山田孝之、シングルファーザー役で新たな顔

インタビュー

俳優の山田孝之さん(36)が、重松清さん原作の小説を映画化した「ステップ」(7月17日公開)で、主人公のシングルファーザー役を演じました。2019年には、Netflixオリジナルシリーズ「全裸監督」での個性的な演技が話題になった山田さん。「ステップ」では、妻に先立たれ、残された幼い一人娘を戸惑いながら育てる主人公・武田健一の10年間が描かれています。山田さんに作品の見どころについて聞きました。

幼い娘との「再出発」を決意

(C) 2020映画『ステップ』製作委員会

――本作では、健一が妻を亡くしてから1年後、幼い娘を抱え「再出発」を決意したところからストーリーが始まります。父親を演じることは少ないとのことですが、シングルファーザー役は珍しいですね。

父親役は全くないわけではありませんが、確かにシングルファーザーは珍しいですね。でも、AV監督や闇金業者の役だって、1回しかないですよ(笑)。

――コミックなどが原作の個性的なキャラクターを演じる山田さんが印象的なので、逆に仕事と育児の両立に悩みながらも、ゆっくりと成長していく健一の姿は新鮮に映りました。

普通の役も演じているんですけれど、そちらの方がインパクトが強いのかもしれませんね。この作品は、仕事や育児に奮闘するシングルファーザーの日常を描いているんですが、こういった作品を世の中に出すこともきっと意味があると思います。

――山田さんは、製作者や起業家として映画製作の裏方に回るのではというニュースを耳にしていましたが、19年は「全裸監督」での演技に注目が集まりました。

俳優業から監督業にシフトしていくというよりも、両方並行してやっていこうと思っています。

――「ステップ」の飯塚健監督からは、どのようなオファーがありましたか?

飯塚監督とは「荒川アンダー ザ ブリッジ THE MOVIE」(12年)や、テレビドラマ「REPLAY & DESTROY」(15年)で一緒に仕事をさせていただき、今回で3回目です。これまでの2作品はコメディーでしたが、本作では、父子の日常と、二人を取り巻く人々を描いています。脚本も飯塚監督が書いているんですが、飯塚監督が「この作品を孝之とやってみたい」と言ってくれて。僕も脚本を読んで、「飯塚監督がこの作品を撮ったらどうなるのかな。健一を演じてみたいな」と思いました。

――娘の美紀役を3人の子役が演じ分け、時間の経過とともに「イヤイヤ期」「反抗期」「思春期」と変わっていきます。それを受け止める父親としての苦労はありましたか?

知っている人から見れば「ああ、イヤイヤ期ね」ってわかるかもしれませんが、健一は「なんでイヤイヤばっかり言うんだろう?」って何もわからないんです。幼稚園の送り迎えの時に、手を引っ張って連れて行って、ぐずっていたかと思うと、少し大きくなって小学校に連れて行くときは、今度は「パパ、ここまででいいよ」って言われて。

(C) 2020映画『ステップ』製作委員会

――「急に大人になるなよ」と戸惑いながら美紀に言う健一が印象的でした。美紀がどんどん大人びてきたときの健一の心境は?

母親が亡くなってからの10年間を描いているので、美紀が思春期を迎えて、親との距離を取りたくなってきたら、それは寂しいけれど、そういう年齢だから仕方がないよな。親だからってプライバシーに踏み込まないようにしないとなって感じで。父親としてわかっていることだから、あまりつらさはなかったと思います。

――健一が、広末涼子さん演じる職場の同僚・斎藤奈々恵と交際し、美紀に紹介しようとするシーンは、とても丁寧に描かれていると感じました。

娘が頑張って気遣ってくれるんですが、一緒に食事した次の日は必ず熱を出したりと、体調を崩してしまうんです。娘にとっては確実に受け入れられない、受け止められずに無理をしているのが健一にはわかる。でも、奈々恵と一緒になりたい、サポートしてほしいという気持ちもあります。このまま奈々恵と交際を続けていいのか悩み、健一の心はもどかしく揺れ動きます。

身にしみる人の優しさ

――義理の家族をはじめ、周りの人々の優しさを感じました。

(C) 2020映画『ステップ』製作委員会

妻の死後も息子のように気遣ってくれる義父・明(國村隼さん)をはじめ、かつて美紀を養子にしてもいいと言ってくれた義兄夫婦の良彦(角田晃広さん)と翠(片岡礼子さん)も、奈々恵との交際に背中を押してくれます。

――山田さんにとっての理想の家族像はありますか?

今は大変な時期ですが、みんなが健康で暮らせることが一番だと思います。

――最後に映画の見どころをお願いします。

この作品には多くの登場人物がいて、多くの角度からの視点があるので、映画を見る方の年齢や性別を選びません。どんな方でも共感したり、喜んだり泣いたりしてもらえると思います。人それぞれで見方が違い、5年、10年たってもずっと寄り添ってくれる作品になっています。原作者の重松さんも、試写を見て「続編を書きたい」と言ってくれました。健一と美紀の今後も見てみたいですね。

(取材/撮影:メディア局編集部・遠山留美)

山田孝之(やまだ・たかゆき)
俳優

 1983年、鹿児島県出身。99年に俳優デビューし、2003年「WATER BOYS」(フジテレビ系)で初主演。映画「電車男」(05年)でも主演を努めた。その後「闇金ウシジマくん」シリーズ、「勇者ヨシヒコ」シリーズなどに出演。

【映画情報】
映画「ステップ」7月17日(金)から全国公開
脚本・監督・編集:飯塚健
キャスト:山田孝之、田中里念、白鳥玉季、中野翠咲、國村隼、余貴美子、広末涼子、伊藤沙莉、川栄李奈
公式サイト:https://yayoi-movie.jp/
(C) 2020映画『ステップ』製作委員会
主題歌:秦基博「在る」(AUGUSTA RECORDS/UNIVERSAL MUSIC LLC)

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