出演本数1位の新井恵理那アナ 局アナ試験全滅の過去を乗り越え

インタビュー

初のフォトエッセーを出版

フリーアナウンサーの新井恵理那さん(29)が、初のフォトエッセー「八方美人」(宝島社、定価1300円=税別)を出版しました。朝の情報番組「グッド!モーニング」(テレビ朝日系)をはじめ、報道番組やバラエティー番組に多数出演するなど、マルチに活躍している新井さん。米カリフォルニアで生まれ、ミス青学を経てアナウンサーになるという華やかな経歴を持っていますが、本書では、フリーランスならではの苦悩や挫折を明かし、順風満帆ではなかった30年の人生を振り返っています。著書に込めた思いやプライベートの過ごし方などについて聞きました。

午前2時半起床「寝たまま連れて行かれる……」

新井さんは、テレビ局のアナウンス部ではなく、フリーアナウンサーが多く所属するプロダクション「セント・フォース」と契約しています。今年7月に発表された「2019上半期テレビ番組出演本数・女性タレント部門ランキング」(ニホンモニター調べ)で、2016年以降、トップの座を守り続けていたお笑いコンビ・ハリセンボンの近藤春菜さんを抜いて、初の1位となり話題を集めました。

――月曜日から金曜日まで、「グッド!モーニング」のキャスターとして生放送に出演されていますが、就寝時間と起床時間は?

15年から出演していますが、夜8時半から9時くらいの間に寝て、夜中の2時半くらいに起きます。起きてから10分くらいで身支度を整え、朝ご飯を持って家を出ます。寝たまま車で連れて行かれる感じですかね(笑)。

――睡眠は十分取れていますか?

寝るのはわりと得意分野です(笑)。入浴はちゃんと湯船につかるように心がけています。以前は夜型でしたが、5年以上、朝型の生活をしているので、今は昼夜逆転の生活に慣れました。疲れてもいるので、スーッと寝られるんです。

――朝ご飯は何を?

一応、栄養のバランスを考えて、前日の夜にご飯とサラダとフルーツを入れたお弁当を作って、仕事場に持っていきます。

――局に着いてから、放送までの間は何をしているのですか?

その日に放送するニュースのラインアップについて打ち合わせをします。エンタメコーナーやスポーツコーナーなどを担当しているので、新聞各紙や他局のニュース番組をチェックしたり、原稿を読む練習をしたりしてスタンバイしています。

出演本数1位「想像もしていなかった」

――出演本数1位になった実感は?

お仕事は自分ができることを精いっぱいさせていただきましたが、(心が)いっぱいいっぱいになって、周りも見えなくなってしまうこともありました。一生懸命働いた結果がこのような数字になって表れるなんて、自分では想像もしていませんでした。一番働いていたなんて考えられません。びっくりですね。

――土曜日の夜も、生放送の「新・情報7days ニュースキャスター」(TBS系)でお天気コーナーを担当していますね。生活のリズムが乱れませんか? 健康面で気をつけていることは?

ただでさえ、生放送は気にかけることが多いんです。以前、早朝のお仕事をしていたときに、体調を崩してしまったことがありました。健康に不安を抱えたままお仕事を続けていくのは大変ですので、体調を崩さないことを目標に、自分でバランスの良い食事を摂るよう気を使っています。楽屋に用意されたお弁当だけだと、どうしても野菜不足になりがちなので、野菜を自分で用意します。忙しくても絶対に食事を取ること。あとは、できるかぎりちゃんと寝ること。当たり前のことを努力してしっかり行うようにしています。

――オフの過ごし方は?

金曜日の生放送に出演後、収録がないときは、翌日の放送まで自由な時間があるので、音楽ライブに行ったり、1泊旅行に出かけることも。やりたいことがあってもできないのはすごくストレスを感じるので、できる限りどこかに出かけようと思っているんです。とは言っても、仕事が増えてからは、やりたいことを全部やるとかえって疲れてしまうので、気持ちにブレーキをかけるようにしています。基本的に日曜日は、愛鳥のインコと遊ぶなどして、ゆっくり過ごします。近場で日帰りトレッキングをすることもあります。

タイトル「八方美人」に込めた思い

――著書のタイトル「八方美人」にはどのような思いを?

