松本まりかさん「あざとかわいい」演技でブレイク “暗黒時代”からの転機

インタビュー

 ドラマ「ブラックスキャンダル」(日本テレビ系、毎週木曜午後11時59分から放映)に出演中の女優・松本まりかさん(34)。今年1月期に放送された深夜ドラマ「ホリデイラブ」(テレビ朝日系)で、どんな手段を使ってでも他人の夫を奪い取ろうとする、不倫妻・里奈を演じて、「あざとかわいい」と、大ブレイクしました。山口紗弥加さん主演の「ブラックスキャンダル」は、ウソの不倫スキャンダルで芸能界を追われた人気女優が、整形で顔と声を変え、自分を陥れた人たちに復讐ふくしゅうするというストーリー。松本さんは、整形前の女優・紗羅を演じています。周囲から裏切られ、絶望のあまり泣き叫ぶ演技が話題になっている松本さんに、ドラマの見どころや、下積み時代のエピソードなどについて聞きました。

山口さんは頼りがいのある先輩

――山口さん演じる矢神亜梨沙の整形前という役どころですが、オファーを受けたとき、抵抗はありませんでしたか?

写真:読売テレビ提供

  面白い設定だなと思いました。山口さんとはニ人一役で、最初のころ、「亜梨沙と紗羅の性格やクセをすり合わせようか」と話し合いました。でも、紗羅は、復讐をするために別人の亜梨沙として生まれ変わるので、そこまで意識しなくても、芯の部分で2人の共通認識ができていればいいということになったんです。山口さんは、今までの芸能生活のこともたくさん話してくれて、私の話もよく聞いてくれる、とても面倒見がいい方です。主演女優として頼りがいのある先輩です。亜梨沙は復讐をしていく役なので、ドラマでしかそうそう出来ないこと。面白いだろうなあ。私も復讐したかった(笑)。

――松本さん自身は、復讐したい人はいますか?

 復讐心はないですね。いやだなーと思うことはありますが、根本的に人が好き。嫉妬したりうらんだりする気持ちは湧きません。復讐ではないけど、難しいシーンの撮影が終わったら、それまで食べるのをガマンしていた分、大好きなスパイスカレーをがっつり食べます(笑)。ひとりで食べに行くほどカレーが大好物なんですよ。

“引きこもり”役づくりのため誕生祝いは返上

松本まりかさん

――壮絶なシーンの撮影が終わった後は、しばらく役を引きずってしまいますか?

 カットがかかると、すぐに忘れちゃいます。そうでもしないと壊れてしまうから防御本能かな(笑)。でも、撮影前、気持ちを持っていくまでには時間がかかりますね。

――役作りはどのように?

 紗羅は、芸能界を追われ、恋人にも捨てられ、母親が焼身自殺をしてから心を病み、5年間、“ゴミ部屋”に引きこもります。最初に脚本を読んだときに「これは簡単にはできないな」と思ったんです。今までの感情の起伏が激しい役とは違って、5年間も孤独に暮らし、抜け殻のような“無”の状態を演じるのは難しいと。

 紗羅の理解者である阿久津唯菜(松井玲奈さん)に変わり果てた姿で再会するシーンの撮影は、私の誕生日の翌日でしたので、今年の誕生日は捨てました。このシーンの前には他のシーンを入れないで下さいとお願いしたんです。オファーをいただいた時にこちらからした唯一のお願いがそれでした(笑)。本当は、5日間ぐらい山にこもって無心になりたかった。それが出来なかったので誰とも会わず、誕生日当日は食事も抜いて、お風呂に延々入って、全部抜き切りました。友達からのお祝いも断って追い込みました。寂しかったけれど、そのおかげで私は心身共に“からっぽ”だった。画面から紗羅の“からっぽ感”が少しでも伝わってますように(笑)。

“わめき女優”って、ディスられてる?

