櫻井淳子、欅坂・織田奈那W主演 昔の自分に言いたいこと

インタビュー

 静岡県浜松市を舞台にした短編映画「未来のあたし」。女優の櫻井淳子さん(45)とアイドルグループ「欅坂46」の織田奈那さん(19)がダブル主演をつとめました。6月4日から東京で開催される国際短編映画祭「ショートショート フィルムフェスティバル&アジア 2018」の「ジャパン部門」に入選し、15日、16日に上映されることも決まりました。主演の2人と豊島圭介監督に映画の見どころを聞きました。

タイムスリップで高校時代の自分に出会う

 「未来のあたし」は、櫻井さん演じる、仕事と家事、子育てに奮闘する46歳の真理が1989年にタイムスリップして、高校時代の自分、マリ(織田さん)に出会うストーリー。好きだった山田くんに告白する「人生最悪の日」に戻った真理と、マリとの時間が交差します。

――ノミネーションおめでとうございます。心境は?

豊島監督 「やった!」という感じです。映画祭で多くの人に見てもらえる機会ができて、ほっとしています。

――撮影は、豊島監督、織田さん共通の故郷である浜松市で、今年初めに行ったそうですね。長編ではなく短編で表現したかったことは?

豊島監督 同郷で小・中・高一緒のクリエイティブディレクター・原野守弘さん、作曲家・山本清香さんら浜松出身のエンターテインメントに関わるクリエイターが集まったときに「浜松で映画を撮ってみようよ」という話題になって、最初から短編で、と話を進めていました。短編の方がやりたいことをシンプルに限定できて、しかも結論を投げっぱなしにできる面白さがあると思いました。櫻井さん演じる真理が元いた時代に戻れるかどうか、見る人に結末をゆだねられたりとか。

――櫻井さんと織田さんを主役に起用した理由は?

豊島監督 高校生“マリ”役の織田さんが浜松出身ということで先に決まったので、大人の“真理”役を後から探すという通常とは逆の順番になりました。櫻井さんは、身長も、目がくりくりしているところも織田さんに似ていて、大人になって少しあか抜けて見える感じも台本にぴったりでした。

――撮影期間は?

豊島監督 今年の初め、東京で半日、移動を入れて浜松で1.5日。寒くて過酷な撮影でした。

――真理を演じる上で、短編ならではの苦労は?

櫻井さん ショートフィルムは2作目ですが、特に短編、長編で演技に差はありません。ひとつひとつのシーンを大切にして、その役になりきるよう心がけました。

豊島監督 ショートフィルム用に、エネルギーをセーブした演技してましたよね(笑)。

櫻井さん えっ? そんなことないですよ。本当に?(笑)。

豊島監督 冗談です(笑)。

――浜松の高校でのロケはいかがでしたか?

櫻井さん 濃い2日間でしたね。ナマ脚の女子高生を見るだけで寒そうでした。

織田さん 寒かったですね。カットがかかるたびにストーブにあたって、がんばりました。

――浜松の魅力は?

豊島監督 “オダナナ”の出身地(笑)。彼女はたぶん数年後に浜松の親善大使「やらまいか大使」に選ばれると思います。

織田さん 人がみんな、温かいなと思います。今まで生きてきて「いい環境で育ったんだな」って、東京に来て思います。

――タイムスリップをテーマにしたのはなぜ?

豊島監督 少し前にツイッターで「子供のころの自分に会ったらなんて言う?」と話題になりました。ある程度、年を重ねると、だれしも昔の自分を振り返ると思います。大人になった自分が高校生の自分に会ったらどんな会話をするだろうと考えたときに、タイムスリップしかないだろうと。あと逆に、高校生の自分が、「何者かの大人になってしまった自分に会ったら、何を聞きたくなるのか?」というテーマにもしたかった。

「人生最悪の日」にタイムスリップ

――タイムスリップした時代は、監督が高校生だった平成元年(1989年)でした

豊島監督 僕は昭和46年生まれですが、平成が始まった年に戻ったらどうなるだろうと思いました。

――実際に櫻井さんも主人公と同世代?

櫻井さん そうです。共感できるところがたくさんありました。真理と同じように毎日、仕事や子育ての両立で忙しく、もう逃げ出したい、自分はこのままでいいのかな、タイムスリップして昔の自分に会いたい、と思うことがあります。まさに希望をかなえてくれた作品だったので、楽しかったです。

戻りたいあのころは?

――もしタイムスリップできるとしたら、いつ?

櫻井さん 織田さんとも話していたのですが、やっぱり高校時代かな。いろいろな経験をし始めて、恋愛もして、大人になったら何になるんだろう、と考えていた時期でした。そのころはまだ将来、女優さんになるとは考えていなくて、事務職の仕事に就くんだろうと思っていました。漠然といつごろ結婚したいとか……。希望と不安を持っていた時期でした。

――織田さんは、平成10年生まれとまだ若いですが、過去に戻りたいと思いますか?

織田さん うーん。今は日々、慌ただしいので、まだ悩みも全然なくて、何も考えなくてよかった小学生のころに戻りたいなと思います。

櫻井さん 仕事と学業の両立は大変ですよね。私たちが高校生だったときとは、まったく違う状況ですよね。

――オンオフの切り替えは?

織田さん 勉強も好きですし、大学に行くことがリフレッシュになっています。お休みの日は読書をしています。ミステリー小説が好き。現実逃避になります。

櫻井さん 日々の息抜きはお友達とのランチかな? ちょっと昼間から飲んじゃう(笑)。

――高校生のマリが告白する山田君のモデルは?

