週末は一番近いヨーロッパ、ウラジオストクへ

リフレッシュ! 極上旅

カラフルな建物が並ぶ、ウラジオストクのメインストリート

 長めの休暇がとれないと無理、お金もかかりそう……と、ややハードルの高いヨーロッパ旅行。でも、日本からわずか3時間で行けるステキな街があるのです。それは、ロシアのウラジオストク。ヨーロッパの風情ある洗練された街並みを散策し、本場のボルシチに舌鼓を打ち、美しいロシア正教会を眺め、異文化を思い切り満喫できます。週末のヨーロッパ旅行も夢ではありません!

今年から電子ビザ解禁!手軽になった北の港町

 ウラジオストクという地名は知っていても、はっきりとしたイメージを持っている人は多くはないかもしれません。ロシア極東地域にあるウラジオストクは、坂道に欧風建築が並ぶ、風情あふれる街。世界各国の船が寄港する港湾都市でもあります。

欧風建築が並ぶ坂道が異国情緒をかもしだす

 街の名は、ロシア語で「東方を征服せよ」という意味。美しい風景とは裏腹に、こんな武骨な名前が付いているのには理由があります。

 1860年に開発が始まった当時、この地は極東におけるロシア帝国の軍事拠点でした。ロシア海軍の太平洋艦隊の母港だったことから、1952年からは30年以上にわたり、市内居住者を除き、当時のソ連国民でさえも立ち入りが禁止されていました。ソ連国民に開放されたのは89年。外国人が入ることができるようになったのは、ソ連崩壊後の92年になってからのことでした。

軍事施設があり長くベールに包まれていた港も、今は人気の散策コースに

 かつてベールに包まれていた都市も、今は人気の観光地。旧軍港や軍艦、要塞は名所になっています。欧州の風情と堅固な要塞や軍艦が共存する街は、なんとも独特で異国情緒たっぷり。

 私も以前から気になっていたのですが、ネックになっていたのが、ロシアのビザを取得する手間でした。受け入れ側の招待状や渡航目的を証明する書類が必要で、なかなか気軽には行くことができなかったのです。ところが、2017年8月に、ウラジオストクを含むロシア沿海地方への旅行者に限り、8日以内の滞在であれば無料で電子ビザが発給されることに。自宅にいながらインターネットでビザが取得できるウラジオストクは、実質的にも心理的にも、日本から近い街となったのです。

成田からフライト2時間55分でひとっ飛び!

 日本からすぐ近くにあるウラジオストクは、直行便で行くとあっという間。成田空港からは、わずか2時間55分(帰路は2時間30分)とフライト時間が短く、しかも時差が日本のプラス1時間と少ないので、長旅による身体の疲れとも無縁です。週末旅行派にとって、これはうれしい!

 成田からは、ロシアの航空会社であるオーロラ航空とS7航空の2社が就航しています。双方を合わせれば月曜から土曜までフライトがあるので(時期により変動)、旅のスケジュールも組みやすいといえるでしょう。

オーロラ航空機と機内

 金曜から旅に出た私は、昼過ぎに成田を出発して17時15分に到着するオーロラ航空を選択。少しでも早く本場ロシア料理を食べようというのが、その理由でしたが、思いがけないサプライズもありました。それは、飛行機がプロペラ機だったこと。ジェット機の半分ほどの高度を飛ぶプロペラ機は、窓から眼下に景色を楽しむことができるのです。「国際線でプロペラ機?」と意外に思う人もいるかもしれませんが、窓からの風景をのんびりと楽しむ、楽しいフライトとなりました。

眺めを楽しみながら2時間55分のフライト

 ウラジオストクに到着した後は、タクシーで市内まで移動。ロシア語はまったく分からず、ちょっと心配でしたが、タクシーを手配するカウンターが空港内にあり、ここで定額料金を払って、市内までスムーズに行くことができました。ちなみに、空港内に外貨両替所はありませんが、クレジットカードで現地通貨を引き出せるATM機が何台もあったので、難なくクリア。この日の夕食は、市内でおいしいペリメニ(ロシア風水餃子ぎょうざ)を食べることができました。

到着した日はロシア名物、ペリメニを満喫

 北に位置しているだけに、気になるのは気候。ベストシーズンは5月から10月と言われていますが、真冬には凍った湾で氷上マラソンやフェスティバルが行なわれるなど、冬を楽しむイベントも開催されています。私が旅したのは初冬の11月上旬。寒い地方ゆえに、レストランもカフェも、室内の暖房はしっかり完備されていて、とても快適でした。

芹澤和美
芹澤和美(せりざわ・かずみ)
旅行ライター

 編集職を経て、1996年、中国・上海へ短期留学。帰国後、フリーランスの旅行ライターとして活動。主なフィールドは、98年から通い続けているマカオや、中国語圏、アジア、中米、南アフリカ。主に、旅行雑誌やカード会員誌、機内誌、新聞などで国内外の旅行記事や紀行文を掲載。著書に『マカオノスタルジック紀行』(双葉社)。

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