あなたの幸せを呼ぶ魔法は?平原綾香さんと谷原章介さんが声優に挑戦

インタビュー

 ミュージカル映画の名作「メリー・ポピンズ」のおよそ半世紀ぶりとなる続編「メリー・ポピンズ リターンズ」が、2月1日に全国公開されました。完全日本語吹き替え版で、バンクス家に舞い降りた魔法使いメリー・ポピンズ(エミリー・ブラント)の声を担当した歌手の平原綾香さんと、バンクス家の父親マイケル(ベン・ウィショー)の声を演じた俳優の谷原章介さんに、この作品にかける思いを聞きました。

――前作の「メリー・ポピンズ」は、1964年の公開でした。実に半世紀以上たっているんですね。日本語吹き替え版の声優のオファーが来たときは、どんなお気持ちでしたか。

 平原さん オファーではなく、オーディションだったんですよ。私は昨年、ミュージカル「メリー・ポピンズ」に出演して東急シアターオーブ(東京・渋谷)の空を飛び回っていたので、この作品には強い思い入れがありました。だから、声の出演が決まったときはうれしかったです。

 谷原さん 僕も同じです。自分が小学校の4、5年生ごろ、ジュリー・アンドリュースさん主演の前作の「メリー・ポピンズ」を見た記憶があります。今回のバンクス家の父親であるマイケルは、前作では、バンクス家の子どもとして登場していた人物。時を経て、自分が父親という立場になって、この役を演じることができて、感慨深いものがありました。

――谷原さんご自身も6人のお子さんがいらっしゃるので、重なる部分があったのでしょうか。

 平原さん えっ、6人!?

 谷原さん ええ、そうです。映画の中では3人の子どもの父親役でしたが、あの倍です。

 平原さん ははぁー。お父さん、頑張ったんですね。

 谷原さん はい。だから仕事も頑張らなくっちゃね。大変なことも多いけど、にぎやかで楽しいですよ(笑)。

――この作品は、今年の米アカデミー賞の作曲賞など4部門にノミネートされました。日本語吹き替え版のエンドソング「幸せのありか」は平原さんが歌われましたね。試写会でも、平原さんの歌声に聞き入ってしまう人が多く、会場のあちこちからすすり泣きの声がするほどでした。

 平原さん 楽曲自体に力があるのだと思います。英語の曲名は、「The Place Where Lost Things Go」。訳すと「なくしたものが住む場所」。「大切なものは何一つなくならない。なくならないものを、なくすことはできない」という力強いメッセージが込められています。作品全体で、このメッセージを表現しているところが素晴らしくて、実は私も試写を見て泣いてしまったんです。

 谷原さん 平原さんの落ち着いてりんとした声が、エミリー・ブラントさん演じるメリー・ポピンズとぴったり合っていましたね。「今にも遅刻しそうだ……」とマイケルがあきらめかけたとき、「まだ遅刻していないでしょ。遅刻しそうなだけよね」とメリーが声をかけるシーン。魅力的でした。

 平原さん メリー・ポピンズは、不思議な存在です。バンクス家の子どもたちに厳しく接しながらも、楽しさと同時に大切なことを教えてくれる。でも、一人ぼっちなんです。魔法使いだから、いつかは去っていかなくてはならない。エミリー・ブラントさんの演技で、新しいメリー像が生まれました。すごく良かったと思います。

 谷原さん そうですね。あのせつない感じ、男はぐっときます。ぜひ見てほしいですね。

――日本語で伝えるうえで、苦心されたことはありましたか?

 平原さん エミリーさんは、イギリス英語で、正しいイントネーションで話されているんですが、日本語にはこれに該当する表現がありません。エミリーさんと同じ音程で発声すると、日本語では低すぎるような気がして……。そういう悩みを家族会議を開いて聞いてもらって、「この部分はこうしたほうがいいのでは?」と話し合ったりしました。

――なるほど。日本人の女性の声は、外国人よりも高いと言われますものね。

 平原さん そうなんです。まず日本語として成立しているか、ということに心を砕きました。人のまねをするのではなくて、自分で作り上げていった気がします。

――バスタブからイルカが飛び出したり、ミュージカルの世界に迷い込んだり。映画の中では、子どもたちとのさまざまな冒険シーンが繰り広げられて、夢いっぱいでした。映画の公式ホームページでは、「あなたの日常をちょっと幸せにする魔法は?」と題してTwitter投稿キャンペーンを実施しています。谷原さん、平原さんそれぞれに「日常のちょっとした幸せ」と感じる瞬間をお聞きしたいのですが。

 谷原さん 僕の場合は、やっぱり子どもたちの寝顔を見る瞬間です。一日の疲れなんて吹き飛ぶし、明日も頑張ろうと思えます。

 平原さん 私は方向音痴で、よく道に迷っちゃったりするんで……交番や道行く人に親切に教えてもらって(目的地に)たどり着けただけでも、幸せを感じますね。人と話すときに、仲良くなりたいなと思いながら話すと、必ず“愛”が返ってくる気がします。そうそう、この映画を経験してから、家の中の片づけと掃除が大好きになりました。もちろん、メリー・ポピンズのように指のスナップ一つで片づけが終わるわけではありませんが(笑)。

 谷原さん 悩み多き父親役を演じた僕にとっては、「今を大切に」というのが、この映画から得たメッセージ。僕も、日常のちょっとした幸せを再発見できたらいいだろうなあと思います。

 (聞き手・読売新聞メディア局 永原香代子、撮影・田中昌義)

平原 綾香(ひらはら・あやか)

 1984年生まれ。東京都出身。歌手。2003年に「Jupiter」でデビュー。ミュージカル「ラブ・ネバー・ダイ」(2014年、2019年)、「ビューティフル」(2017年)、「メリー・ポピンズ」(2018年)に出演。映画「サウンド・オブ・ミュージック」の50周年記念吹き替え版(2015年)でも主役のマリア役の声を担当した。

谷原 章介(たにはら・しょうすけ)

 1972年生まれ。神奈川県出身。俳優。95年に映画「花より男子」でデビュー以降、数多くのドラマや映画に出演。TBS系「王様のブランチ」やテレビ朝日系の「パネルクイズ アタック25」など、司会者としても活躍。

【公開情報】「メリー・ポピンズ リターンズ」2019年2月1日(金) 全国公開

【ストーリー】ロンドンのバンクス家は、母を亡くした悲しみから抜け出せずにいた。
そんな時、空から舞い降りたのは、魔法使いのメリー・ポピンズ。
ちょっと“上から目線”のエレガントな彼女が、一風変わった方法で
バンクス家の子どもたちの“しつけ”を開始。バスタブの底を抜けて、
海底探検に! 絵画の世界に飛び込み、華麗なるミュージカル・ショーを!!
でも──彼女の本当の魔法は、まだまだ始まったばかりだった……。

配給:ウォルト・ディズニー・ジャパン
クレジット:(C)2019 Disney. All Rights Reserved.
公式HP:「メリー・ポピンズ リターンズ」公式ホームページ

【予告編(YouTube)】

【予告編(YouTube)「幸せのありか」吹き替え版】