俳優・城田優さん(34)が、ディズニー&ピクサー最新映画「2分の1の魔法」の日本語版声優として登場します。生まれる前に父親を亡くした内気な少年イアン(声・志尊淳さん)を支える、陽気で好奇心旺盛な魔法オタクの兄バーリー役です。「一度でいいから、父さんに会いたい」という弟の願いをかなえるため、二人は冒険の旅に出ます。役づくりや見どころについて、城田さんに聞きました.
魔法オタク、少年心が魅力的
――この作品の最初の印象を教えてください。
魔法オタクのバーリーは自分みたいだなあと思いました。僕もゲームが大好きで、ロールプレイングゲームでも何でもするほうなので。空気なんて読まないし、自分の興味・関心にまっしぐら、という感じです(笑)。少年の心を持っているというか。初めてアフレコしたときは、声を当ててみて、「もっと太い声も出せますよ」と言って演じてみたのですが、「あまり作り込まず、ありのままの感じで行ってみましょう」と言われました。
――ディズニー映画について、どんなイメージを持っていますか?
子供のころから「アラジン」や「トイ・ストーリー」を見ていたので、ディズニーのアニメ作品にはいつか出演したいと思っていました。出演が決まって、ジュンちゃん(志尊淳さん)と「これは奇跡なんじゃないか」と話したほど、うれしかったです。ディズニーの映画は、夢と希望の世界。せつない場面もあるけれど、主人公がくじけそうになっても最後に愛が勝つんです。今回のイアンとバーリーの二人とも、本当に魅力的なキャラクターでした。僕は、バーリーに感情移入することができて、とても楽しかったです。
振り幅は、大きいほうが面白い
――バーリーは魔法について早口で説明したり、ボロボロの愛車を運転してイアンの学校に現れたり。ハイテンションで破天荒な面があるかと思うと、ドーンと落ち込む場面もあります。落差を演じるのは大変でしたか。

たしかに感情の振り幅は大きいですね。でも人間って、振り幅が大きいほうが面白いんじゃないかなと思います。目を輝かせて魔法について説明するときがあるかと思えば、すっかりすねてしまい、弟につっかかるときもある。どのシーンも感情移入できました。作品を見て、いとおしいなあと思います。
――志尊さんとは、以前から親しいのですか?
ジュンちゃんとは5、6年前からプライベートでも親しくしています。9歳年下ですが、タメ口で話します。僕には兄と姉、妹がいますが、唯一、弟だけはいなくて、弟に一番近い存在と言えば、ジュンちゃん。彼の演技も素晴しかったです。僕は彼の声を聞きながら演技できたので、ずいぶん助かりました。
表情豊かなバーリー、眉毛の動きまで繊細に
――アフレコしてみていかがでしたか。
一番難しかったのが、口の動きが合うかどうかという点です。バーリーが眉毛を上げて、すごんでいるのに、日本語のセリフがその動きとなかなか合わないことがあり、話すスピードを調整して、何とか合わせました。精巧にできているアニメーションならではの悩みだと思います。
――撮影中、のどのケアは?
何より乾燥が悪いと思ったので、水分を欠かさないようにして、短いプレビューのときには、アメをなめるようにしていましたね。映画の中で、魔法で体が小さくなってしまう場面がありますが、演技を小さくしたわけではありません。実際は声を通常以上に大きく張り出しているんですよ。そのうえ、アクションシーンなどもあって、苦労しました。
一歩踏み出す勇気を持とう
――この作品をどんな人に見てほしいですか。
イアンとバーリーは、二人でひとつ。まさに「2分の1の魔法」なんです。親子でも兄弟でも友人でも恋人でも、どんな人間関係でも、支える立場、支えられる立場、どっちの立場なんだろうって、置き換えて考えることができます。この作品を見てもらって、イアンやバーリーと同じように、一歩でも踏み出す勇気を持てるようになったら……。演じている僕自身、ボロ泣きのシーンもありましたから、ぜひいろんな人に見てほしいです。
(聞き手/読売新聞メディア局 永原香代子、撮影/遠山留美)
公開情報
映画『2分の1の魔法』
8月21日(金)
【予告編(YouTube)】
【ストーリー】 はるか昔、世界は魔法に満ちていたが、時の流れと共に魔法は忘れられていった。そんな“魔法が消えかけた”世界に暮らす少年イアンは、自分に自信が持てず、何をやっても上手くいかないことばかり。そんな彼の叶わぬ願いは、生まれる前に亡くなった父に会う事。16歳の誕生日プレゼントに、父が母に託した魔法の杖を贈られたイアンだったが、魔法に失敗して“半分”だけの姿で父を復活させてしまう! 魔法オタクで陽気な兄バーリーの助けを借りて、イアンは父を完全に蘇らせる魔法を探す旅に出るが、彼らに残された時間は、あと24時間しかなかった…。
監督:ダン・スキャンロン
プロデューサー:コーリー・レイ
製作総指揮:ピート・ドクター
日本語版声優:志尊淳、城田優ほか
配給:ウォルト・ディズニー・ジャパン
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