ドラマチックな歴史を感じる天草のスモールホテル

リフレッシュ! 極上旅

ヴィラAとヴィラBのゲストのレセプション「ヴィラコレジオ」

 南蛮文化、キリシタン、美しい自然……。そんな天草の魅力をぎゅっと凝縮したような場所が「石山離宮 五足のくつ」。市街地からは少し離れているのに、一度行くと必ずリピーターになってしまうラグジュアリーな宿です。

五感で楽しみたい個性豊かなヴィラが点在

 天草市の中心地から海沿いを走り、東シナ海を見下ろす山の中へ。緑のトンネルを抜けたところに、「石山離宮 五足のくつ」はあります。その名は、明治40年に、与謝野鉄幹や北原白秋など5人の若き詩人たちが、天草の神父を訪ねて九州を旅した紀行文「五足の靴」に由来しています。

昔の天草をイメージした和洋折衷のヴィラA

 ゲストルームは15棟あり、全室天然温泉の露天風呂付きの独立したヴィラタイプ。昔の漁師町をイメージして作られた「ヴィラA」、未来の天草をイメージしたメゾネットタイプの「ヴィラB」、キリスト教が伝わった頃の天草をイメージした「ヴィラC」の3タイプにわかれ、山の中腹に点在しています。

 ヴィラA、Bのゲストがチェックインする場所は「ヴィラコレジオ」。コレジオというのは、16世紀の天草に存在した宣教師養成学校のこと。純日本風の本瓦とステンドグラスをあしらった和洋折衷の建物で、キリシタン文化が花開いた頃の天草を再現しています。ヴィラCはさらに山を登った上にあり、チェックインからチェックアウトまで完全に独立したエリアで過ごせるので、よりディープにこの雰囲気を楽しむことができるでしょう。

ヴィラBの天蓋付きベッドのあるゲストルーム。メゾネットタイプで2階のバルコニーからは東シナ海を一望できる

 レトロな天蓋付きのベッド、海を望む露天風呂、東洋と西洋が入り混じるインテリアなど、各部屋の雰囲気はさまざまで、ひとつとして同じものはありません。天草らしさを随所に表現した部屋は、アジアンリゾートとも、いわゆる温泉旅館とも違う独特の雰囲気が漂っています。

ヴィラCのゲストルーム。キリスト教が伝来した中世の天草をイメージ

 海岸まで歩いて降りることもでき、豊かな自然を感じながらホスピタリティーも享受できるここは、一日中こもっていたくなる場所。書籍やCD、DVDをそろえたライブラリーや雰囲気のいいバーもあるので、ここでゆったり過ごす贅沢を味わえます。全15室と客室数が少ないうえ、それぞれのヴィラも離れているので、たとえ満室でも混雑感を味わうことなく、くつろぐことができます。

天草の旬の食材を個室レストランで味わう

 食事は、敷地内にあるレストランの個室で懐石料理を。予約は不要で、営業時間内の好きな時間に行けばいいので、「ディナーの予約時間が気になって観光を途中で終わらせてしまった」という残念なこともありません。ゲストの時間を大切にしつつ、リクエストがあれば徹底的に応えるのも、このホテルのスタイルなのです。
 
 ヴィラAとBのゲスト向けのレストラン「邪宗門」は修道院を、ヴィラCのゲスト専用のレストラン「天正」は中世の天草をイメージしています。「天正」には東シナ海を望むテラスもあり、ここでいただく朝食も最高です。
 
 ゆったりとした気分で味わう懐石料理は、前菜からデザートまで、天草の豊かな恵みのオンパレード。食材は、シェフがその日一番おいしいと自信を持てるものを厳選しているのだそう。陶磁器の里として知られる天草らしく、地元の窯元で作られた器に美しく盛りつけた料理にも、ワクワクします。

ヴィラCの露天風呂。敷地内から湧き出る自家源泉の天然温泉

 夕食を満喫した後も、楽しみは尽きません。部屋に帰ったら、露天風呂でのんびり。石造りの露天風呂は、まるで森の中のスパのようで、お湯につかったとたん、心身がふうっとほぐれて、癒やされるのを実感します。天気がよければ、満天の星を仰ぎながらのバスタイムが過ごせるはず。窓の外に緑を眺める内風呂も快適です。

各客室に備えられたアメニティー。洗面台のタイルは天草陶石製

 翌朝はぜひ、敷地内にある遊歩道を散策してみましょう。ホテル名の由来になった、5人の詩人たちが歩いた道「五足の靴文学遊歩道」は朝のウォーキングにぴったり。鳥のさえずり、木々の合間に見える海、そして新鮮な空気に触れれば、元気になって旅を終えられるはずです。
 
 6月1日から7月14日は「15周年感謝祭」として、宿泊料金がひとり15%引きに。爽やかな夏を迎えた森のホテルに泊まる、絶好のチャンスとなりそうです。

石山離宮 五足のくつ

芹澤和美
芹澤和美(せりざわ・かずみ)
旅行ライター

 編集職を経て、1996年、中国・上海大学文学院へ短期留学。帰国後、フリーランスの旅行ライターとして活動。主なフィールドは、98年から通い続けているマカオや、中国語圏、アジア、中米、南アフリカ。主に、旅行雑誌やカード会員誌、機内誌、新聞などで国内外の旅行記事や紀行文を掲載。著書に『マカオノスタルジック紀行』(双葉社)。

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