財木琢磨さん 2.5次元から時代劇へ「新たな壁」への挑戦

インタビュー

 BS-TBSで放送中の時代劇「水戸黄門」で、佐々木助三郎(助さん)役に抜擢された財木琢磨さん。ミュージカル『テニスの王子様』(テニミュ)でデビューし、いわゆる「2.5次元ミュージカル」で活躍する若手俳優です。国民的時代劇への挑戦で注目が集まる財木さんに仕事への思いを聞きました。

オーディションで役をつかむ

――助さん役に決まった時の心境を教えてください。

 一言で言うと、プレッシャーでした。「水戸黄門」はビッグネームだし、「助さん」という誰でも知っている役でしたので。もちろん最初、喜びもありましたけど、プレッシャーがそれ以上に大きかった。「(自分で)大丈夫かな……」とも思いました。歴代の助さんを演じた方々のお名前を見ると、“怖い”とも感じました。

――時代劇は初めての出演ですね。

 そうです。これから役者をやっていく上でいろんな経験が必要だと思うので、時代劇への出演は自分の中でチャンスと思っています。初舞台のテニミュでもいろいろな壁にぶち当たり、2年たって「あぁ、こういうものだ」とわかってきたんです。映像の世界、そして時代劇を新しくやるということで、新たなる壁にぶつかるのは自分でもわかっていました。何回も何回もぶつかって、経験になっていけばいいかなと思っています。

――オーディションを受けて役をつかんだと聞きました。

 実はオーディション前日に足をくじいてしまって……。でも、セリフを覚え、所作も学んでから挑みました。番組冒頭で流れるおなじみの「あゝ人生に涙あり」を歌うため、歌のオーディションもあったんですよ。頑張った甲斐がありました。

 助さんは明るく軟派な性格で、女好きの剣の達人という設定ですね。今まで先輩方の助さんを見ましたが、たとえば杉良太郎さんも僕も助さんになったのは24歳の時なんですよ。ですが、僕はあんなにしっかりしていないですね。(笑)

武田鉄矢さんのアドバイスに感謝

――撮影現場はどのような雰囲気ですか?

 明るい現場ですね。知らない所作が多く、撮影中は毎日大なり小なりパニックを起こしています。水戸黄門役の武田鉄矢さんからはいろいろアドバイスをいただいて、本当に感謝しています。武田さんのお芝居を見ていると、驚かされるし、引き込まれる。武田さんならではの黄門様が出来上がっていて、人情味があふれる黄門様だと思っています。

 

――時代劇といえば、殺陣が必須ですね。

 当たり前だと思いますが、殺陣がめちゃくちゃ速いんですよ。10手くらい教えてもらった直後に、「ゆっくりテストでやってみて」と言われ、「えっ、ちょっと待ってください。僕、まだできてない……」と言うことが多々ありました(笑)。そのあと、「本番行くよ」と言われて、「あぁ、待ってください」と言いながら本番に入って「あ、できた!」なんてことがありました。

 本番で殺陣が成功するのは、相手側、つまり切られる側がスゴイからなんです。この方々のおかげで、僕たちができているのだと思います。急に振り向いてどちらの方向から来るかわからない時でも、相手がわかりやすく(刀を)振ってきてくれるので、覚えていなくても勝手に手が動くという感覚があるんです。「あ、すごいな、これ、自分の力じゃないな」と。切られる側の役者さんたちがスゴイから、殺陣が良く見えるのだなと思ってます。

ジュノン・スーパーボーイ・コンテストでデビュー

――以前から俳優になろうと思っていたのですか?

 高校卒業後、20歳までは社会人として働いていました。職場の上司に「コンテスト受けたらどうだ?」と言われて、ジュノン・スーパーボーイ・コンテストに応募したのがきっかけです。

――第25回(2012年)のコンテストでフォトジェニック賞を受賞した後、芸能界入りですが、最初の転機はやはりテニミュですね。

 初舞台で、手塚国光という大きな役をいただきました。青春学園中等部のテニス部部長という役どころで、歌やダンス、演技もさることながら、副座長として出演者をまとめていかなければならないと言われていました。けれど、舞台を経験したことがない僕にしたら、何もわからないし、稽古自体もどうしたらいいかわからなかった。一方、周りには舞台経験がある人が多く、人をまとめることは非常に難しかったです。

――2年間ラケットを“振って”きましたが、クセはついたのでしょうか。

 テニミュの後、「甲鉄城のカバネリ」というアニメを舞台化した作品に出演し、初めて殺陣をやりました。けれど、知り合いからは「刀じゃなくて、ラケットを振っているように見える」と言われてしまって……。

 その後に「ミュージカル『刀剣乱舞』~三百年みほとせの子守唄~」に大倶利伽羅おおくりから役で出演することが決まり、しっかりと殺陣は練習しました。

――褐色の肌に左肩から腕一面を覆う龍のタトゥーが入った大倶利伽羅。少々無愛想という印象で、ゲーム内ではあまり口数が多いキャラクターではありませんね。演じてみてどうですか?

 ある意味助かった面もあるんですけど、一方、しゃべらないため、どのようにキャラクターの魅力を表現するかを絶えず考えていました。他の刀剣男士といる時、みんなとどのくらいの距離を保っていればいいかとか、手探りでした。

――10月には誕生日を兼ねてファンとの1泊2日のバスツアーが開催されたり、今月12日には香港でファンミーティングが開かれたりと、たくさんのファンが集まるようですが……。

 大倶利伽羅を好きな人たちが、その役をキッカケに僕を知って好きになってくれるのは本当にありがたいことです。作品とキャラクターに非常に感謝しています。キャラクターから離れた際にも、僕の演技を見てくれるようにがんばっていきたいですね。

――将来、どんな役者になりたいですか?

 周りから憧れられる、好かれる役者になることができれば、と思っています。こういう芝居ができる俳優になりたいとか、いろんな役を演じられる俳優になりたいとかはあるのだけれど、そのなかでも、周りの役者やスタッフさんから慕われる役者になりたい。僕から見て、周りの役者さんは一人ひとり「すごいな」と思っているんです。そのためには経験が必要ですよね。いろんな役を演じて幅を広げる。意識的に映画やいろんな作品を見ていかなきゃいけないなと思います。

財木さんインタビュー動画

財木琢磨(ざいき・たくま)
 1992年10月15日生まれ。福岡県出身。2012年、第25回ジュノン・スーパーボーイ・コンテストでフォトジェニック賞受賞。ミュージカル「テニスの王子様」3rdシーズンで8代目手塚国光役、「ミュージカル『刀剣乱舞』~三百年の子守唄~」 大倶利伽羅役などで脚光を浴びる。現在放送中のBS-TBS「水戸黄門」に佐々木助三郎役で出演中。12月8日より東京・日本武道館を皮切りに行われるライブイベント「ミュージカル『刀剣乱舞』 ~真剣乱舞祭 2017~」、18年1月に上演される舞台『クジラの子らは砂上に歌う』への出演が控えている。