大学院進学、夫との遠距離生活…上田まりえさんが語る今

インタビュー

 元日本テレビアナウンサーでタレントの上田まりえさん。2016年に日テレを退社し、タレントに転身する際には、アルバイト生活を送ることも覚悟したそうですが、現在は「5時に夢中!」(TOKYO MX)、NHK BS1「ワールドスポーツMLB」をはじめ、幅広いジャンルで活躍しています。今春には早稲田大学の大学院に進み、スポーツ・マネジメントについて学び始めたという上田さんに、仕事や学業への思いを聞きました。

野球の学術的知見を深めたい

――大リーグ情報番組「ワールドスポーツMLB」でキャスターを務めていますね。今季の大リーグでは、何と言っても“二刀流”大谷翔平選手が注目されました。右ひじの損傷で残念ながらピッチャーとしての今季の登板はなくなりましたが、バッターとしてはエンゼルス打線の主軸として活躍しています。大谷選手の活躍をどう見ていますか。

 大谷選手の活躍に圧倒されるとともに、3年後、5年後、10年後はどんな選手になっているのだろうと想像がつかないほど、完成されつつもまだまだ伸びしろがあるようなスケールの大きさを感じています。いつかお会いすることがあったら、大谷選手が思い描いている未来を聞いてみたいです。最終目標をどこに置いているのか……見れば見るほど、興味深い選手だと思います。大谷選手をはじめ日本選手の活躍をお伝えできることが本当にうれしくて、「私も伝え手として一流にならなければ」という思いでスタジオに立っています。 

――今春、早稲田大学大学院に進み、スポーツ・マネジメントの勉強を始めたそうですね。大学院を志した理由は?

 野球の番組に出させていただいて、「やっぱり自分はすごく野球が好きなんだ」と再認識した反面、自分に足りない部分にもたくさん気付きました。出演者は、野球選手としても、解説者としても一流の方ばかりです。キャスターとして、そんな方々から良いお話を引き出すためには、ただの野球ファンではダメだと。もし、野球に関する学術的な知見を深めたうえでキャスターを務めたら、私だからこそできることが見えてくるんじゃないか。そう考えた時に、「そうだ、大学院に行こう」と思いついたんです。

――アナウンサーになったのも、大好きな野球に携われるから?

 幼い頃から人前で話すのが好きで、アナウンサーになることは小学校3年生からの夢でした。それと同時に、とにかく野球が好きで、学生時代は学校と球場、バッティングセンターを行き来している生活をしていました。大学入学前までは球団職員やトレーナー、新聞記者、雑誌編集者になることも考えていましたが、大学入学時にはアナウンサー一本に絞っていました。もし大好きな野球に携われなくても自分が一番やりたい職業は何だろうと考えて、やはりアナウンサーしかないと。

――それにしても、なぜそこまで野球が好きなのですか?

 中学2年の時に好きになった男の子が野球部だったという、ごく普通の話です(笑)。好きな人の好きなことを知りたいと思い、野球をよく見るようになって、どんどん好きになっていきました。

夫婦がそれぞれやりたいことを全力で

――仕事と学業の両立はいかがですか?

 仕事と大学院、この二つにすべての時間を費やして、自分を追い込んでみようと思って、ほぼ毎日更新していたブログやSNSを休止した時期もありました。悔しくて、毎日泣いていた時期もあったんです。分からないことが多すぎて、自分のレベルが低すぎて。研究というものが何なのかも分からないまま、大学院に入ったことを反省しました。でも、自分がやろうと決めたことだから、仕事にも勉強にも甘えが出てはダメだと思い、自分を追い込んで頑張りました。そうしているうちに、自分がやりたいと思えることがより具体的に見えてきました。

 プロ野球のマーケティングについて研究を進めて、より多くの人に野球というスポーツに興味を持ってもらえるきっかけを作りたいと思っています。プロ野球は成熟した世界で、だからこそ新規のファンが入りにくい面もあると思います。今でこそ「カープ女子」のように、各球団が新しいファン層の獲得に力を入れていますが、どうやったらこれまで野球にあまり関心のなかった人たちにスタジアムに足を運んでもらえるのか。しかも、それを一過性のムーブメントではなく、継続性のあるものにできるのか。自分なりに研究して、野球界や社会に還元したいです。

――仕事と学業を両立させられるのは、昨年2月に結婚したご主人(社会人野球・トヨタ自動車の竹内大助投手)の理解と協力があってこそでしょうか。

 夫は愛知県豊田市にいます。私は仕事や授業があって、あまり帰れていないんです。1か月半ぐらい会えない時もありました。だから、妻として何もできていないのではと思うこともありますし、「結婚したのになぜ一緒にいないの?」とか「夫を支えるべきなんじゃない?」と言われることもあります。自分でもそばにいた方がいいのは分かっています。ただ、お互い好きなことをやっているから、今はそれぞれのやりたいことを全力で頑張ろうと思っています。夫と私はそれぞれ全然違うフィールドで試合をしていて、相手の頑張っている姿を見て、「自分も頑張ろう」と。そんな夫婦があってもいいのではないでしょうか。

「5時に夢中!」出演者は優しい人ばかり

――「5時に夢中!」にアシスタントとして出演しています。MCのふかわりょうさんをはじめ、マツコ・デラックスさん、岩井志麻子さんなど、毒舌や不規則発言で鳴らす出演者が多く、その発言がネット上で話題になることも多いですね。生放送だけに、気苦労が絶えないのでは?

 出演者の皆さんは本当に優しい方ばかりなんですよ。と言うと、また怒られそうですけど(笑)。いつも、いろんな立場の方々の気持ちを考えて発言されていて、人間としての器の大きさを感じます。だからこそ、振り切れた言動のできる方たちなんだなと。

 出演させていただくようになって2年余りがたちます。番組アシスタントといっても、以前のように局アナとして出演するのと、タレントとして出演するのでは勝手が違うので、戸惑う部分が多かったんです。でも今はもう慣れて、ただただ楽しい1時間を過ごさせてもらっています。

――日本テレビを退社してタレントに転身しました。不安はなかったですか?

 なかったですね。むしろ周りの方々がすごく心配してくれて。「ちゃんとご飯を食べていけるのか」と聞かれることもあったのですが、アルバイト先だけは決めていたので大丈夫でした。知り合いが経営している飲食店のホールで時給1000円。最低限、まかないのご飯は食べられますからね()。有り難いことに、これまでのところアルバイトは1回も入っていません。好きなことが仕事になる幸せを噛み締めながら日々過ごしています。
(取材・読売新聞メディア局 田中昌義、撮影・高梨義之)

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上田 まりえ(うえだ・まりえ)
タレント

 1986年生まれ。鳥取県出身。2009年4月、日本テレビにアナウンサーとして入社し、16年1月に退社。現在、「5時に夢中!」(TOKYO MX)、「ワールドスポーツMLB」(NHK BS1)にレギュラー出演中。