日本の四季を楽しむ紅葉ベスト5

癒やしの楽園 by 三好和義

 若い時の僕にとって、「楽園」は南国の美しいビーチ一辺倒でした。明るい光、それを反射する白い砂のビーチ。しかし、屋久島を最初に訪れた時、日本にもこんなワンダーな「楽園」があるのだと興奮しました。

 屋久島をきっかけに、日本の風景を積極的に撮影するようになりました。日本の世界遺産を撮るのが僕のライフワークになり、京都御所や桂離宮、伊勢神宮の式年遷宮も数年がかりで撮影する機会に恵まれました。その写真は現在も世界を巡回しています。

 日本の美しさには、文化的な意味もありますが、四季がある点も大きな要素だと思っています。春には桜をめで、これからの季節には、紅葉を楽しむ。今回はおすすめしたい紅葉スポットのベスト5を選んでみました。

 1位に選んだのは福島県裏磐梯の曲沢沼。東北は、紅葉の撮影の定番で、人間の魅力も含めた日本独特の細やかさを感じます。ここは、比較的小さな池なのですが、そこが魅力なのです。池が大きいと、どうしても波立つことが多いのですが、ここはまさに鏡のように周囲の山々の紅葉が水面に映えている。静ひつな美しさを感じます。ここだけでなく、裏磐梯には紅葉の見所がたくさんあります。

 2位は京都の紅葉。京都には、三千院、貴船神社、高台寺、嵐山、毘沙門堂など、僕も大好きな紅葉スポットが数限りなくあります。京都の紅葉の魅力は、手を加えた雅さ。美しく紅葉をめでられるように、計算された美。それは、長い都としての歴史に培われた美意識の集大成だと思います。目で紅葉を楽しんだ後は、舌で美食の都を味わう楽しみもあります。

 3位は箱根、強羅ごうら花壇の紅葉。関東近辺でのおすすめは、山が燃えるような箱根の紅葉です。強羅花壇を選んだのは、飛び切りぜいたくな宿で、のんびりと部屋から紅葉を楽しめるから。紅葉の美しいスポットはどうしても大変な人出になりますが、宿で眺めれば自分だけが美しい景色を独占できる。格別な趣があります。優雅に楽しむなら、金谷ホテルもおすすめです。泊まらなくてもレストランから、まるで額縁に縁取られたかのような絵画的紅葉が眺められます。そんな贅沢ぜいたくを楽しんでみてください。

 4位は秋田の立又たてまた渓谷にある幸兵衛滝です。青森から秋田にかけて、紅葉の名所がたくさんあり、僕も十和田湖周辺には毎年撮影に赴きます。この幸兵衛滝には勇壮な一の滝と優美な風情の二の滝があり、その変化も趣がある。それが選んだ理由です。

 5位は、誰もが知る都会のオアシス、東京の「新宿御苑」です。桜の季節には多くの人が訪れる新宿御苑ですが、視線を変えると、こんな風景が楽しめるのです。固定観念を捨てて、見方を変えると普段の風景も「楽園」に変わる。その典型的な例が、この「新宿御苑」の紅葉だと思います。紅葉を楽しみに遠出するのもいいですが、近場でも季節を楽しめる場所は、いくらでもあります。東京で眺めるなら、青山の根津美術館の庭も美しい。よく手入れされた日本らしい回遊式庭園で、ここに来ると、都会の真ん中にあるとは思えない静けさを感じます。

 この秋は、ぜひ、あなたの紅葉スポットを見つけて、くつろいだ時間を過ごし、日本の「楽園」を感じてみて下さい。

三好和義(みよし・かずよし)
写真家

 1958年徳島県生まれ。「楽園」をテーマに、タヒチやハワイなどの南国の島々から日本の世界遺産まで幅広く撮影。84年当時最年少で木村伊兵衛賞を受賞。近著は世界中のリゾートを集めた「青の楽園へ」(PHP)。Amazonプライム・ビデオで「RAKUEN 三好和義と巡る楽園」を配信中。