「キングスマン:ゴールデン・サークル」ドタバタ喜劇 最新技術で

シネマレビュー

「キングスマン」 (C)2017 Twentieth Century Fox Film Corporation

 スパイアクションでありブラックコメディーだった「キングスマン」の続編は、毒の部分は受け継ぎつつもスケールアップ。前作のテンポの良さはやや失ったが、アクションはさらに激しくなった。ここまでくれば、もはやスラップスティックコメディーだろう。いわゆるドタバタ喜劇の面白さを堪能したのである。

 主人公は、前作で新人スパイだったエグジー(タロン・エガートン=写真右)。ロンドンの洋服店「キングスマン」を拠点とするスパイ組織に所属している。彼はタクシーの中で、片方の腕をロボットに改造した男に襲われる。その男は世界の麻薬市場を支配する組織、ゴールデン・サークルの一員だった。この組織によって、ロンドンのキングスマンの基地は破壊される。エグジーは米国のスパイ組織「ステイツマン」と協力して敵を倒そうとする。

 登場人物たちのキャラクターが楽しい。名女優ジュリアン・ムーアが演じるのはゴールデン・サークルの女ボス。彼女はカンボジアに1950年代の米国を再現した帝国を作っている。ジャングルの中にカラフルなボーリング場や美容室、食堂などが並んでいるのが実に奇妙。キラキラと幸福そうな場所で、女ボスはにこやかにとんでもない悪事をたくらむのである。

 対するキングスマンのスパイたちは古風な英国紳士として教育されている。武器もアタッシェケースや雨傘など、紳士の持ち物。ただしケースは銃になり、雨傘は弾丸をはね返す特別仕様だ。共闘するステイツマンのメンバーは米カウボーイ風。ショットガンを愛用し、レーザーの投げ縄を操る。文化の異なる者たちが衝突しつつ協力する設定は、よくあるがやはり面白い。両者の協力関係には意外な結末も待っている。

 最大の見どころは、漫画的なまでにすさまじいアクション。コンピューターグラフィックス(CG)とスローモーションを駆使し、スリルと笑いを同時に生み出すマシュー・ヴォーン監督の得意技だ。イタリアのアルプスで、エグジーたちが乗るゴンドラが激しく回転する場面など、チャールズ・チャップリンやバスター・キートンらサイレント時代の伝説のコメディーを思わせる。ジャッキー・チェンも同じ流れに加えていいかもしれない。生身の体を張ったスラップスティックコメディーが、最新技術で現代によみがえったのである。2時間21分。日比谷・TOHOシネマズ日劇など。(小梶勝男)