写真提供:宝島社 撮影/藤代冥砂

「八方美人」って、本来は「どこから見ても完璧な美人」という意味だそうですが、今は「誰にでもソツなく、いい顔を振りまいて、当たり障りのない人」といったマイナスのイメージがあります。私には大きな夢も飛び抜けた才能もないけれど、いろいろなことに興味を持っていて、好きなことがたくさんあります。そのため、いろいろな方向を見てしまい、ひとつのことに絞れない。そんな自分の性格を「八方美人」と表現させてもらっているんです。ジャンルにとらわれず、チャレンジしていくうちに、やっと自分の居場所を見つけることができました。

――今、はまっていることや気になっていることはありますか?

独学ですが、イラストを描いています。楽しくて、もっと上達できればと思います。山登りをしたり、フットサルやバドミントンをしたりするのも好きです。先日、「リアル脱出ゲーム」に挑戦したら、かなり熱中してしまいました。あと、カメラで写真を撮ることにも興味があります。気になること、やりたいことがいっぱいあるんです。

輝かしい経歴も「順風満帆」ではなかった

――海外生まれ、青山学院大学出身、ミス青学コンテスト優勝と、女性アナウンサーの王道とも言える華やかな経歴で、挫折とは無縁に思われます。

アメリカ生まれといっても、英語が得意なわけではありません。先輩のアナウンサー同様、ミスコン優勝後に周りから「アナウンサー試験、受けてみれば?」と勧められ、民放の在京キー局4社の試験を受けたけれど、全滅でした。それが最初の挫折です。そんなに順風満帆ではなかったんです。そんな経験も今となっては、いい思い出です。アナウンサーって華やかに見えるかもしれませんが、そんなことばかりじゃないって、知ってほしいです(笑)。

――お父さんがアナウンサーになることを望んでいたそうですね。

子どものころから「お前はセント・フォースに入り、フリーアナウンサーになるんだ!」と予言のように言い聞かされていたので、私も心のどこかで意識していたのかもしれませんね。

――お父さんの願いが実現したのですから、親孝行ができましたね。

そうですね(笑)。アナウンサーになった時、父は自分のことのようにとても喜んでくれました。

――テレビ局に所属していなければ、上司も部下もいないわけですが、局アナとの違いや苦労したことはありましたか?

フリーなので、テレビ局のようなきっちりしたアナウンサーの研修もありませんでした。駆け出しのころはほとんど仕事がなく不安でした。体調を崩してしばらくお休みしたときも、「この先どうなるんだろう」と不安ばかりでした。お仕事の内容が頻繁に変わる時期もありましたが、そのころにいろいろな経験をしたことによって仕事の幅が広がり、ステップアップにつながったので良かったと思っています。型にはまらないというのもフリーの良さではあるけれど、逆に型がないのでどうしたらいいんだろうって悩んだこともありました。でも、そこにとらわれる必要がないのだと気づいてからは、気持ちが楽になりました。自分にはフリーのほうが合っていたんだと思います。

――生放送の番組に多く出演していますが、大きな失敗は?

いろいろあります。初回の出演時にお天気の原稿をいきなり間違えて読んでしまい、間違えたことに気づきもせず、後で他のキャスターに訂正してもらったことがありました。

――最近、女性フリーアナウンサーの電撃結婚発表が相次ぎました。将来のライフプランはありますか?

以前は、結婚が仕事への支障になると思って避けていたところもありましたが、今はそういう考えはなくなってきました。昔は、女性アナウンサーといえば、30歳前後で結婚し、引退するのが当たり前でした。でも今は、結婚し、出産しても、第一線で働き続けている方もいます。それがもっと当たり前になればいいなと思います。

――「今は結婚より仕事」と答えている5年前のインタビュー記事を読みました。その後、結婚観は変わりましたか?

