芸能界デビューから10年…森川葵「唯一無二と言われたい」

インタビュー

強烈な個性を放つ役柄を変幻自在に演じ、「新世代のカメレオン女優」とも称される森川葵さん。話題の映画やテレビドラマに引っ張りだこで、31日には出演映画「うそ八百 京町ロワイヤル」が公開されます。今年、芸能界デビュー10周年を迎えた森川さんに、映画の見どころ、そして、女優としての生き方について聞きました。

「笑いあり、涙あり」さらにダイナミックに

――「嘘八百」は、中井貴一さん演じる古美術商・小池則夫と、佐々木蔵之介さん演じる陶芸家・野田佐輔のコンビが「幻の茶器」を巡って騒動を巻き起こすコメディー作品です。2018年に第1作が公開され、今回の「京町ロワイヤル」はその続編となります。森川さんは前作に引き続き、則夫の娘・いまりを演じています。再びの中井さんとの共演はいかがでしたか。

貴一さんには「懐の深さ」を感じました。親子というのは、お互いの距離感がとても近い関係です。大先輩である貴一さんと演じる時に私が萎縮いしゅくしてしまうと、そうは見えなくなってしまう可能性があります。でも、貴一さんは「オウッ、森川、元気か!」といった感じで私に心を寄せてくださって、親子の距離感を作ってくださるんです。例えば、今作だと、いまりがお父さんの肩をパンッとたたくシーンがあります。普段ならもちろん、そんなことはできないけれど、貴一さんは「親子なんだから大丈夫」という関係性を作ってくださるんです。貴一さんには「本当にいつもありがとうございます」という思いです。

――古美術を見る目は利くものの商売下手な則夫に対し、娘のいまりは時折厳しい言葉を投げかけますが、本当は父親思い。すてきな親子ですね。

親子だけれど、すごくフラットな関係なのがいいですよね。親が子供を上から目線で見ていないし、お互いに「それって、どうなの?」と言い合える関係なのがすごくいい。私は母とそんな関係です。私も母も、思ったことがあればきちんと言い合えるので。

――他の作品では同世代の俳優との共演が多い森川さんですが、本作では、中井さん、佐々木さんをはじめとするベテラン俳優がたくさん顔をそろえ、メインキャストの中では森川さんが最年少です。撮影現場の雰囲気はいかがでしたか。

同世代がいっぱいいる現場に比べたら、やはり落ち着いた感じです。街の中で撮影していると、自転車に乗って買い物に来たお母さんたちが「アーッ」って反応するんです(笑)。街のざわつき方が、いつもの現場とちょっと違うなと感じましたね。

――いまりの職業は占い師です。森川さんは占いに興味は?

お仕事で占い師の方に見ていただいたことがありますが、プライベートで見てもらったことはありません。たまにインターネットで週間占いなどを見たりすることはあるけれど、お金を払って占ってもらったことはないですね。

――和服姿の京美人・橘志野(広末涼子さん)の母親が、夫の形見として大切にしていた中世の茶器を何者かにだまし取られ、志野が則夫の店に相談に来たことがきっかけで、則夫と佐輔は古美術界の「贋物がんぶつビジネス」の陰謀を暴こうと動き出します。森川さんには何か大切にしているものはありますか。

最近、「瓶手びんてまり」というものを買いまして。口の小さなガラス瓶の中に手まりが入っているのですが、これが本当に美しく、すてきなんです。以前、母とレストランに出かけた時に、テーブルの上に瓶手まりが置いてあって、「どうやって瓶の中に手まりを入れたんだろう?」ってすごく気になったことがあったんです。調べてみたら、東京では売られていないものらしく、その後、作り方や売っている場所を調べて、最近やっと、生産地の滋賀まで行って手に入れました。生涯、大切にしたい私の宝物です。

――本作の見どころを教えてください。

前作も「笑いあり、涙あり」でしたが、本作は広末さんも加わって、さらにダイナミックな作品になったと感じています。素晴らしいベテランの俳優さんがたくさん出演していて、しかもシリアスじゃなくて笑える映画って、なかなかないんじゃないかと。ぜひ劇場で、声を上げて笑いながら見ていただきたいです。

(c)2020「嘘八百 京町ロワイヤル」製作委員会

今年25歳「大人の女性」を意識

――2010年に「ミスセブンティーン」に選ばれて芸能活動を始め、今年で丸10年ですね。10年間を振り返ってみて、感じることはありますか。

この10年、実は女優の仕事を続けていけるかどうか、不安に思っていた時期が多かったんです。「同世代の女優さんはたくさんいるんだから、別に私じゃなくても……」という思いもありました。でも、20歳を過ぎた頃、自分自身が大人の女性になっていくのに合わせて、「落ち込んでいるだけじゃダメだ。自分でモチベーションを上げていかなくちゃ」と思い始めたんです。10年という期間を経て今は、私がこの世界に存在する意味というものを少しずつ見いだせるようになったかなと。

――今年6月、25歳になります。今までは学生の役も多かったと思いますが、これからは名実ともに「大人の女性」としての役どころが期待されるのでは。森川さん自身は、25歳という年齢を意識しますか。

やっぱり意識はしますね。私はそんなに「大人の女性」というビジュアルではないので、メイクや心の持ち方を変えることで、自分から少しずつ大人に近づこうと意識しています。そうしないと、私はずっと制服を着て演じられるタイプの女優だと思うので。「母親役ができる女優」が目標なので、それを目指して、どんどん大人になっていきたいですね。

――健康や美容の面で心掛けていることがありますか。

お風呂につかるのがちょっと苦手だったのですが、最近やっと、お風呂の気持ち良さが分かってきたんです。メイクさんにいただいた漢方の入浴剤を入れて、長めにお湯につかっています。それからスキンケアでは、以前はあまり気にせずに化粧品を使ったりしていたけれど、自分の肌に合ったものを探して試してみるようになりました。

――どんな生き方を目指したいですか。

「森川葵って唯一無二だよね。代わりが利かないよね」って言われるような人間になりたいです。私にしかできないような生き方ができたらいいなと思います。

(取材/読売新聞メディア局 田中昌義)

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森川 葵(もりかわ・あおい)

1995年生まれ、愛知県出身。2010年、雑誌「セブンティーン」のモデルとしてデビュー。12年に女優デビュー。主な出演映画に「渇き。」(14年)、「TOO YOUNG TO DIE! 若くして死ぬ」(16年)、「恋と嘘」(17年)、「リバーズ・エッジ」(18年)、「OVER DRIVE」(同)、「映画 賭ケグルイ」(19年)、「耳を腐らせるほどの愛」(同)など。

映画『嘘八百 京町ロワイヤル』1月31日(金)より全国ロードショー
出演:中井貴一、佐々木蔵之介、広末涼子、友近、森川葵、山田裕貴、坂田利夫、前野朋哉、木下ほうか、宇野祥平、塚地武雅、桂雀々、吹越満、坂田聡、Blake Crawford、冨手麻妙、山田雅人、浜村淳、国広富之、竜雷太、加藤雅也ほか
監督:武正晴
公式サイト