フォトジェニックなウラジオストクの美しい街並みを散策

リフレッシュ! 極上旅

ウラジオストクの象徴的な建造物「ニコライ皇太子凱旋門」

 成田空港からは、わずか2時間55分で行けるロシアのウラジオストクは、何より散策が楽しい街。いたるところに美しい建物が点在していて、飽きることがありません。ロシア正教の礼拝堂にロシア風バロック様式の建物、レンガ造りのレトロな百貨店……どれも思わず立ち止まって写真を撮りたくなるものばかり。コンパクトな街は、1日あれば多くの場所を見てまわることができます。

地図を片手にてくてく……のんびり散歩が楽しい

 旅先で街歩きの前には、地図とにらめっこして綿密なプラン作り! という人も、ウラジオストクでは気軽に散策できるはず。街はコンパクトで、ほとんどの観光スポットへ歩いて行くことができるからです。

 街のメインストリートは、金角湾に面したスヴェトランスカヤ通り。この通りには、歴史的建造物が多く並んでいます。山並みを背景に、ピンク色やペパーミントグリーンの瀟洒しょうしゃな建物がずらりと並ぶ風景はポストカードのよう。この通りから、海を背にしていくつもの坂道が伸びていて、これもまた絵になる! 通りを歩いている間は、カメラがひとときも手放せません。

潮風を感じる、メインストリートのスヴェトランスカヤ通り

 どんな街を歩いていても、気になってしまうのが路地裏です。スヴェトランスカヤ通りを歩いている途中、老舗デパート「グム百貨店」の裏側に入ると、それまでの重厚なムードは一転。レンガ造りの建物にカフェやダイニングバー、雑貨店が並ぶかわいらしい雰囲気の空間が広がっていました。このあたりは、2016年にグム百貨店が改装されると同時に再開発され、今は地元の人や観光客に人気のスポットとなっています。といっても、東京の繁華街のように人混みもなく、のんびりと散策をするにはぴったりの場所です。

レンガ造りの建物に囲まれたグム百貨店の裏通り

 ここから5分ほど歩いたところにあるプーシキンスカヤ通りは、古いウラジオストクの雰囲気を保つエリア。小さいけれどりんとした「聖マリア昇天教会の出張所」、ゴシック様式の「聖パーヴェル・ルーテル教会」など、いくつかの教会を見ることができました。後で知ったことですが、街中には、ロシア正教の教会や礼拝堂が約40もあるのだそうです。

1909年に完成した「聖パーヴェル・ルーテル教会」。青空にゴシック建築がよく映える

 ちなみに、私が拠点にしていたのは、スヴェトランスカヤ通りとアドミラ-ラ・フォーキナ通りの間にある小さなアパートメントホテル。歩道が整備されたアドミラ-ラ・フォーキナ通り沿いには小さなカフェやレストラン、ショップが並んでいて、散策にもぴったりの場所です。ロケーションが便利なうえに雰囲気もよく、短い滞在時間を存分に楽しむことができました。

旅情にかられるウラジオストク駅、船が行き交う金角湾

 目をひく建物が多いウラジオストクのなかで、特に訪れてみたいと思っていたのが、ウラジオストク駅。世界最長の鉄道、シベリア鉄道の東の起点です。1894年に竣工して以降、駅舎は何度か改修されていますが、造りはレトロで風情たっぷり。こぢんまりとした待合室の天井には、ウラジオストクとモスクワの名所が半分ずつ描かれていました。

ウラジオストク駅のレトロな駅舎

 風情あるウラジオストク駅からモスクワまでは、ユーラシア大陸を横断して9288キロ。途方もなく長い旅程ですが、今から100年も前に、この旅をたったひとりで成し遂げた女性がいました。それは詩人の与謝野晶子。明治45(1912)年、彼女は船でこの駅に隣接する港に着き、ウラジオストク駅からシベリア鉄道に乗ってモスクワへ、そこから陸路で夫、鉄幹が暮らすパリを目指したといいます。そんなロマンチックなエピソードを知ると、ますます旅情にかられてしまいます。

待合室も異国情緒たっぷり

 美しい街並みを見渡すことができるのが、「鷹の巣展望台」。地図で見ると中心地からかなり遠くにあるようにも見えますが、のんびり歩いても30分ほど。かわいらしいケーブルカーを使って展望台近くまで登ることもできます。

 ここから見えたのは、船が点々と浮かぶ金角湾と、そこに架かる黄金橋、そして歴史建造物とカラフルな建物がマッチ箱のように並ぶ街並み。この風景を見て、ウラジオストクに来てよかったな…と、心から思いました。

 

鷹の巣展望台から見える、金角湾と黄金橋

 途中でお茶をしたり、ランチをしたりしながら、のんびり歩いたウラジオストクの1日。市内には路線バスもたくさん走っていますが、慣れない環境で乗り間違えたり、目的地で降りそびれたりするリスクを考えて、すべて徒歩で巡ることに。結果、たくさんの風景を心に刻むことができて大満足です。

芹澤和美
芹澤和美(せりざわ・かずみ)
旅行ライター

 編集職を経て、1996年、中国・上海へ短期留学。帰国後、フリーランスの旅行ライターとして活動。主なフィールドは、98年から通い続けているマカオや、中国語圏、アジア、中米、南アフリカ。主に、旅行雑誌やカード会員誌、機内誌、新聞などで国内外の旅行記事や紀行文を掲載。著書に『マカオノスタルジック紀行』(双葉社)。

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