映画「るろうに剣心」シリーズフィナーレに最高の戦い

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©和月伸宏/集英社 ©2020 映画「るろうに剣心 最終章 The Final/The Beginning」製作委員会

流浪人・剣心の頬にある十字の傷。「るろうに剣心」シリーズの新たな2部作は、その「謎」についての物語だ。6月4日公開の「The Beginning」がシリーズ全体の始まりを描き、公開中の本作はフィナーレ。公開順と時間軸は逆になる。

幕末に「人斬り抜刀斎」と呼ばれ恐れられた暗殺者は、明治の世に流浪人・剣心(佐藤健=写真)となる。「不殺の誓い」を立て、武器は斬れない刀「逆刃刀」。前3作で様々な強敵を倒した剣心は、今は東京の神谷道場で師範代の薫(武井咲)ら仲間たちと平穏に暮らしていた。

だがある日、東京が砲撃される。犯人は中国大陸の裏社会を牛耳る武器商人・縁(新田真剣佑)。彼の目的は、剣心に関わる全てを破壊することだった。報復の理由は、剣心の頬に刻まれた十字傷に深く関係していた。

前3作でひとまず物語は終わっている。普通は蛇足になりがちだが、この作品は違う。少なくともアクションに関しては、日本の剣劇を変えたといわれる前3作をも超えている。アクション監督・谷垣健治の作り出す戦いの数々は、質・量ともにシリーズで最高といえるだろう。

縁の部下たちは、全身に仕込んだ暗器(隠し武器)や長いかぎ爪など、風変わりな武器を駆使する。奇怪な面を着けていたり、片方の腕が銃だったり、その姿はもはや怪人だ。彼らのトリッキーな戦いが実に面白い。奇抜な戦いで海外の評価が高い若山富三郎主演の「子連れ狼」シリーズをほうふつとさせる。

剣心を演じる佐藤のアクションもより洗練されている。体を回転させ敵の攻撃を避けつつ反撃に転じるスピードに驚いた。ワイヤワーク(ワイヤで体をつって行うアクション)も素晴らしい。そして何より、走る姿が美しい。剣心は今回も走る。仲間の危機に駆けつけるため町を走る。乱射される銃弾をよけて屋根から屋根へと走る。敵と剣を交えながら一瞬、垂直な壁を走る。これほど走る姿が絵になる俳優はめったにいない。

一方で、大陸から来た縁は中国武術を使う。演じる新田は恵まれた体格を最大限に生かして力強いアクションを見せる。ラストの一騎打ちは、縁の「剛」に対し剣心の「柔」の対比が実に鮮やかだ。

大友啓史監督は、雪や火の粉、桜の花などを様々に降らせて画面に奥行きと空気感を作り出し、アクションに独特の立体感を生んでいる。これまでのシリーズに登場した仲間たちや宿敵たちも結集し、フィナーレにふさわしい風格も感じられた。

(読売新聞編集委員 小梶勝男)

「るろうに剣心最終章TheFinal」(ワーナー、アミューズ、集英社ほか。2時間18分)

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