「東京喰種」を生身の僕らがやる意味…白石隼也さん

インタビュー

 石田スイさん作の人気コミックの実写映画化シリーズ第2弾「東京喰種 トーキョーグール【S】」が、19日(金)に全国公開されます。人を捕食する種族「喰種(グール)」と人間のハーフになった主人公・カネキ(窪田正孝さん)が、葛藤しながらも喰種と人間との闘いに身を投じていく姿を描いた本作で、カネキの大学の先輩で喰種でもあるニシキ役を演じたのが、白石隼也さんです。白石さんに撮影のエピソードや作品への思いを聞きました。

ニシキと貴未の絆の深さを表現したかった

―――前作で演じたニシキ役の続投となりましたが、役への取り組み方など、前作との違いはありましたか。

 長いシリーズを想定してスタートした企画なので、前作の撮影から続編を意識していました。先のことを考えて演じていたので、役に取り組むという意味では、今回も前作と変わっていません。ただ、前作のニシキは“悪役”で、カネキとの闘いに負けて、フェードアウトしたように描かれていました。今回、ニシキに人間の彼女がいるという、彼を語る上で大切なエピソードがきちんと描かれていて、ニシキを愛する僕としてもうれしかったですね。

―――ニシキは主人公以外で、大きく変化(成長)するキャラクターでした。人間を「食料」としか考えていなかったニシキを変えたのは、恋人の貴未への愛でしょうか。

 そこを表現するのが難しかったですね。ニシキと貴未に本物の絆がないと、物語が薄っぺらくなってしまう。2人が描かれているシーンは多くないので、その中で絆の深さを見せるにはどうしたらいいのか。貴未役の木竜麻生さんと話し合って、どこまで表現できるか、綿密に作っていきました。

―――互いを思い合う2人は感動的でした。ニシキが貴未を守るために、倒されても倒されても立ち上がる姿は鬼気迫っていて、すごかったです。

 前作でカネキから受けたダメージが大きくて、ニシキは最初から瀕死ひんしの状態だったんです。僕の考えていたHP(ゲームなどのキャラクターの体力を表す数値)の減り方は、マックスを100としたら、30ぐらいから始まって、最後は2ぐらいになる――というイメージだったんです。ところが、川崎(拓也)監督は「2から始めてくれ」って。「2から削っていくのか、大丈夫かな」と思ったんですけど、そこは監督を信じて演じました。もう、最後にはボロボロで0.01くらいになりましたね。いつも僕は、ダメージを負う箇所を意識しながら、例えば、右腕が動かないときはどうアクションするかを考えます。でも、あれほどのダメージは、普通の人間が体験できる感覚ではないので、想像力だけでは補えない難しさがありました。最終的に体のどこも動かせなくなって、したことないような動作になる。チャレンジングでしたが、面白かったです。

―――ニシキをボロボロにした、グルメこと「月山習」は松田翔太さんが演じていました。松田さんとの共演はいかがでしたか。

 「2」しか力を出せない僕の芝居を全力で受け止めてくださったり、解釈を変えて演じてくださったり、いろいろな場面で助けていただきました。現場の雰囲気がとてもよくて、松田さんがみんなを引っ張って、納得するまでディスカッションするんです。こんなに粘って絞り込んだ経験がなかったので、勉強になりました。どの現場もそうですが、限られた時間で撮影するので、どこかで妥協する瞬間があるんです。でも、松田さんは遠慮しないし妥協もしない。そういう先輩が引っ張ってくださるのは、後輩としてすごくうれしいことでした。

自分の包丁を磨き上げ、大切にしています

―――おいしそうなカネキのにおいにひかれた月山は、最高の食材としてカネキを追い求めます。“グルメ”もテーマの一つでしたが、現場にもグルメな人はいましたか?

 みなさん、それぞれこだわりがあるようでしたが、印象的だったのは、松田さんと窪田さんの食べ方ですね。たまたま、僕の前で2人が並んで食事をしていたんですけど、松田さんはゆっくりと味わって食べる。窪田さんはすごい早食いなんです。2人のコントラストが面白くて(笑)。僕は食べることより、料理することにはまっています。料理は趣味というか、ストレス解消にもなっています。自分の包丁を持っていて、これだけは誰にも触らせません。自分で磨き上げて、そっと大切にしまってあります。

―――東京喰種シリーズがこのまま続いたら、過酷な展開が待っています。最後までニシキを演じきる覚悟はありますか。

 今回、振り切って走りきりましたから。このあとのニシキはエッジがなくなって、どんどん丸くなってしまうかも(笑)。「最初と全然違う!」というのが、ニシキのあり方なので、そこに向かってどう演じるかですね。貴未との愛が深まり、幸福度が上がって、変わっていくニシキを楽しんで演じたいです。

 先日、マンガ原作の実写化の難しさを、ふと考えたんです。オリジナル作品は、見る方は内容を知らないわけですから、「次はどうなるんだろう」とストーリーを追います。でも、原作がある場合は、見る方はストーリーを知っていますから、その整合性を見るんです。人気作ほど、原作との違いを探されるので、ハードルが上がっていく。役者がそこに捕らわれてしまうと、僕らがやる意味がなくなるような気がします。作品の世界観を伝えるだけなら、マンガを読めば十分です。そこを超えて、生身の役者が演じる意味を持たせたい。僕らでないと見せられない「東京喰種」をお届けできたらいいなと思います。

 (取材/読売新聞メディア局 後藤裕子 撮影/金井尭子)

白石隼也(しらいし・しゅんや)
俳優

 1990年生まれ、神奈川県出身。映画「GANTZ」「ストレイヤーズ・クロニクル」、主演映画「鏡の中の笑顔たち」や、テレビ朝日「仮面ライダーウィザード」では、主演を務める。2016年には、鈴木亮平とのダブル主演で映画「彼岸島 デラックス」などに出演。17年に映画「東京喰種 トーキョーグール」、主演ドラマ「グッドモーニング・コール」(FOD)、18年に「ホペイロの憂鬱」、同年「母さんがどんなに僕を嫌いでも」などに出演。19年7月クールのドラマ「ランウェイ24」(ABCテレビ)、「アフロ田中」(WOWOW)に出演している。

【映画情報】

東京喰種 トーキョーグール【S】

(C)2019「東京喰種【S】」製作委員会 (C)石田スイ/集英社

 人を喰らう種族「喰種」と人間のハーフとなった金木研。「半喰種」であることを隠して生きるカネキの前に、美食家<グルメ>と呼ばれる月山習が現れる。月山はカネキを「べるため」に狙う、史上最悪の喰種だった。恋人を月山にさらわれたニシキとともに、カネキは月山と対峙たいじする。うか、喰われるか。互いの生と正義をけ闘いの幕が上がる!

出演:窪田正孝、山本舞香、鈴木伸之、小笠原海、白石隼也、森七菜、桜田ひより、村井國夫/知英、マギー、ダンカン、栁俊太郎、坂東巳之助/松田翔太 
監督:川崎拓也、平牧和彦
原作:石田スイ「東京喰種トーキョーグール」(集英社ヤングジャンプ コミックス刊)
企画・配給:松竹
(C)2019「東京喰種【S】」製作委員会(C)石田スイ/集英社
公式HP http://tokyoghoul.jp/

7月19日(金)より、全国公開