豊島監督 エキストラで出演してもらった僕の母校の3年生たちへのお礼もこめて、学校で試写をしたのですが、山田君みたいな学生がいっぱいいそうな高校なんですよ。セリフでちょっとカッコつけて「受験の時期に告白するなんて、僕の常識ではとらえきれない」って言ったのに、結局、二浪してしまう。試写を見た学生が「いるいる~」って。僕の同級生にも山田君みたいなヤツがいました。織田さんにも「なぜ私が山田君を好きなのか、ちょっと理解できない」って言われました。実は山田君はやりたいことがちゃんとある、芯を持った子です。そこをマリは好きになった。でも、きっと周りの女子の友達からは「なんで山田のことが好きなのか意味わかんない」って言われていると思います(笑)

――高校生のマリが大人の真理に「今は幸せ?」と尋ねます。その答えが深いなと思いました。

豊島監督 妻にも見せたのですが、「台本では納得したけど、実際、真理みたいな“リア充”な答えは私には言えないな」って言われました。

――櫻井さんだったら?

櫻井さん 私も真理と同じように答えたと思います。真理の答えは自分に言い聞かせたというか、願望もあったと思います。

――織田さんは自分の未来を知りたい?

織田さん 未来がどのようになっても自分の運命だし、できれば知りたくないです。どうなるか、わくわくしたいです。普通に幸せな家庭を築きたいと思います。今も、仕事と勉強の両立に追われているけど幸せです。

――理想の相手は?

織田さん お笑いが好きなので、笑わせてくれる人がいいですね。毎日笑って過ごしたい。最近は、BKB(バイク川崎バイク)さんを劇場に見に行って、すごくおもしろいなと思いました。

――消したい過去はありますか?

櫻井さん 私もタイプは違いますが、高校の先輩に振られた甘酸っぱい思い出があります。その瞬間に戻りたいです。その時の自分に「あいつは今、あんな男なんだよ」って言ってやりたい(笑)。その後わかったんですけど、実はこういう人なんだぞって。

織田さん 2歳年下の妹とけんかした時。すごく大好きなのに傷つけるようなことを言っちゃって、なんであんなことを言っちゃったんだろうって。取り消したいって思うことがあります。

――映画の見所を。

豊島監督 誰もが大人になったら頭をよぎる「子供のころの自分に会ったらなんて言う?」がテーマです。必死に子育てと仕事をする真理が初恋を思い出し、「なんで私ここにいるの?」と疑問に思うことから始まる話で、人生が凝縮された時間を過ごす櫻井さんのいろいろな顔を見ることができます。織田さんは、最初のリハーサルでは照れていて、泣いたりわめいたりするシーンがなかなかうまくいかなかったんですが、「このままじゃだめだよ。映画にならないから困る!」って言いました。櫻井さんと実際にお芝居していく中でどんどん織田さんの芝居がよくなっていって、化学反応みたいなものが起きたようでした。自分でもマリと真理が同一人物に見えるようになって、「あ、これはうまく行った!」と思いました。

――演技で難しかったところは?

織田さん 監督に言われたことが「どうしよう、できるかな」って心配でしたが、でも「やりたい!」って思ったので、監督に言われたことを家に帰って自分なりに解釈して、リハーサルに臨みました。読み合わせと違って、実際のリハーサルでの櫻井さんの演技がすごくて「これが本当のお芝居なんだな」って、刺激を受けて、そこで自分が変わったと思いました。櫻井さんはすごく気を使ってくださって、やりやすかったですし、感謝しています。

櫻井さん 初めてタイムスリップのお芝居を体験できて、本当にタイプスリップできたような気がして楽しかったです。寒さの中、地元のエキストラの高校生が、陸上のダッシュを何本もやってくれて大変だったろうと思います。

――映画を見る大手小町読者へのメッセージを。

豊島監督 大勢の人に見てもらいたいです。映画祭でグランプリを取ったら、米国アカデミー賞のノミネーションの候補になるかもしれないです(笑)。僕は映画の設定と同じように、18歳の時に平成が始まり、結婚して8歳の子供もいて、人生丸く収まったような感じですが「まだまだ終わっていない」と言いたいです。18歳の時の自分のように、まだまだこの先、楽しいことが待っていると感じてほしいです。

櫻井さん 駆け足の毎日の中で、この映画を見てふと立ち止まって、自分を見つめなおす機会にしてほしいです。そして、リフレッシュしていただければありがたいなと思います。

織田さん きっと共感してもらえるシーンがたくさんあります。映画を通して「明日もがんばろう」って思っていただけたら。(聞き手メディア局・遠山留美、撮影・金井尭子)

 ※衣装協力(櫻井淳子さん):BELL BOUDOIR、ELVENCE DEUX、GOGGI、rev k shop スタイリスト:斎藤真喜子

豊島圭介 (とよしま・けいすけ)

1971年、静岡県浜松市生まれ。映画、テレビ監督。映画『ヒーローマニア -生活-』『森山中教習所』『花宵道中』など。

櫻井淳子 (さくらい・あつこ)

1973年1月5日 、埼玉県鶴ヶ島市生まれ。女優。ドラマ「ショムニ」シリーズ「特命係長 只野仁」など。

織田奈那 (おだ・なな)

1998年6月4日、静岡県浜松市生まれ。アイドルグループ、欅坂46のメンバー。ドラマ「徳山大五郎を誰が殺したか?」など

映画「未来のあたし」
監督・脚本:豊島圭介、出演:櫻井淳子、織田奈那 大友律、大津慎伍、若林瑠海

 国際短編映画祭“ショートショート フィルムフェスティバル&アジア 2018”「ジャパン部門」に入選。

 上映スケジュールは映画祭公式サイト

■予告編(Youtube)

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