持つスペースコクーンとナレーションによるショーが

 ショーの終盤、カウントダウンが始まると、会場のあかりが消えて真っ暗に。空を見上げると満天の星……という演出にも、ドキドキさせられました。私は運よく満天の星に出会えましたが、その確率は3割といい、こればかりは運まかせ。曇天や雨天時は、プロジェクションマッピングによる星空が公開されています。最新テクノロジーが作り出す星空は、本物の星とはまた違った美しさがあることでしょう。

宇宙や星空を目の前で感じる不思議な体験

 星空や映像演出にも目が奪われますが、体験型のコンテンツこそ、「天空の楽園 Winter Night Tour STARS by NAKED」の醍醐味だいごみ。惑星が映し出された画面に触れるとインフォメーションが飛び出すデジタルアート「PLANET VIEW」や、本格的な望遠鏡を覗いて星を観測できる「ASTRONOMICAL TELESCOPE」など、見て触って楽しめる演出が充実しています。

冷えた身体は「ACHI BASE」のバーで温めて。ここにも目を奪われるさまざまな仕掛けが

 正直、私はテクノロジーやインタラクティブアートといったものにかなり疎く、「楽しめるかなあ(ついていけるかなあ)」と心配していましたが、気がつけば夢中になっているほど。遠い宇宙や星空が間近に感じられる、斬新な経験でした。人の手で作り出されるデジタルアートは決して自然と相反するものではなく、ともに輝けるものなのだと実感。

 「スペースコロニー」の後に向かったのは、昼神温泉郷にある「ACHI BASE」。飲食店と観光案内所を兼ねていて、昼はカフェ、夜はバーとして営業しています。私が訪ねた夜は空間やテーブルに星空の演出がなされ、再び夜空の下に舞い戻った気分でお酒を楽しみました。

「ACHI BASE」のテーブルやカウンターにグラスを置くと、星をテーマにしたプロジェクションマッピングが展開

 冬季限定のイベントとして2016年に始まった「天空の楽園Winter Night Tour STARS BY NAKED」。今季は3月31日(土)まで開催されています。東京のJR新宿駅から上諏訪駅へ特急で約1時間半、上諏訪駅から阿智村の宿泊施設が集まる昼神温泉郷までバス(阿智★昼神バス諏訪便)で約2時間半。都心からは少し距離がありますが、美しい星と夢見心地の世界に、心が癒やされるはずです。

天空の楽園 Winter Night Tour STARS BY NAKED

阿智★昼神バス

芹澤和美
芹澤和美(せりざわ・かずみ)
旅行ライター

 編集職を経て、1996年、中国・上海へ短期留学。帰国後、フリーランスの旅行ライターとして活動。主なフィールドは、98年から通い続けているマカオや、中国語圏、アジア、中米、南アフリカ。主に、旅行雑誌やカード会員誌、機内誌、新聞などで国内外の旅行記事や紀行文を掲載。著書に『マカオノスタルジック紀行』(双葉社)。

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