セクゾ、松島聡の復帰 療養支えたメンバーの愛心と光る知性

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Sexy Zoneを象徴するバラの花と松島さんがデザインしたツアーグッズ

パニック障害の療養のため2018年11月から活動休止していたSexy Zoneの松島聡さんが、9月12日放送の日本テレビ系音楽特番「THE MUSIC DAY」に出演しました。8月中旬、ファンクラブサイトで活動再開を発表してから初のテレビ出演で、メンバー5人そろってのパフォーマンスは約1年9か月ぶり。ファンからは復帰を喜ぶ声が相次ぎました。

松島さんはパニック障害の治療に専念するとして、2018年11月、活動休止を発表しました。発表の約1年前から、体調を崩し始めたといいます。パニック障害は突然、動悸どうき、めまい、発汗、手足の震えといった発作が起こる病気で、職場や仕事への強い不安について治療がなされないと、職場復帰が難しいとされています。

松島さんはファン思いで明るく、グループのムードメーカーだっただけに、多くの人が驚きました。真面目で、どんな仕事も一生懸命取り組む性格のためなのか、大きな仕事を任され、プレッシャーにさらされる日が続いたのだろうと推察しました。活動休止の発表以降、松島さんは一切メディアには登場せず、有料サイトでのブログの更新もなくなりました。

熱のこもったパフォーマンス、完成した「RUN」

9月12日の「THE MUSIC DAY」で、司会の櫻井翔さんに「聡ちゃん、おかえりなさい」と迎えられた松島さんは、「ただいまです、ご無沙汰しております」と笑顔。「5人でパフォーマンスできることがうれしい。何よりも(ほかの)4人が温かく迎え入れてくれたことがうれしいです」と声を弾ませました。

5人は、中島健人さんが主演を務めたドラマ「未満警察 ミッドナイトランナー」(日本テレビ系)の主題歌「RUN」を披露。これまで出演した音楽番組では中島さんがセンターでしたが、今回は松島さんを強調する粋な演出になっていました。

まず、拳を前に突き出すイントロの振りで画面に大きく映った松島さん。その表情は晴れやかでりりしく、再スタートの覚悟を感じさせました。ダンスは時折、松島さんをセンターに据えるなど、松島さんが目立つ構成になっていました。元々松島さんはダンスのスキルの高さで知られていましたが、復帰直後とは思えないほど完璧な踊りを見せ、完全復活を印象づけました。「君がいなきゃ何も始まらない」という歌詞では、松島さんがアップに。療養を経て戻ってきた姿と歌詞が重なり、胸が熱くなりました。

「困難な問題も難題も挑んで ここでやめんな やめんなよ」というソロパートで力を込める佐藤勝利さん、歌唱後に誰よりも長くお辞儀をする菊池風磨さんなど、松島さんを支える他のメンバーにも心引かれるものがありました。

これまで4人で歌ってきた「RUN」。ようやく欠けていたパズルのピースがはまり、完成形を見たような気持ちになったと同時に、やはりSexy Zoneは5人であると痛感しました。ツイッターでは「#これから5人のRUNを聴け」「聡ちゃん」「セクゾ5人」といったワードがトレンド入りし、ファンの歓喜の声があふれました。

何より、一度立ち止まっても、輝きや自信を増して社会に復帰する姿を見せた松島さんは、アイドルという枠を超えて多くの人に勇気を与えたことでしょう。

ファンに向けてのみ、松島さんの存在を発信した4人

復帰した松島さんはもちろん、4人のメンバーも、悲観することなく走り続けたように思います。

4人は度々、松島さんの存在を感じさせる言動を見せ、ファンがさみしくならないよう努めてきました。例えば、昨年11月に音楽番組に出演した際、中島さんは、松島さんがよくやっていた鼻の下に人さし指を当てて投げキスをするしぐさをしました。菊池さんは、自分たちのラジオ番組で誕生日に松島さんからお祝いのメッセージが届いたエピソードを披露。昨年のコンサートツアーでは、本編最後に、松島さんと思われる青年が4人に駆け寄るイラストがスクリーンに映し出されました。同ツアーの横浜アリーナ公演では、菊池さんの提案でペンライトを松島さんのメンバーカラーである緑色にし、会場全体が緑一色に染まる場面も。メンバーたちは「緑がきれい。絶対に5人でライブする」などと口にし、公演を終えました。

ただ、これらのアクションは、ファンしかいない場だったり、ファンに向けて「におわせる」程度のしぐさだったりしました。公の場で松島さんの休養を強調しなかったのは、松島さんに余計なプレッシャーを与えないためだったのかもしれません。

松島さんのファンは松島さん抜きで活動が進むことにさみしさを覚えたかもしれませんが、4人は、グループや個人の魅力をパワーアップさせることが、松島さんが帰る場所を守ることにつながると考えたのではないでしょうか。ファンや休養中のメンバーに寄り添って今取るべき最善策を考えられる――。そんな聡明さや優しさ、芯の強さこそSexy Zoneの武器であると感じます。

新時代にふさわしいアイドルへ

Sexy Zoneは2014年~15年にかけて佐藤さん、中島さん、菊池さんの3人と、松島さんとマリウス葉さんの2人とが、別々に活動し、ファンはいつ5人体制に戻るのかやきもきしていました。その時も5人は目の前の仕事に懸命に取り組んでいましたが、正直、今回ほどの強さ、肯定感、温かさはなかったように記憶しています。年月を経てメンバー間の結束が強まり、松島さんやグループ、そしてファンを大切にするという気持ちで一致し、力走する姿に頼もしさを感じました。今のSexy Zoneは、誰のために、何のために、何をすべきかといった目的意識のようなものが共有できているグループに成長したのではないでしょうか。

松島さんの復帰後、初のシングルとなる「NOT FOUND」のリリースも発表され、ますます勢いづきそうなSexy Zone。令和は、寛容の心で、多様性を尊重することが求められる時代などと言われています。デビュー曲で「時代を創ろう Sexy Zone」と歌っていましたが、苦難の中で知性や優しさを確かなものにした彼らは、まさに新時代にふさわしいアイドルのような気がします。(読売新聞東京本社 山村翠)

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