稲垣吾郎、二階堂ふみ主演映画「ばるぼら」、叙情的な映像美

マリ・クレール スタイル

映画『ばるぼら』より

映像美で知られる作品を世に送り出してきた、撮影監督のクリストファー・ドイル氏。最新作は、手塚治虫の漫画を実写化した『ばるぼら』だ。創作と作品について聞いた。

自分自身と、一緒に働く人たちを信頼する

アジア映画を中心にキャリアを重ねたクリストファー・ドイル氏は、ウォン・カーウァイ監督とのコンビでよく知られ、大半の作品で撮影を担当している。手持ちカメラやスローモーションを用いた躍動感ある映像、斬新な色彩構成など、独自のスタイルで街を叙情的に映した。

――特徴的な撮影手法はどのように生まれたのですか。

実は覚えていません。突然、流れに任せて始めたものなんです。ウォン・カーウァイ監督との仕事では、手放すこと、つまり、いろいろと考えずに撮ることができるようになりました。自分自身と、一緒に働く人たちを信頼する。映画制作よりも人生について学びましたね。

――異国情緒を感じさせる映像です。街の魅力をどう捉えるのでしょう。

物語に対して適切な場所を選ぶことは、配役と同じくらい重要です。場所を決めたら、その映画のスタイルやエネルギーは自然と決まります。大切なのは、その場所に暮らす人々、場所にまつわる物語、そして、空間そのものに親近感を抱くこと。一方で、子どものような好奇心を持って、見つめなくてはなりません。私はこれまでの人生においてずっと“外人”でしたし、常にそうありたいと思っています。

映画『ばるぼら』より。クリストファー・ドイル

――最新作『ばるぼら』では、漫画を映像にするにあたり、どのようなことを考えまし
たか。

私にとって漫画を読むことは、“身体的な”体験です。ページに触れると、キャラクターに触れているかのように感じられますし、作品の持つ雰囲気に目がくぎ付けになることがある。また、漫画はページを行ったり来たりできますが、映画にはその自由がありません。映画は時間に基づいていますから。観客が『ばるぼら』の世界に浸れるように、雰囲気やキャラクター、光、構図によって、そういった自由を観客にもたらす必要がありました。

映画『ばるぼら』より。主演は稲垣吾郎、二階堂ふみ

――完成作品をて、どう感じましたか。

いつも、もっとよくできたと感じる部分はあります。つくりながら学ぶものです。とはいえこの作品では、目指していたものを忠実に描くことができました。私たちの物語が一貫性を持っていることを誇りに思います。

(c)marie claire style/interview & text:Saya Tsukahara/photo:tommytfortwo

【映画情報】

「ばるぼら」
手塚治虫が1970年代に発表した漫画「ばるぼら」を、稲垣吾郎と二階堂ふみのダブル主演で初映像化。耽美たんび派の人気小説家・美倉洋介は、新宿で謎の女「ばるぼら」と出会う。彼女を創作のミューズと信じ、溺れ、ちていく美倉。愛と苦悩に満ちた大人の幻想物語。

監督:手塚眞
原作:手塚治虫
出演:稲垣吾郎、二階堂ふみ、渋川清彦、石橋静河
撮影:クリストファー・ドイル
配給:イオンエンターテイメント
(c)2019『ばるぼら』製作委員会
11月20日(金)シネマート新宿、ユーロスペースほかで全国公開

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クリストファー・ドイル(Christopher Doyle)
撮影監督、カメラマン

 1952年生まれ。オーストラリア・シドニー出身。76年に台湾へ渡る。主な担当作品に『欲望の翼』『恋する惑星』『天使の涙』『ブエノスアイレス』(ウォン・カーウァイ監督)、『パラノイドパーク』(ガス・ヴァン・サント監督)、『リミッツ・オブ・コントロール』(ジム・ジャームッシュ監督)、『エンドレス・ポエトリー』(アレハンドロ・ホドロフスキー監督)などがある。

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