150年の時を刻み、美しく輝き続ける神戸

リフレッシュ! 極上旅

神戸のシンボルでもある、ウオーターフロントの風景

 2017年に開港150年を迎えた神戸。海と山と都会が隣り合わせにあり、季節ごとに美しい風景を見せています。歴史に育まれた文化がぎゅっと凝縮している街だからこそ、驚きや発見もたくさん。冬のりんとした空気が気持ちよい港町を、ぶらりと散策しました。

潮風を感じながら、海岸通りを散策

 神戸が開港したのは1868年。以来、外国人貿易商によってさまざまな欧米文化が持ち込まれ、神戸には異国情緒ただよう独特の風景が生まれました。それから150年。当時の面影がちらほらと残る神戸港界隈は、歴史と美しい風景を一度に堪能できる、絶好の散策スポットとなっています。

 神戸港にあるメリケンパークからスタートして、まずは海岸通りへ。通りのすぐ北側に広がるのは、旧外国人居留地です。居留地というのは、貿易を行うために外国人が居住を認められたエリアのこと。広々とした車道や街路樹のある歩道、レンガ造りの下水道施設が設けられた一帯は、「東洋一美しい居留地」とたたえられていたのだそう。

 ひときわ目を引いたのが、「商船三井ビルディング」。1922(大正11)年に竣工しゅんこうされた瀟洒しょうしゃな建物です。その美しさだけでなく、大正時代のオフィスビルが現役で使われていることにも驚かされます。

右側にあるのが「商船三井ビルディング」。海岸通りには、明治から昭和初期にかけて日本経済を支えた企業が並ぶ

 居留地は治外法権が認められていましたが、1899(明治32)年に欧米各国が日本政府に返還。これを機に、多くの日本企業が入り込み、外国人居留地からビジネス街へと姿を変えて発展していきました。「商船三井ビルディング」のほかにも、たくさんの近代洋風建築が建てられましたが、1995年1月の阪神・淡路大震災で、その多くが崩壊してしまったのだそうです。その後、それまでの街の美しさを継承する形で復興が進み、旧居留地は今も独特の存在感を放っています。

偶然にも、海王丸の出航に遭遇。「ごきげんよう!」の声も清々しい

 散策中、幸運にも出会えたのが、“海の貴婦人”と呼ばれる独立行政法人「海技教育機構」の大型練習帆船「海王丸」。ちょうど出航の時間帯で、岸壁では華やかなセレモニーが行われていました。実習生がマストやヤードに登って整列し、合図とともに「ごきげんよう!」と三声する登檣礼とうしょうれいは感動もの。神戸港ならではの、清々すがすがしいシーンを体験することができました。

地上100メートルの風景と夜景にうっとり

 港を案内してくれたのは、神戸在住の鳥瞰図ちょうかんず絵師・青山大介さん。鳥瞰図とは、地図の技法の一種で、読んで字のごとく、鳥が空から地上を見下ろしたように描かれた図のこと。青山さんは、現代の神戸だけでなく、古地図を基に開港時の様子を手描きの鳥瞰図でよみがえらせた、生粋の神戸っ子です。

神戸市役所1号館24階にある展望ロビーからの眺望(左)、市役所の展望ロビーにあったのは、青山さんの描いた鳥瞰図。現代の神戸と150年前の神戸が比較できる

 「鳥の視線になったつもりで、神戸を眺めてみませんか?」という青山さんに導かれ、港から歩いて15分ほどの神戸市役所の24階にある展望ロビーに上ってみました。そこから見えたのは、地上100メートルからの眺望。南側にはポートアイランドやメリケンパークのあるウォーターフロントが、北には北野町や六甲山系の景色が広がっていました。海と山に恵まれ、異国情緒と近代的風景がうまく調和する神戸は、香港にも似ているような気がします。

 なお、青山さんによるガイド「『港町神戸今昔鳥瞰図』で蘇る150年前の神戸」は、次回、2018年3月2日に開催予定。兵庫県や神戸市などが実施する体験プログラム「おとな旅・神戸」のホームページ、または電話で申し込むことができます。

ライトアップされた神戸海洋博物館(右)と神戸ポートタワー。神戸ポートタワーは、日本で初めてライトアップされた建造物でもある
雨上がりの神戸港。しっとりした夜の風景もステキ

 さて、日中に散策を楽しんだ神戸の港は、夜もまた美しい表情を見せています。日没後は、街のシンボルでもある神戸ポートタワーやメリケンパークがライトアップされて、幻想的な風景に。水際が光り輝く様子は、近代的だけれど、どこか温かみを感じて、心を和ませてくれました。

おとな旅・神戸

芹澤和美
芹澤和美(せりざわ・かずみ)
旅行ライター

 編集職を経て、1996年、中国・上海へ短期留学。帰国後、フリーランスの旅行ライターとして活動。主なフィールドは、98年から通い続けているマカオや、中国語圏、アジア、中米、南アフリカ。主に、旅行雑誌やカード会員誌、機内誌、新聞などで国内外の旅行記事や紀行文を掲載。著書に『マカオノスタルジック紀行』(双葉社)。

JOURNAL HOUSE