東京から1時間20分 「海の街」いすみ市へショートトリップ!

リフレッシュ! 極上旅

秋も散策する人で賑わう大原の海

 日々仕事に追われていると、「海が見たいなあ」と思うことがあります。そんなときは、迷わず日帰りの旅に出てみましょう! 千葉県の房総半島南東部にある「いすみ市」は、東京から特急電車で1時間20分とアクセスがよく、気軽に足を延ばせる「海の街」。おいしい食あり、雄大な自然ありで、多忙な女性の心も体も胃袋も癒やしてくれます。

見たかったのはこの景色! 雄大な海に癒やされる

 JR東京駅から外房線特急わかしお号で大原駅まで1時間20分。駅から歩いて20分ほどで、外房の海に到着します。見たかったのはこの雄大な景色! 夏は海水浴場としてにぎわう大原の海は、秋になっても、散策する地元の人やサーファーの姿がちらほら。季節はずれのこんな穏やかな海も、心をなごませてくれます。

 大原漁港には、たくさんの漁船が停泊していました。これもまた旅情を誘う風景。そして、おいしい魚を期待させるシチュエーションです。いすみ市沖は寒流と暖流が交り合う良好な漁場とのこと。期待通り、伊勢エビや真ダコ、たい、ヒラメなどの高級魚が一年を通して水揚げされています。なかでも、地元ブランドの「伊勢海美いせえび」は、刺身でも、焼いても、味噌汁にしてもおいしい特産品。漁港の直売所では、威勢のいい伊勢海美が売られていました。

伊勢エビや鯛などの特産品が水揚げされる大原漁港

 旬の海鮮類をダイナミックに味わうのなら、毎週日曜の午前8時~午後12時に大原漁港で開催されている朝市が狙い目。会場内には炭火焼きバーベキュー台も用意されていて、購入した伊勢エビや魚をその場で焼いて食べる人たちで賑わっています。そのほかにも、タコめしやタコの串焼き、アワビ釜飯、手作りチーズなど、地元の特産品がずらり。あちらこちらにいい香りが漂っていて、朝から食欲が刺激されます。

 海で心が癒やされ、朝市の屋台でおなかが満たされたところで足を延ばしたのは、東京から見て最高の吉方位にあるといわれる玉前たまさき神社。いすみ市の隣、一宮町にあります。神武天皇の母である玉依姫命たまよりひめのみことが、ご祭神としてまつられていて、縁結びにもご利益があるのだそう。

 この神社は関東屈指のパワースポットとも呼ばれています。その理由は、ここが「ご来光の道」と呼ばれるレイライン東の起点だから。春分の日と秋分の日には太平洋から昇った太陽が、玉前神社と神奈川の寒川神社、富士山などの重要なパワースポットを一直線に結んで、島根県の出雲大社の向こうに沈んでいくのです。でも、そんな背景を抜きにしても、大木が茂る境内はとてもすがすがしくて、いるだけで心が洗われるようでした。

牧場で丁寧に作られるミルクのおいしさに感動!

 海と神社で日頃の疲れをリセットした後は、緑豊かな大自然の中にある高秀牧場へ。観光牧場ではないし、駅からは距離があり車は必須ですが、県外からも多くの人が訪ねています。お目当ては、飼育方法にこだわった牛から搾った牛乳を使って、職人が手作りしたチーズやフレッシュなジェラート。レンタカーで田畑の中を延々と走ると、そこには北海道の農場を思わせる風景が広がっていました。

広大な牧場が広がる高秀牧場

 敷地内にはミルク工房があって、カフェスペースでジェラートやチーズたっぷりのピザなどが楽しめます。ジェラートのケースには地元産の野菜や果物を使ったユニークなフレーバーも並んでいました。迷ったあげくにシンプルなミルクフレーバーを試してみると、牛乳の風味をしっかりと感じる味。それでいてしつこさがなく、クリーム系のスイーツがやや苦手な私も、大きなジェラートをあっという間にたいらげてしまいました。

牛のオブジェがかわいらしい高秀牧場のミルク工房。ジェラートは、しっかりとしたミルクの味わい

 この牧場では、自然の資源を無駄にしない「循環型酪農」に取り組んでいるのだそう。牛の排泄物を資源として再利用する酪農のスタイルは、牛を健康に育て、自然環境を守る方法として注目を集めています。ミルク工房の壁には、そんな循環型酪農を分かりやすく記したかわいらしい手書きの説明も。おいしいジェラートを食べながら、酪農のことや自然環境のこと、そして、ふだん自分が口にしているものの安全性についても、考える時間となりました。

CLUB RED RESTAURANTのメニューには特産品がずらり

 初めて訪れ、食材の豊かさとおいしさに触れたいすみ市。この街では、食に関するさまざまなイベントが行われています。街の若手料理人6人と、日本最大級の料理コンテスト「RED U-35」で優秀な成績を収めた若手料理人たちによるチーム「CLUB RED」が手を組んだ「いすみCLUB RED RESTAURANT」もその一つ。これは期間中、市内のレストラン数店舗で地元の食材を使ったオリジナルメニューが食べられる「食の祭典」です。9月に開催され、次回の開催予定は2018年2月。冬も温暖なこの街を旅する、次の目的ができました。

高秀牧場のブルーチーズ「草原の青空」(左)、白ワインのようにスッキリとした木戸泉酒造の「純米生アフス」

 いすみ市の旅はたった1日でしたが、旅を終えた後も楽しませてくれたのが、購入した食材たち。高秀牧場のブルーチーズ「草原の青空」は、マイルドな塩味で食べやすく、何度でも食べたい味。白ワインのような日本酒として人気がある木戸泉酒造の「純米生アフス」は、キリリと冷やして食事のお供に。直売所で購入した非加熱処理の生はちみつは、今もキッチンで大活躍しています。

CLUB RED

芹澤和美
芹澤和美(せりざわ・かずみ)
旅行ライター

 編集職を経て、1996年、中国・上海へ短期留学。帰国後、フリーランスの旅行ライターとして活動。主なフィールドは、98年から通い続けているマカオや、中国語圏、アジア、中米、南アフリカ。主に、旅行雑誌やカード会員誌、機内誌、新聞などで国内外の旅行記事や紀行文を掲載。著書に『マカオノスタルジック紀行』(双葉社)。

JOURNAL HOUSE