若狭の城下町で、明治の茶屋町にタイムスリップ!

リフレッシュ! 極上旅

町並みと食の館「四季彩館 酔月」の2階。明治初期の風情漂う料亭を再現

 福井・若狭地方には歴史に育まれた素敵すてきな町並みが残っています。まるで映画のセットのような町をぶらりと散策して出合う、フォトジェニックな風景と、優しく流れる時間に心が癒やされます。

「海のある奈良」歴史の面影が残る小浜西組をぶらり散策

 若狭地方のなかでも、風情ある町並みが残っているのが、小浜おばま市。大和朝廷の時代から、若狭の中心地だった場所です。江戸時代には、小浜藩の城下町として栄え、伝統的な町並みや文化、数多くの寺院があることから、「小京都」「海のある奈良」とも呼ばれています。

 そんなこの町には、旅好きな女性の心をぐっとつかんで離さない、素敵なスポットがあります。それは、「小浜西組」。後瀬山のちせやまと小浜湾に挟まれた一帯で、江戸時代には商家と茶屋が並び、にぎわっていたといいます。明治21年(1888年)の大火により多くの建物が焼失したものの、みごとに再建。明治から昭和にかけての面影が濃厚に残る町並みは、国の重要伝統的建造物群保存地区にも選定され、大切に守られています。

小浜西組「三丁町」の通り。「三丁町」という地名は、ここが猟師町、柳町、寺町の三つの町があったことから名付けられたそうです

 エリアは西側の茶屋町と東側の商家町とに分かれます。2、3時間もあればのんびりと歩いて回れますが、時間が限られているのなら、ぜひ「三丁町」と呼ばれる西側を散策してみましょう。全長200メートルほどの狭い通りの両側には、ベンガラ格子の旧料亭などが並び、しっとりとした情緒をかもしだしています。ときおり建物の中から三味線の音色が聞こえてくる様子は、京都にも似ています。それもそのはず、ここは、京都の祇園を模して造られているのだそう。

 窓に張られた格子や、立派な家紋が刻まれた窓ガラスなど、いたるところに昔の暮らしの息遣いが感じられる、小浜西組三丁町。まるで時が止まってしまったかのような町並みは、初めて訪れたのにどこか懐かしい雰囲気があって、心を和ませてくれます。

狭い間口を入ってみると そこには古きよき時代が

 小浜西組三丁町に並ぶレトロな建物、「いったい中はどうなっているのだろう?」と気になります。好奇心がくすぐられたら、「町並みと食の館」へ。明治初期に建てられた料亭を再現した建物が一般公開され、郷土料理が食べられるレストラン「四季彩館 酔月」としても営業しています。

町並みと食の館「四季彩館 酔月」の1階カフェ兼ギャラリー

 引き戸を開けて店内に入ると、そこは、レトロな雰囲気一色。「北前船で繁栄した船問屋の若旦那も、ここで豪勢な食事をしていたのかな……」と、古きよき時代に想像をめぐらせながら館内を見学するのも、ワクワクします。

 すぐ近くには、元料亭「蓬嶋楼ほうとうろう」もあり、土・日曜、祝日のみ一般公開されています。三日月形の出窓がある座敷といい、みごとな細工の格子といい、すみずみに明治ロマンが感じられる館内は風情たっぷり。こちらも、タイムスリップ気分を味わわせてくれます。

レトロな雰囲気を満喫できる。貸し切りなのもうれしい

 今年3月には、元料亭の町家を改修した宿泊施設、「三丁町ながた」もオープンしました。1日1組限定(全3室。8人まで可)、簡易キッチンも完備され、素泊まりが基本(朝食は別途1000円)というユニークなスタイルなので、旅館やホテルよりものびのびと過ごせそう。こちらに泊まって、レトロな町をたっぷりと満喫する旅をしてみたいと思っています。

芹澤和美
芹澤和美(せりざわ・かずみ)
旅行ライター

 編集職を経て、1996年、中国・上海大学文学院へ短期留学。帰国後、フリーランスの旅行ライターとして活動。主なフィールドは、98年から通い続けているマカオや、中国語圏、アジア、中米、南アフリカ。主に、旅行雑誌やカード会員誌、機内誌、新聞などで国内外の旅行記事や紀行文を掲載。著書に『マカオノスタルジック紀行』(双葉社)。

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