代官山でポルトガルのアートと暮らしの魅力にふれる

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Echoes of the Sea

 繊細なボビンレースや刺しゅうなど美しい伝統工芸で知られるポルトガル。主に女性たちが受け継いできた、そんな手仕事の美しさをアートで紹介する現代芸術家クリスティーナ・ロドリゲスさん(37)の個展が、6月17日まで東京・代官山のヒルサイド・フォーラムで開催中です。週末の16、17日には、微発泡ワイン「ヴィーニョ・ベルデ」やオリーブオイルなど、ポルトガルの名産品や雑貨を販売するミニショップも出店します。

 ロドリゲスさんは、ポルトガル出身の新進アーティスト。ポルトガルと縁がある熊本県天草市に地方創生のアドバイザーとして来日したこともあるそうです。「草間彌生さんら尊敬するアーティストや建築家がたくさんいる日本で個展を開くのが夢でした」と話します。

 失われつつある手仕事や伝統工芸を現代的な感覚でよみがえらせるのがロドリゲスさんの手法。今回展示されるのは、ポルトガルの港町「ヴィラ・ド・コンデ」に伝わるボビンレースを使った「Echoes of the Sea」など6点。ボビンレースは、海の男たちの無事を祈り、女たちが糸を編んで作る美しい文様が特徴。赤い大きなハートの表面をその美しいレースやリボンで覆い、互いを思う時を形にした作品です。 

 なぜ手仕事に注目するのかを聞くと、ポルトガルでの女性の生き方に関わっているそうです。「ポルトガルはかつて一党独裁の時代があり、当時の女性は、良妻賢母として家の中で生きることを強いられました。その中でも女たちは美しい手芸を作りだし、子どもを育ててきました」と話します。「でも、その手仕事や女性の存在は、社会の中で軽んじられていました。そんな手仕事を社会とつなげて、きちんと価値を認めてもらうよう大きなスケールで提示したかったんです」とロドリゲスさん。

 「Urban Dwellers」と題された作品は、ロドリゲスさんがパリにいた時に遭遇した2015年のテロ事件から着想したもの。床には鮮やかな色のリボンを結んだ靴が並び、壁には大きなニットのタペストリー。危うい時代の中での人のつながりや、やわらかな連帯を象徴しているかのよう。

 地域の女性たちや職人たちと一緒に、繊細な手仕事を積み重ねた作品は、美しいだけでなく、世界的に「#MeToo運動」が広がる中での女性が持つ力をも感じさせます。

 ポルトガル大使館が主催のこの展覧会では、16、17日の午前11時から夕方まで、ポルトガル北部に伝わる銀線加工のアクセサリーや雑貨、食品などを販売する週末ミニショップも開催する予定です。

   「Echoes of the Sea クリスティーナ・ロドリゲス展」6月12-17日 ヒルサイド・フォーラム(東京都渋谷区猿楽町18の8)