映画『友罪』で犯罪と向き合う記者を演じる、女優・山本美月さん

インタビュー

 親しい友人が少年Aだったら……。センセーショナルなテーマを描いた映画「友罪」(5月25日公開)で、主人公の元恋人・杉本清美役を演じた女優の山本美月さん。スクープを追う雑誌記者役で、元カレの前で揺れる気持ちを丁寧に演じています。重いテーマに挑んだ思いをインタビューで聞きました。

―――「友罪」は、元ジャーナリスト・益田(生田斗真)が同僚の鈴木(瑛太)を“少年A”ではないかと疑うストーリーで、犯罪と向き合う人々の葛藤が描かれています。出演が決まったときの気持ちを教えてください。

 共演する方たちが大先輩なので、大丈夫かなとドキドキしました。不安も大きかったです。現場の温度を変えないように、浮かないように意識していました。

―――瀬々(敬久)監督から、「清美は唯一、普通の人だから、普通の女の人を演じてほしい」と言われたそうですが、この映画での「普通の女性」はどのような役割だと思いましたか。

 「普通って何だろう」と悩みましたが、あまり考えすぎてもよくないし、作り込みすぎても浮いたお芝居になってしまいそうなので、表情は意識的に変えないように。そして、清美の仕事に向き合う姿勢や、益田への気持ちを丁寧に演じるようにしました。あとは、その都度、監督に演出していただきました。

―――監督からはどのようなアドバイスがありましたか。

 監督に「益田の前では女っぽくいてくれ」と言われたんです。それは想定していなかったので、現場で考えながら演じました。清美はもっとサバサバした女性だと思っていたんです。元カレをこんなに引きずるタイプだったなんて!

―――元カレ益田役の生田さんとの共演はいかがでしたか。

 生田さんとのシーンは事件の内容などを説明するセリフが多くて、記者らしさが出せるかどうか、緊張しました。清美は記者にやりがいを感じていて、仕事がすごく楽しいと思っているので、その気持ちがセリフや表情に出せたらいいなと思いました。生田さんは、撮影していないときは、いろいろお話ししてくださる気さくな方。でも、お芝居に入るとすごく集中されていました。清美が勤めている編集部に彼が乗りこんでくるシーンは、リハーサルの時から気迫がありました。

―――益田から、「もし、好きで好きでたまらない相手が、殺人犯だったら?」と聞かれるシーンで、清美はきっぱりと、そういう人とは関わらないと答えます。

 清美は職業柄、普通の人が同情してしまう場面でも、興味津々になって前のめりで聞いてしまう。もちろん、「かわいそう」という気持ちはあると思います。でも、そこは割り切って仕事のできる人だと思います。

責任を持って仕事をする女性を演じたい

―――昨年のテレビドラマ「刑事ゆがみ」のハッカー役や、映画「去年の冬、きみと別れ」の恋人役など、ハードな役への挑戦が続いていますね。

 挑めているのかなあ。ハードな役は演じていて、とても心が苦しいです。「去年の冬、きみと別れ」はドラマの「東京アリス」と同時期に撮っていて、役柄が正反対だったので、すごくきつかったです。でも、わたし、現場が好きなんです。みんなで作り上げている感じがするから。

―――つらい仕事でストレスがたまったら、どうしますか。

 家に引きこもって人に会わないです。人に会うことに疲れちゃうから。あまり人につらいところは見せたくないです。「大丈夫?」って思わせたくないので。

―――順調にキャリアを積んでいるように見えますが、悩みはありますか?

 悩みはいっぱいあります! いまも下積み期間中だと思っています。20代後半から30代の女性が転職で悩む気持ちとか、すごくわかります。わたしも、「幸せって何だろう」って、考えてしまうことがあります。でも、仕事場で同世代の方たちと話したら、みんな同じような悩みを抱えていた。「みんなも同じなんだ」と思ったら、少し安心しました。いまは、いっぱい悩んでいい。自分に向き合う時期なんだと思います。

―――これから、どんな役を演じてみたいですか。

 いま、ドラマで小学生の子どもがいる役を演じてますが、親の視点で演じることが、すごく新鮮です。次は、仕事を持つ女性を演じたいです。責任を持ってきちんと仕事をする女性。今回は雑誌記者だったので、お医者さんとか、刑事や探偵もやってみたいです。

 (聞き手:読売新聞メディア局・後藤裕子、撮影:金井尭子)

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山本美月(やまもと・みづき)
女優

 1991年7月18日生まれ、福岡県出身。2009年、女性ファッション誌『CanCam』の専属モデルとしてデビュー。11年より女優としても活動を開始。12年には映画『桐島、部活やめるってよ』でスクリーンデビュー。主な出演作に映画『東京PRウーマン』(主演、15)、『貞子VS伽椰子』(主演、16)、『少女』(W主演、16)、『ピーチガール』(主演、17)、『去年の冬、きみと別れ』(18)、Amazonプライム・ビデオ『東京アリス』(主演、17)など。テレビドラマでは『嘘の戦争』(17)、『刑事ゆがみ』(17)、『真夜中のスーパーカー』(主演、18)『モンテ・クリスト伯―華麗なる復讐―』(18)。NHK大河ドラマ「いだてん~東京オリムピック噺」(19)の出演も決定。

<映画情報>

(c)2018映画「友罪」製作委員会

『友罪』
 ジャーナリストの夢に破れて町工場で働き始めた益田は、同じ時期に入社した鈴木と出会う。鈴木は寡黙で、周囲との交流を避けていたが、益田とは次第に打ち解け、心を通わせていく。しかし、ある出来事をきっかけに、益田は鈴木が17年前の連続児童殺傷事件の犯人ではないかと疑い始める――。

原作:『友罪』薬丸岳(集英社文庫刊)
監督:瀬々敬久
出演:生田斗真、瑛太、佐藤浩市、夏帆、山本美月、富田靖子、奥野瑛太、飯田芳、小市慢太郎、矢島健一、青木崇高、忍成修吾、西田尚美、村上淳、片岡礼子、石田法嗣、北浦愛、坂井真紀、古舘寛治、宇野祥平、大西信満、渡辺真起子、光石研
配給・宣伝:ギャガ
(c)薬丸岳/集英社 (c)2018映画「友罪」製作委員会
公開:2018年5月25日(金)全国ロードショー