やさしい風景に癒やされる、駿河湾に浮かぶ無人島のリゾートホテル

リフレッシュ! 極上旅

 目の前には、穏やかな海と、堂々とそびえる富士山。新鮮なシーフードと、お肌がつるつるになる温泉、寝心地のいいベッドで眠り、波の音で目覚める朝……。そんな至福のひとときを過ごせる場所が、静岡県東部の小さな離島にあります。都心からは2時間足らず。夢見心地な1泊2日の時間を、「淡島ホテル」(静岡県沼津市)で過ごしました。

女優ミラーに上質なベッド 最高の気分にさせてくれるゲストルーム

 東海道新幹線の三島駅を出発した送迎バスの車窓から見えてきたのは、穏やかな駿河湾と漁村の風景。バスを降り、港にあるウェイティングサロンでチェックイン手続きを済ませてから船で向かう“特別感”にワクワクしながら、旅が始まりました。目的地は、沼津市の淡島に浮かぶ「淡島ホテル」。全室スイートタイプ、ゲストは12歳以上限定の、大人の離島リゾートです。

ウエイティングサロン。船に乗る前、ここでチェックインを済ませる(左)。船で向かうと見えてくる7階だてのたてものが淡島ホテル

 送迎船で約3分。緑豊かな島に立つコロニアルピンクの瀟洒しょうしゃな建物が、淡島ホテル。エントランスを入ると、自然光が差し込む明るい雰囲気のロビーに迎えられました。すでにチェックインを済ませてあるので、あとはリゾートを楽しむのみ! ホテルに到着して、待たされることなく自由な時間を過ごせるのは、何とも快適です。

客室はすべてオーシャンビューのスイートルーム。リビング(左)と寝室

 客室から見えるのは、駿河湾と富士山。リビングのソファに座って、ガラス窓一面の向こうに広がる風景を楽しむのもいいけれど、潮風を感じながらテラスでくつろぐのも至福の時間です。すべての客室から富士山を均一に眺められ、客室間のプライバシーも守られた造りになっているので、隣の部屋のゲストを気にすることなく、ゆったりとテラスで過ごせます。

テラスからは絶景が楽しめる

 広々とした客室のインテリアは、淡いトーンでまとめられています。気持ちが落ち着く低めのベッドや上質なリネン類、柿田川の湧水でれる静岡茶やオリジナルの和菓子など、一つ一つのアイテムに心がくすぐられます。極めつけは、バスルームにあるハリウッドミラー。LEDライトが照らす憧れの「女優ミラー」を、私はこのとき初めて体験しました。

トンネルの中にあるワインセラー

 700万年前の海底火山の噴火でできた淡島にある施設は、このホテルと、水族館の「淡島マリンパーク」のみ。日常の喧騒けんそうと隔絶されたロケーションも淡島ホテルの魅力ですが、さらに、隠れ家気分を盛り上げる“秘密の場所”が敷地内にあります。それは、山を削って造ったトンネルの中にあるワインセラー。200本の厳選ワインが眠るセラーにはテイスティングルームもあります。誕生日や記念日旅行などで利用するのもよさそう。

海外のリゾートにはない、唯一無二の絶景

 この旅では、地元の旬の魚を使ったディナーも楽しみにしていました。フレンチ・イタリアンの夕食メニューには、駿河湾の手長エビや天城山の鹿肉ロースト、桜エビ、地野菜など、地元の特産品を使った料理がずらり。駿河湾の島には魚尽くしのイメージがありますが、ジビエのお肉や箱根西麓野菜もおいしくて、ついワインが進んでしまいます。

駿河湾の手長エビを使った一品に舌鼓
天城山鹿のローストも絶品!

 メインディッシュの後に出てきたのは、シラスと貝の出汁だしで煮た和風リゾット。フルコースの品書きにはないサプライズメニューです。洋食が続いた後は、こんなお出汁の香りがほっと一息つかせてくれて、その後のデザートまでおいしくいただくことができました。

 窓の外に見えるのは、穏やかな夜の海。ガラスに自分の姿を反射しない窓の構造
になっているので、存分に外の景色を味わうことができます。ちなみに、私が座っていたのは、かつて某国の皇太子がこのホテルで食事をした際に利用した記念の椅子でした。

 食事を楽しんだ後は、客室に用意されていた館内着に着替えて、リラックスモードで温泉へ。露天風呂は湯船が海面とほぼ同じ高さにあって、眺めがダイナミック! 夜空にまたたく星と漁いさりびを眺めながらのお湯は、日ごろの疲れを癒やしてくれました。

 でも、私がなによりも癒やされたのは、部屋のテラスから眺めた夜景。対岸の漁村に見えるほのかなあかりや漁火がある風景は、人の営みが感じられて、心が落ち着きます。海外のリゾートで見る海辺の風景とはまた違ったこんな優しい情景も、私は大好きです。

テラスから眺めた夜景

 翌朝は、行き交う船の音で心地いい目覚め。淡島ホテルで過ごしたのはたった1泊でしたが、それはとても濃厚な時間で、心と体にエネルギーをチャージしてくれました。

淡島ホテル

芹澤和美
芹澤和美(せりざわ・かずみ)
旅行ライター

 編集職を経て、1996年、中国・上海へ短期留学。帰国後、フリーランスの旅行ライターとして活動。主なフィールドは、98年から通い続けているマカオや、中国語圏、アジア、中米、南アフリカ。主に、旅行雑誌やカード会員誌、機内誌、新聞などで国内外の旅行記事や紀行文を掲載。著書に『マカオノスタルジック紀行』(双葉社)。

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