イモトアヤコ 大切な人たちに支えられ、走り続けた13年間

インタビュー

人気バラエティー番組「世界の果てまでイッテQ!」(日本テレビ系)で、世界中をパワフルに駆け回るタレントのイモトアヤコさん(34)。このほど、自身がこれまで出会ってきたユニークな人々のエピソードをつづったエッセー集「棚からつぶ貝」(文芸春秋)を出版しました。バラエティーにとどまらず、女優やラジオパーソナリティーなど幅広い分野で活躍を続けるイモトさんに、近況や大切な人たちへの思いを聞きました。

コロナ禍の新婚生活、ほぼずっと夫と一緒

――本書は、女性誌「CREA」で連載したエッセー「旅は道づれ 世はWOW!」を書籍化したものです。出版の感想は?

私が出会った人たちのことを約3年間、日記みたいに書いていたものに加筆しました。今までも本は何冊か出したことはありますが、全部自分で書いたエッセー集は初めてで、思い入れがあります。出版できて、とてもうれしいです。

――「棚からつぶ貝」というタイトルも面白いですね。

ヘンテコなタイトルですよね(笑)。「棚からぼた餅」っぽいというか、「棚からつぶ貝」と聞いて、「え?」って引っかかってもらえたらと思って。抽象的で最初は「どうかなぁ?」と思ったけれど、みなさんに興味を持って手に取ってもらえたので、結果的に良かったのかもしれません。

――2019年11月に「イッテQ!」の番組ディレクターを務める男性と結婚して、20年はどんな1年でしたか?。

13年前、20歳で「イッテQ!」に出演し始めてから、こんなに日本にいた年は初めてです。新婚生活では夫といる時間が長かったです。

――職場でも家庭でもずっと旦那さんと一緒というのは、どういう感覚ですか?

夫は「イッテQ!」の番組スタッフですが、一緒に海外ロケに行くのは年に1、2回ぐらいで、そんなに多くはないんですよ。でも、昨年は3月ぐらいから全く海外に行けなくなってしまって、4月、5月はずっと家にいました。それで、夫といろんなことを話しました。普段はほとんどケンカをしませんが、1回大きなケンカをしたくらいかな。夫の方が大人なので、ケンカにはなりませんね。

「ジャパンツアー」で日本の良さを再発見

――昨年は、「イモト ジャパンツアー」として、日本国内でのロケが中心になりました。

それまでは「イッテQ!」では、国内ロケには行ったことがなかったので、最初は焦りましたね。「このまま海外に行けなくなるんじゃないか」とか「仕事がなくなるんじゃないか」って。でも、人ってだんだん慣れてくるもので、「時差がないのもいいかなぁ」とか「移動時間が少ないのもありがたいなぁ」「ご飯の心配もないし、今後南米とか行かれるのかな?」と、体がなまってきています(笑)。日本の地方いいですよね。まだ9県しか行っていないけれど、和歌山も岡山も良かったし、沖縄や北海道も素晴らし過ぎて。自分が住んでいる東京が特別なのかなと思い始めました。ここ数年、仕事とは別に日本を巡りたいと思っていました。ですので、仕事として日本を回れることはうれしかったですし、日本の良さを再発見しました。私、日本のことを全然知らなかったんだなって。

国内のロケは、海外と違ってトラブルが少なく、時間も正確で、予定通りに終わります。海外だと、良く言えば、時間がゆったりしているけれど、ルーズというか、事前に聞かされていたことが実際に行ってみると全然違うということが多々あって。でも、それも旅の醍醐味だいごみで、そういうのが国内ロケにはないのが、少し物足りなく感じることもあります。

――エッセーの中にも書かれていますが、海外ロケで出会った人たちとの思い出がたくさんありますね。

ミャンマーで、初めて会った日本人の私に、貴重なお菓子をくれた少年。名前も聞いていないし、ほんのちょっとの出会いでしたが、キラキラした目がとても印象に残っています。もう大人になっているでしょうね。再会してもお互いに分からないかもしれません。

――海外では、太眉にセーラー服姿のイモトさんは、どのように受け取られますか?

地域によっても違います。欧米、特にフランスでは、けげんな顔で見られます。アジア人でセーラー服を着ている大人の女性が眉を太くしている姿を見たら、それは怖いですよね(笑)。ある遺跡でのロケの時、一人でトイレに行って、出てくる時に小さい子供がいたから手を振ったら、「見ちゃいけません!」みたいな感じで、お母さんが子供をグイって引っ張って行ってしまったんです。「私って変な人なんだ。そりゃそうだよな」って。だけど、アフリカでは私を見ても、みんな無反応なんです。眉毛が太かろうが何のリアクションもない。受け入れるというか、何も感じないんですね。私の容姿に構っているどころじゃないんでしょうね。

ニューヨークへ大人な一人旅

――航空会社のマイレージがものすごくたまっているのでは。たまったマイルを使って、プライベートで旅行をすることはありますか?

