KAT-TUN上田の起用は「大正解」、進化止まらないSHOCK

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KinKi Kidsの堂本光一さんが主演を務める舞台「Endless SHOCK」が2月4日、東京の帝国劇場で始まりました。同作は2000年の初演以来、出演者を変えるなどしながら上演を重ね、今年で20周年を迎えます。今回はライバル役にKAT-TUNの上田竜也さんを抜てきするなどキャストを大幅に刷新し、演出や衣装の一部も変更。作品に新風を吹き込んでいます。

同作は、2000年に「MILLENNIUM SHOCK」として上演されたのが始まり。2005年からは「Endless SHOCK(以下SHOCK)」として内容を一新し、光一さんも演出、脚本、音楽を手掛けるようになりました。

舞台はニューヨーク。光一さん演じる主人公・コウイチたちは、良いショーを作ろうと日々奮闘します。ある日、コウイチたちのショーが絶賛されて大劇場に進出しますが、ショーの方向性を巡って衝突し、徐々にカンパニーの歯車が狂っていきます。

SHOCKファンの記者も、2月上旬、帝劇に出向きました。SHOCK観劇後は、いつも程よい疲労感に包まれます。それもそのはず。歌や踊り、殺陣、階段落ち、フライングなどが次々に繰り広げられ、観客も見逃すまいと3時間以上集中しています。何より、客席の隅々まで伝わってくる演者の熱量がすごい! そのパワーに圧倒されて疲れる……とも言えますが、同時にファンとして、毎公演手抜きなく臨み、ブラッシュアップを重ねる光一さんのことが誇らしくなり、劇場に足を運ぶのをやめられません。

コウイチの死、より叙情的に描く

今年のSHOCKでは、演出や衣装の刷新がいくつかありました。特に2幕でコウイチが死ぬクライマックスシーンの変更には驚きました。詳細は省きますが、コウイチが身につけていたネックレスを用いて、コウイチの逝去をより叙情的に表現し、はかなくて切ない余韻が胸に残りました。

昨年7月にジャニー喜多川さんが亡くなってから、初めてとなる帝劇でのSHOCK。ジャニーさんの死で光一さんの死生観に何か変化があったのか、聞いてみたくなりました。

上田さんが得意のラップを劇中で披露したことも、斬新でした。2人で相談して決めたそうですが、個性を生かした光一さんの演出力の高さ、新しいものを取り入れる柔軟性に感心させられました。自分も座長として舞台に立ちつつ、他の演者をどう輝かせるか思いを巡らせることは、なかなか出来るものではないでしょう。

同様の演目を20年も続けていると、リピーターも増え、観客の目も肥えてきます。「Show must go on」がSHOCKのテーマですが、どうしたらもっと観客を魅了できるか模索を続ける光一さん自身が「Show must go on」を体現しているのです。

上田さんの存在感に目がくぎ付け

今年注目していたのは、「タツヤ」の役名で、初めてライバル役を務める上田さんです。これまで屋良朝幸さん、内博貴さん、中山優馬さんなどが、コウイチと衝突するライバル役を演じてきました。屋良さんは「コウイチが好きだけどこじらせてしまい、嫉妬や闘争心が芽生えた」役柄、中山さんは「コウイチに憧れを抱く弟」のようでした。演じる人によって役へのアプローチ、物語の解釈、セリフの言い回しが異なり、観劇する上で興味深いポイントです。

上田さんの起用はひと言で言うならば「大正解」だと感じました。歌、踊り、芝居など予想を上回るパフォーマンス力で圧倒的な存在感を放っていました。

コウイチと「対等」、新たなライバル像

まず、ちょっとヤンチャな雰囲気の上田さんは、これまでのライバル役にはなかったガラの悪さを見せつけ(褒めています)、とても新鮮でした。1幕、コウイチとタツヤの対立が決定的になる場面ではコウイチに「てめぇのせいだろ!」といらだちをぶつけ、椅子を激しく蹴ります。事務所の先輩で、大御所といえる光一さんに「てめぇ」と言い放てるライバル役は、これまでにいたでしょうか。

また、1幕の終盤、殺陣のシーンでは目をギラギラさせ、コウイチに立ち向かっていきます。刀を肩に担いで相手をにらみ付けるなど、コウイチへのいらだち、嫉妬、怒りといった感情を全身で表現しています。野武士姿の上田さんの腹部に施したタトゥーのような装飾も雰囲気を盛り上げ、ここまで上田さんと殺陣、刀との相性が良かったとは……と客席でしびれました。

いい意味で光一さんに対して遠慮がなく、コウイチとタツヤにおける「対等」の関係性を強調していました。

これまでのライバル役は、どんなに頑張ってもコウイチにはかなわないというコンプレックスが見え隠れしていました。一方、上田さんは、卑屈さはあまりなく、自己肯定感や自信がにじみ出ています。それは舞台上で彼が放つ華ゆえか、KAT-TUNとして長年歩んできたキャリアがなせる技なのか……。いずれにしても、上田さんの自己肯定感も「対等」の構築に一役買っていました。

緩急のある演技も見どころ

2幕では一転、コウイチが死んだと知ったタツヤは震えて落涙し、深い悲しみに暮れます。1幕でオラオラ感を見せ、虚勢を張っていたからこそ、2幕での弱さが引き立ち、迫真の演技に引き込まれました。演技の振り幅の大きさは、「さすが蜷川幸雄さんが演出した舞台に出演歴がある上田さん!」といったところです。

上田さんといえば、以前出演した歌番組で泣いてしまうなど、ふとした時に見せる優しさや繊細さも魅力。2幕でコウイチや仲間と和解するシーンでは素直に頭を下げるなど、持ち前の優しさが光ります。ただの「強がっている嫌なヤツ」で終わらない、バランスの良さを感じました。

上田さん=不良キャラ、イカついといったイメージと、コウイチに闘争心を抱くライバル役の親和性が高いことは言うまでもありません。それに加えて、上田さんなりに役作りした努力も感じます。だからこそ、初めてのライバル役なのにスーッと観客に入り込んでくるのでしょう。

指先までピシッと伸ばすなど、丁寧に踊ろうと気配りしていた姿も好印象でした。KAT-TUNのライブでの上田さんは、ちょっと踊り方に自由さを感じたことも。しかし、SHOCKでは舞台人の一員として「和」を重視し、しっかり切り替えていました。また、自分を抜擢してくれた光一さんの期待に応えようという、尊敬に似た情愛も表れているようでした。

記者が観劇した公演は幕が開いて日が浅かったこともあり、上田さんにはまだ緊張や硬さが感じられた部分もありました。3月末の千秋楽まで役をどう自分のものにしていくか、進化が楽しみです。

今年のSHOCKは公式インスタグラムを開設し、帝劇近くの日比谷シャンテで過去の新聞記事を展示するイベントを開催するなど、周辺もにぎやかです。劇場の内外でひと味違った楽しみ方に出会えそうです。

(読売新聞東京本社 山村翠)

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