――「ホリデイラブ」では、小悪魔的な里奈の演技が「あざとい」「ぶりっ子」「イライラする」と、世の女性たちを敵に回し、注目を浴びました。

 いまだに町を歩いていると役名で声をかけられることもあります。しかも、ほぼ女性。「あっ! 里奈だ!」じゃなくて、興奮気味に「はぁ~~っ! 里奈だ~!」って悲鳴のように。まるで「里奈って本当にいるんだ。本物見ちゃった!」みたいな、今までにない反応でうれしかったです(笑)。「ブラックスキャンダル」と両方見てくれているという人も多いですね。

写真:読売テレビ提供

――ものすごい反響でしたね。4月期の「健康で文化的な最低限度の生活」(フジテレビ系)の育児放棄をする母親・丸山梓役でも、ドスが利いた声と猫なで声を使い分け、女性に嫌われる役を演じて話題になりました。「今度はどんな演技をしてくれるんだろう」という視聴者の期待も大きいです。

  「ホリデイラブ」に始まり「ケンカツ」の時も今回もですが「あざと怖い」とか「憑依ひょうい型女優」とか他にもユニークで新たな形容詞をつけていただきました(笑)。でも、いろいろなタイトルがつくのは面白いですね。悪女役とか女性に嫌われる強烈な役が続いていたので、「また何かやらかすのでは?」と期待?されていますが、今回は潔白。紗羅は何も悪いことをしていません(笑)。周りは「ブラック」な人ばかりだけれど、私の中で紗羅は「純白」なんです。今回は、泣き叫ぶシーンが多いので、「わめき女優」 って言われました。それって、どうなのかな? もしかして、ディスられてますか?(笑)。でもなんでもうれしいです。

樹木さんのひと言で細まゆやめた

――今年はドラマ出演が途切れず続いていますが、それまでの活動は?

  映画やドラマもちょこちょこ出演していましたが、最近は舞台が中心でした。「劇団☆新感線」や、KinKi Kidsの堂本光一さんが主演を務めたミュージカル「Endless SHOCK 2007」など、本当に恵まれていました。とても楽しかった。だけど私の実力とは関係なく、いつも満員のジャニーズさんの大きな舞台で役をいただいていたことに対する自戒の念は当時から強く持っていました。この贅沢ぜいたくな環境に甘んじては、私の女優としての30代は無いと。

――そもそも芸能界デビューのきっかけは?

 15歳の時に友達と原宿を歩いていてスカウトされ、ドラマでデビューしました。それまで、芸能界には全然興味がなかったんです。世代的に安室奈美恵さんの大ファンで、中学生の時には、細まゆの「アムラー」だったんです(笑)。だから、お会いした時は、とってもうれしかった。でも、19歳ぐらいの時、樹木希林さんと共演したときに「あなたね。女優はまゆを整えてはダメよ。自然にしなさい」とアドバイスを受けたんです。おしゃれしたい盛りの若かりし頃の私の心にとても響いて、それからは整えることをやめました。今年、安室さんが引退し、樹木さんは亡くなり、今後活躍する姿を見ることはできなくなりました。心にポカンと穴があいたようですが、かっこいい二人の生き方からは大きな影響を受けました。自分もそうありたいと思います。

“暗黒の時代”を経て大きな転機へ

――今年ブレイクするまでの間は、どんな時代でしたか?

 “暗黒の時代”でしたね。自分のことを見たくなくて、長いこと逃げていた時期もありました。お芝居する時は楽しくて、集中していましたが、自分の居場所がなく、自分で自分のことを認めることができなかったんです。“絶望”という言葉が何度、頭の中をめぐったかわかりません。本当に夢中にお芝居している瞬間以外は、何をしても心にぽっかり穴が空いているようでした。でもこの暗黒時代が私を作りました。

 中学生の時に仕事を始め、コンスタントに役はいただけていたのですが、「このままじゃダメだ!」と思い、2010年に事務所にお願いして、1年間、ロンドンに留学し、英語を学びました。留学が夢だったんです。それまで私はずっと実家暮らしで、芸能界に入ってからは特殊な環境ではありました。でも、ロンドンでは誰も私のことを知らないし、誰も助けてくれない。言葉もしゃべれない。学校やホストファミリーでは、片言の英語でやり取りをしなければならず、だいぶハングリー精神が鍛えられました。