うーん……いまだに考えられていないような。でも、変化してきたと思います。今は仕事が忙しく、充実した日々を送っていますが、5年前のように「仕事が一番!」とも言い切れなくなってきました。もちろん、今まで積み上げてきたキャリアも大切だけれど、今年30歳になるので、そろそろ現実的に結婚や出産のことも考えたほうがいいのかなと思うようになってきました。

――同じインタビューの中で、好きな男性のタイプを「ちょっとどこか抜けた人」と答えていました。理想の男性像に変化はありますか?

最近は、おだやかに一緒に笑っていられる人がいいな、と理想を抱くようになってきたのですが、5年前も今も、気を許せる人が理想なのではないかと思います。

目標は所ジョージさん

写真提供:宝島社 撮影/藤代冥砂

――北野武さんや所ジョージさんをはじめ、多くの大御所司会者と共演していますが、刺激や影響を受けたことはありますか?

ありがたいことに、多くの貴重なアドバイスや前向きになれる言葉をいただいていて、どれも大切にしています。人としてこうありたいなと思っているのは、所ジョージさんです。所さんのように誰からも親しまれる、温かみのある人になりたいです。所さんの「ライフスタイル・イコール・お仕事」というところも目指していきたいです。

――女性アナウンサーで目標とする人は?

同じ事務所の先輩で、フリーアナウンサーの中田有紀さんです。“修行期間”だと思っていた社会人2年目の時に、朝の情報番組で共演させていただきました。中田さんが美しい日本語で出演者をリードしてニュースを伝える姿を近くで拝見していて、「こういう人がキャスターなんだな」と感じました。

――今後伸ばしたいスキルは?

今はアナウンサーとして話すことを仕事にしていますが、元々は話すのが苦手で、絵を描くなど、手を動かすことの方が好きだったんです。でも、“伝えること”を意識しながら経験を積んでいくことで、だいぶ自分の思ったことを話せるようになりました。これからも、自分が苦手なことでも伸びる可能性があれば、何にでも全力でチャレンジしていきたいです。

――女優への道は?

何度かドラマに出演したことはありますが、長ぜりふとか演技はなかなか難しいですね。

――落ち込んだとき、自分を奮い立たせてくれる言葉はありますか?

「成せば成る!」ですかね。時折、この言葉を思い出してがんばっています。最初はたどたどしくて、まともに原稿を読むことすらできなかった私ですが、「こんなこと、絶対できない!」と思っていても、繰り返しやっていたら「朝飯前」と思えるようになってきました。あきらめずに続けていたら、全くできなかったときと比べて、必ずうまくなっています。自分が納得できるような進歩が見つかるはずです。

――働く女性が多い「OTEKOMACHI」読者にエールをお願いします。

ずっと働き続けるということは大変だと思います。私にも、今の生活をこれからもずっと続けられるのかなという不安はあります。挫折することがあっても、「それはそれで仕方ないかな」と切り替えるとして、今は気になることを精いっぱいやっていってほしいですね。(聞き手/撮影:メディア局編集部・遠山留美)

新井恵理那(あらい・えりな)
フリーアナウンサー

 1989年12月22日生まれ、米・カリフォルニア州出身 青山学院大学卒業。大学2年生の時に、ミス青山コンテストグランプリに選ばれる。大学在学中にセント・フォースに所属。「グッド!モーニング」(テレビ朝日系)、「新・情報7days ニュースキャスター」(TBS系)など報道・情報番組のほか、バラエティー番組、ラジオ番組などに出演。2019年8月、初のフォトエッセー「八方美人」を出版(※9月14日(土)16時から、発売記念ミニトーク&お渡し握手会を開催。詳細は「ジュンク堂書店 池袋本店」のサイトで→

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