嵐のラストライブ再配信決定!  意味深い選曲と美しい幕引き

ミドリのJ見守り隊

嵐のラストライブの特設ホームページ

昨年12月31日に活動を休止した人気グループ、嵐が同日夜、東京ドームで無観客ライブ「This is 嵐 LIVE 2020.12.31」を行い、インターネットで生配信しました。途中、NHK紅白歌合戦の生中継を挟み、約3時間にわたって28曲を熱唱。ライブにはファンに向けた前向きなメッセージソングを詰め込み、「嵐ロス」「嵐ショック」に陥りそうなファンを気遣いながら、人気絶頂期に身を引く新しいアイドル像を見た気がしました。

メッセージ性あふれる秀逸な選曲

5人は、センターステージにそびえ立つタワーに設置されたミラーボールからド派手に登場。キラキラ輝くミラーボールに負けないほど、満面の笑みを見せ、最新アルバム「This is 嵐」の収録曲やシングル曲など28曲を披露しました。今ライブは歌詞の意味から選んだような、メッセージ性のある曲が多く、選曲が見事だと感じました。

例えば、冒頭に披露した「ワイルド アット ハート」は、「何が起こるか誰にも分からない 今を生きるだけさ」「涙の代わりに笑ってSay goodbye」などと歌っています。「懐かしい!」とSNSでも盛り上がった「台風ジェネレーション」は、二宮和也さんの「じゃあ行ってくる あっ、さようならじゃないよね また会えるから」という最初の語りが印象的。特に「また会えるから」というフレーズは、ファンにとって心強い一言になったことでしょう。「きっとそっと想い届く 信じることがすべて 明けない夜はないよ」と歌う「Love so sweet」は、ライブのラストを飾るのにぴったりでした。

記者が個人的に注目したのは、中盤に披露した「Step and Go」。「どんなに離れていても 僕ら交わした声消えない」「いま僕らは交点を結び それぞれの道へと進み」「僕はそして交点の先へ いつかまたね交点の先で」――。この曲のどの歌詞を切り取っても今の嵐を表しているようで、心に染みました。

ライブを鑑賞し、嵐には友情、青春、絆をテーマにした曲が多いことを改めて痛感しました。気付けば、今まで以上に歌詞に込められた思いを受け止めようと、画面にくぎ付けになっている自分がいました。

ファンへの謝意やメッセージを表現した曲をちりばめながら、ライブが湿っぽくならなかったのは、5人の力量や絶妙なチームワーク、笑顔がなせる技。ただ、本編最後のあいさつでは松本潤さんや相葉雅紀さんが感極まって落涙し、これまであまり涙を見せてこなかった櫻井翔さんの目にも光るものがありました。

ジャニーズJr.も大舞台を経験

今ライブは、ジャニーズJr.の起用も話題になりました。「風の向こうへ」を歌った後、ジャニーズJr.の6組総勢25人が登場。Travis Japan、美 少年、HiHi JetsなどJr.を代表する人気グループばかりで、ステージに華やかさを加えました。これには「出演するなんて聞いてない」「嵐の配信、買ってない!」と焦ったファンも多かったのではないでしょうか。

ラストライブなので、嵐5人だけでも十分だったはず。しかし、あんなにも大勢のJr.をバックにつけた嵐の懐の深さや心意気には、「さすが」としか言いようがありません。なかには、Travis Japanの松倉海斗さんなど、嵐に憧れてジャニーズに入った人もいます。偉大な嵐の背中を見ながらラストライブで踊ったことは、きっとJr.にとって貴重な経験、財産になったことでしょう。実際、一瞬一瞬をかみ締めるよう、満面の笑顔で踊るJr.ばかりで、見ていてすがすがしい気持ちになりました。

ファンを気遣い、休止へソフトランディング

状況は違いますが、同じく国民的人気を得ていたSMAPの解散と比較し、嵐の活動休止への道のりはとてもスマートだったと考えます。SMAPは、2016年1月にスポーツ紙で解散が報道されると、メンバーは冠番組内で「解散はない」と否定したものの、結局、同年末に解散しました。特に黒いスーツ姿で臨んだ番組内での説明は、暗い表情のメンバーばかりで「公開処刑」とも評され、ジャニーズ事務所に対してネガティブなイメージを抱いた人も少なくありませんでした。解散前のコンサートといった大舞台も用意されず、消化不良だったファンも多かったことでしょう。

一方、嵐は活動休止を発表してから、SNS開設などファンに寄り添う姿勢を見せ、今まで以上にファンファーストに努めてきました。SMAPと同じてつは踏まず、なるべく多くの人が納得する形できちんとフィナーレを迎えるという強い意思さえ感じました。大みそかのラストライブの配信を購入した嵐のファンクラブ会員には紙チケットが送付されたり、インスタグラムに寄せられた質問に回答したり、ここ最近も「神対応」的なうれしい企画が続きました。

2019年1月の活動休止の会見で、櫻井さんが「我々からの誠意は2年近くかけて感謝の思いを伝えていく期間を設定した。これは我々の誠意です」と毅然きぜんとした態度で答えた場面がありました。ファンに恩返しをしてから休止期間に入るという考えのもと、数々の企画でまさにこの櫻井さんの回答を体現していったのです。

嵐の活動休止にショックを受けているファンも多いと思いますが、こうした気遣いで、休止をソフトランディングさせました。発表からの約2年間を振り返ると、今までのアイドルにはない美しい終わり方を見せ、アイドルの引き際の新しいモデルを示した気がします。

今年の正月は、これまで放送されていた嵐の特番がなく、記者も嵐がいなくなったことを少しずつ実感しています。現状維持すら許されないプレッシャーと闘いながら、トップアイドルとして走り続けた嵐5人は、大仕事を終えた今、ちょっとホッとした側面もあるのでしょうか。大みそかのライブで大野智さんが「明日から自分の時間を大切に生きてみようと思う」とあいさつしていましたが、そうした時間が持てているかなとも思いをはせます。

ラストライブは、8~10日に計6回、リピート配信されることが決まりました。記者も、今一度、嵐の雄姿を目に焼き付けたいと思います。

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山村翠 (やまむら・みどり)

読売新聞東京本社生活部に在籍。中学生の頃に先輩のバックで踊るKinKi Kidsの堂本光一さんを見て沼に落ち、20年以上、ジャニーズを応援。ジャニーズのコンサートや舞台を取材・執筆し、タレントにインタビューをするほか、プライベートでも様々なグループの公演に足を運ぶ。