 帰国後、小劇場と出会い、小さな舞台にばかり出演するようになりました。小劇場の世界は全く知らなかったけれど、本当に面白くてもっと知りたいと思いました。そこでとてつもなく夢中にさせられた小さな舞台との出会いがありました。CMクリエーターもされている山内ケンジさん主宰の「城山羊しろやぎの会」。それまでに経験した大きな舞台とは全く違い、まるで映画のようにささやくようなセリフの応酬なんです。衝撃的でした。こんなお芝居を自分もできたら私は変われると、何かに突き動かされたようにオーディションを受け、この舞台に立つことが出来ました。それが28歳の時。城山羊の会は業界にもファンが多くて、そのお芝居を「ホリデイラブ」のプロデューサーさんが見に来ていて、その後のドラマ出演につながりました。

同期が先に売れ、悔しい思いも

――留学と小劇場への出演が大きな転機だったんですね。

  お芝居している時は楽しかったけど、プライベートは鬱屈うっくつしていましたね(笑)。仲のいい同世代は宮崎あおいちゃん、蒼井優ちゃんですが、2人は先にどんどん売れて。でも、実力的にも人間的にも「私はまだ売れてはいけない、表に立てるような人間では無い」と思っていました。2人の活躍を見て、やはり悔しかったけれど、嫉妬心は人の顔を醜くすると思って。そういう感情は20歳を前にしてなくして、のほほんとした人間になったと思います(笑)。

――いろいろな葛藤があって、今があるんですね。

  “暗黒の時代”があって、やっと今に至りました。「これまでの人生経験をお芝居に生かせていなかったら、まりかの人生はきつかったね」と、友達にも言われました(笑)。たとえ大失恋したとしても、「あ、この感覚、お芝居に使える」って思うと、つらいことも乗り切れます。

好きなタイプは「純な人」

――仕事が充実し、プライベートで恋愛や結婚したいと思いますか? 好きな男性のタイプは?

  「恋愛は必要!」と思うけれど、今は正直興味がない。 仕事との両立は大変だと思いますし、まだ結婚は考えていないです。いつか結婚して、子供は絶対欲しいのですが、今は役が恋人。役にぞっこんになりますから、男性にまで「好き」をあげられない(笑)・好きな男性のタイプは、純な人。外見じゃなく、心の中にキラッと光るものを持った人。仕事に打ち込んでいる人がすてきだなと思います。

――ドラマのように、スキャンダルを狙われる対象になる心配は?

 あまり気にしていませんね(笑)。

――今後の目標は?

 今までの人生の経験を、自分がやってこれなかった分、役として生きられたら。最近はいろいろな興味深い役を演じることができて、本当に本当に楽しい。しょっちゅう「幸せだなあ」って感じるんです。みなさんが私のことを面白がって見てくれることがうれしい。やっと自分の居場所を見つけて、スタートラインに立てた気持ちです。また、壁にぶつかることもあるかもしれませんが、紆余曲折しながら成長していくので、皆さん、これからどうぞよろしくお願いします。

――「ブラックスキャンダル」では回想シーンが多いですが、今後の展開は?

 まだ、明かせませんが、今後紗羅の意外なエピソードもあるので、楽しみにしていてください。

(取材:メディア局編集部・遠山留美)

松本 まりか(まつもと・まりか)

 1984年9月12日生まれ、東京都出身。女優、声優として幅広く活躍中。

【松本まりかさん、動画コメント】

ドラマ「ブラックスキャンダル」(読売テレビ、日本テレビ系)毎週木曜日夜11時59分から放送
主演:山口紗弥加
キャスト:安藤政信 松井玲奈 若葉竜也 森田甘路 松本まりか 片桐仁 平岩紙 片岡鶴太郎 波岡一喜ほか
脚本:佐藤友治ほか
監督:長沼 誠ほか
主題歌:ゲスの極み乙女。「ドグマン」

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