息をのむほど美しい海、人の手で守られてきた自然とノスタルジックな町並み……。そんな素敵な風景に出会える場所が日本海沿岸にあります。それは、福井県南部に広がる若狭地方。夏を迎え、ますます海が輝く若狭へ、癒やしの旅に出かけませんか?
夏の間だけ渡れる無人島と神秘的な湖
エメラルドグリーンの穏やかな海と、白い砂浜。若狭旅行の起点となる敦賀駅から車を走らせて若狭湾に出ると、数々の絶景に目を奪われます。日本屈指のリアス式海岸である若狭湾沿岸には、とっておきの絶景スポットがあるのです。
その一つが、三方五湖。山間に、色が微妙に異なる五つの湖が点在しています。湖はすべて繋がっているのに、色が異なるのは、塩分濃度と水深が違うため。そんな科学的な理由を知っていても、独特の風景は神秘的に思えてなりません。

三方五湖を眺める絶好の場所が、全長約11キロの有料道路、レインボーラインの途中にある「レインボーライン山頂公園」です。片道約2分のケーブルカーかリフト(入園料込みで800円)で山頂をめざしましょう。そこで目にする風景は、日常とは別世界! 日本海と五つの湖、越前岬から敦賀半島、そして若狭湾に浮かぶ島を眺めていると、なにか特別なパワーを得たような気持ちになるから不思議です。ちなみに、ここは恋人の聖地でもあるそうで、幸せな恋愛を願う「誓いの鍵」がずらりとチェーンに掛けられていました。

ほかにも、若狭の絶景は枚挙にいとまがありませんが、夏に旅行するのであれば、ぜひ、敦賀半島の先端に浮かぶ水島にも足を延ばしてみたいもの。夏だけ対岸の色ヶ浜から船(1200円)で渡ることできる無人島で、透明度抜群の海の中、遠浅の砂浜に囲まれた島がぽっかりと浮かぶ光景は「北陸のハワイ」とも呼ばれています。*2017年の渡し船の運行は7月8日~8月31日。
若狭高浜にある若狭和田ビーチの美しさも格別です。ここは厳しい基準をクリアしたビーチのみに与えられる国際環境認証「ブルーフラッグ」を、アジアで初めて取得した場所。海の透明度に驚かされます。
ここから車で約10分の明鏡洞の美しさも忘れられません。奇岩の前には、穏やかな海とサラサラの白い砂浜が広がっています。私は若狭を訪れて、「海が荒れている、ちょっと寂しげな日本海」のイメージがすっかり覆されてしまいました。若狭の海の美しさは、これまで訪れた南国のリゾートにも負けていません。
景観が間近に迫る、蘇洞門の遊覧船めぐり
若狭の美しい海は、クルージングで楽しむこともできます。若狭小浜にある「蘇洞門」は、米CNNテレビの「日本で最も美しい場所34選」に選ばれたこともある景勝地。押し寄せる波に削られてできた自然の造形美は、遊覧船「蘇洞門めぐり(乗船料2000円)」で楽しむことができます

約50分の船の旅で目にするのは、2匹の亀が並んでいるように見える「夫婦亀岩」や、岩の中が打ち落され洞門のようになっている「大門・小門」など、約6キロにわたる断崖美。奇岩や断崖のすぐ近くまで迫るクルージングは、なかなか迫力があります。

なんと、ここは江戸時代から人気の観光地で、1749年に書かれた地誌「若狭国志」にもその素晴らしさが紹介されているのだそう。江戸時代の日本人も、現代のアメリカのメディアも絶賛するこの風景は、ぜひ記憶におさめておきたいものです。
【若狭へのアクセス】
東京からJR新幹線で米原経由、特急に乗り換えて敦賀まで、約3時間。
敦賀駅から「三方五湖」まで車で約40分、そこから若狭和田ビーチまで車で約50
分。