友人と国内旅行に行くことはありますね。以前、プライベートでニューヨークに一人旅をしたことがあります。事務所の社長がブロードウェーに詳しいので、社長がお勧めのお芝居のチケットを1日2本、予約してもらって。ロケ用とは別の、高級なスーツケースを買って、それを一人でゴロゴロ転がしている姿を自分で見て、なんか大人でかっこいいなと思いました(笑)。全部、形から入るんですよ。「30歳、一人でニューヨークにブロードウェーのお芝居を見に行くってかっこいい」。そういうのが好きなんですよ。

「レンズ沼」にはまる

――最近は買い物をたくさんしているとか。

自分へのごほうびとして物欲に走って、ちょいちょい散財しています。写真撮影が好きなので、最近は20ミリ一眼レフカメラの交換用レンズを買いました。ずっと50ミリのレンズを使っていたのですが、どんどん欲しくなって、今度は35ミリも欲しいなぁ、ワイドもいいけど単焦点もいいよなぁって。「レンズ沼」にはまっています。

飽きるのも早いけれど、いろいろなものに好奇心を持って、今はなかなかできませんが、人に会ったり、一人で旅行に行ったり。常にワクワクした気持ちを忘れずに、若くありたいですね。ワクワクすることがないときは、自分でワクワクを作るようにしています。

安室奈美恵さんへの思い

――イモトさんと言えば、18年に引退した歌手の安室奈美恵さんの大ファンとして知られ、本書でも安室さんへの思いがつづられています。

20年以上ずっとファンで、影響を受けて続けてきたというか、支えられてきました。引退された今も支えられています。学生の頃は、部活が大変だった時とか、大人になってからは、仕事がつらかった時とか、その時その時で安室ちゃんに支えられています。レベルは違うけれど、私も人前に立つ仕事をするようになってから、より一層彼女の偉大さを感じました。改めて思うのは、25年間、安室奈美恵でい続けたことのすごさ。大変なこともたくさんあったと思いますが、ファンのために安室奈美恵でいてくれてありがとうと、感謝しています。本当にすごい人だなといまだに思います。

――台湾で、お二人が対面したとき、安室さんも泣いていて、とても感動しました。

番組のドッキリ企画で、安室ちゃんが台湾で目の前に突然現れて、私のために泣いてくれている。本当にうれしかったし、感動しました。引退されてしまいましたが、今も私の心の中には安室ちゃんが生き続けていて、励ましてくれています。これからも一生ファンでい続けます。

「太眉・セーラー服」はいつまで?

――イモトさんは、どういう思いで「珍獣ハンター・イモトアヤコ」に切り替わるのですか。「太眉・セーラー服」になると、どんな珍獣も怖くなくなる?

「太眉・セーラー服」はある意味、コスプレなのかな。演技をしているわけではありませんが、「珍獣ハンター・イモトアヤコ」になる一つのスイッチになっているのかもしれません。「太眉・セーラー服」は自分のアイデンティティーであり、私のイメージとして定着しているので、すぐに認識してもらえるし、強くて全力で頑張っている人だと思ってもらえるようになりました。みなさんにそう思ってもらえるから、自分も全力で頑張れるのだと思います。

――「イッテQ!」に出始めたとき、20歳だったイモトさんも、今月12日に35歳になります。「太眉・セーラー服」はいつまで続けますか?

どうなんでしょう? 「イッテQ!」の番組がある限りは続けたいと思います。

――5年後、10年後にチャレンジしたいことは?

「イッテQ!」は大好きなお仕事なので、海外ロケの仕事は続けたいですね。今もお芝居や、文章を書く仕事、ラジオの仕事など、いろいろやらせていただいているので、わがままですが、芸能というくくりの中で、大好きなことをやらせてもらえたらいいなと思っています。将来は、土いじりもしたいですね。何かを作りたいとか、やりたいことは年々増えてきています。なるべく周りの人をたくさん巻き込んで、助けてもらいながら、夢をかなえられたらいいなと思います。(取材/撮影・読売新聞メディア局・遠山留美)

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イモト アヤコ

1986年1月12日生まれ、鳥取県出身。タレント。2007年から日本テレビの「謎とき冒険バラエティー 世界の果てまでイッテQ!」に出演。TBSラジオの「イモトアヤコのすっぴんしゃん」では、パーソナリティーを務める。ドラマ、舞台など俳優業にも活躍の場を広げる。2020年、初のエッセー集「棚からつぶ貝」(文芸春秋)を出版