山下智久のジャニーズ退所 開拓者、挑戦者であり続けたゆえの決断

News&Column

今年5、6月に行われる予定だった亀と山Pのコンサートのグッズ

ジャニーズ事務所は、山下智久さん(35)が10月末で退所したと発表しました。山下さんは、未成年者との飲酒が報じられ、今年8月から芸能活動を自粛中でしたが、海外作品に出演するため、退所を申し出たといいます。ジャニーズを代表する人気者の突然の退所に、ネット上では惜しむ声やエールがあふれる一方、退所が事後報告になったことなどについては厳しい意見も寄せられています。

山下さんは1996年、11歳の時にジャニーズ事務所に入所。端正な顔立ちで入所早々から注目を集め、滝沢秀明さん、嵐、関ジャニ∞などスターを輩出したジャニーズJr.の黄金期のメンバーの一人でした。2003年、9人組のNEWSの一員としてCDデビューし、2011年にはソロ活動に専念するとしてグループを脱退。その後はドラマ、映画、歌手活動など多方面で活躍し、英語を独学で学んだことでも話題になりました。

エール、祝福、苦言……ファンの反応は様々

退所の報道を受け、ファンの反応は様々です。「海外でも頑張れ!」「長年の夢がかなうなんて、すごい」など応援する声がある一方、活動自粛中に説明がないまま退所したことや、退所してから10日後の発表となったことには苦言も目立ちます。記者の知人には、今月に入ってからファンクラブを更新するため年会費の支払いを知らせるメールが届いていました。支払ってしまった年会費は返金されるようですが、退所が突然だったことが推察されます。

また、山下さんは、亀梨和也さんとスペシャルユニット「亀と山P」を組み、アルバムを発売する予定でした(新型コロナで発売は延期)。注目されていた作品だけに、「仕事は全うしてほしかった」「無責任だ」など、アルバムがリリースされるのか、心配する声も多いです。

ジャニーズJr.時代から山下さんを応援してきた記者自身、退所には複雑な気持ちです。近年、ジャニーズJr.に楽曲を提供し、プライベートで後輩たちと交流するなど、陰ながら事務所を支えていた山下さん。尊敬する先輩として山下さんを挙げるジャニーズのタレントも多く、急な退所はないと信じていました。取材現場でも礼儀正しく、謙虚だったので、退所前にファンに説明がなかったことは、彼らしくないとも思います。活動自粛になった時、「待っていてください」といったメッセージを寄せていたこともあり、なんだか「置いていかれた」という感じもしました。

インスタ更新し、決意や謝意をつづる

山下智久さんの公式インスタグラムから

11月12日、山下さんは、夕暮れの空をバックにたたずむ自身の写真と共に、退所後初めてインスタグラムを更新。ジャニーズ事務所について「僕、山下智久を生み育ててくれた生家」と表し、「その事務所を出て、子供の頃からの夢に向かい新たな一歩を踏み出していきたいと思います」と退所を報告しました。また、「この24年間、応援し続けてくれたこと、一生忘れません。皆さんから頂いた温かい言葉、たくさんの愛がどれほど僕に勇気と希望を与えてくれたことか、言葉では言い表せないほど感謝しています」とファンに謝意をつづりました。今後については、準備が整い次第、SNSを通じて知らせるとしました。
自分の言葉で記述された文面からは、真面目な人柄のほか、持ち前の行動力や闘争心で新しい世界に向かっていく決意が伝わってきました。

大学進学やソロ活動、挑戦し続け新ジャンルを切り開く

思い返せば、山下さんは常に「開拓者」「挑戦者」だったような気がします。例えば、CDデビューした翌年の2004年、明治大に進学。今でこそ大卒のジャニーズタレントは何人もいますが、当時は芸能活動をしながら大学に進学することは珍しく、大きな話題になりました。

2011年にNEWSを脱退したのも、自分の力を試したいという気持ちからでした。人気グループのセンターというポジションではなく、困難を伴う道を選択したのです。

2019年5月には、ジャニーズのタレントで初めてインスタグラムを開設。現在、約500万人がフォローし、フォロワー数は日本の男性タレントの中で最多です。料理をしたり、外国でリラックスしたりする姿など、山下さんの投稿はいつもスタイリッシュで格好いい! 時に、ストーリーズでコンビニを利用するプライベートの様子もアップし、ファンを喜ばせてきました。

海外志向が強かった山下さんは、今年はHulu配信の海外ドラマ作品「THE HEAD」に出演しました。スペインなどで行われた撮影は、英語力を生かし、通訳やマネジャーもなく臨んだといいます。

こうして、グループ活動が基本のジャニーズにおいて「グループではなく個人」「海外活動」という新しい立ち位置を確立しました。

山下さんの軌跡を振り返ると、今回の退所も、挑戦者として、常に新しい可能性を模索し続けた彼らしい決断だったのだと感じます。山下さんは多くは語らないものの、力強さやパッション、信念を胸に秘めており、そんな格好良さが後輩たちの尊敬を集めるポイントだったのかもしれません。退所についても、批判があることは、本人はおそらく承知の上。NEWSを脱退した時も賛否両論がありましたが、誠実に仕事をすることで、徐々に認められました。退所に関して今は色々な意見がありますが、一回り大きくなった姿を見せることではね返してくれるのでは……と期待しています。

自身で作詞したソロ曲「カラフル」(2005年)で、山下さんは「見えないものに立ち向かう 希望・勇気手に入れろ」と歌っています。山下さんが切り開こうとしているこれからの未来が、カラフルに彩られることを祈ります。
(読売新聞東京本社 山村翠)

あわせて読みたい