「ブレードランナー」新作で来日、A・アルマス、S・フークス

シルヴィア・フークス(左)とアナ・デ・アルマス

 SF映画の傑作「ブレードランナー」(1982年)の続編「ブレードランナー2049」が10月27日(金)に公開されます。前作から30年後の2049年の世界を舞台に、危険な人造人間「レプリカント」を取り締まる捜査官「ブレードランナー」が、レプリカントの開発で世界を支配する組織の陰謀に立ち向かう物語。主人公のブレードランナー「K」の恋人「ジョイ」を演じたアナ・デ・アルマスさんと、Kに敵対するレプリカント「ラヴ」を演じたシルヴィア・フークスさんに、撮影時のエピソードを聞きました。

出演オファーに絶叫、号泣

――ハリソン・フォードが主演した前作の「ブレードランナー」は「映画史上に残る傑作」とも称され、今でも世界中に多くのファンがいます。そんな作品の続編への出演が決まった時、どんな気持ちでしたか?

 シルヴィアさん ドゥニ・ヴィルヌーヴ監督から電話で出演オファーを受けた時、思わず大声で叫び、その後、号泣してしまいました。私自身、ブレードランナーのファンで、女優としても、一人の人間としても、とても重要な映画だったんです。ドゥニ監督、ハリソン・フォード、(主演の)ライアン・ゴズリングといったそうそうたる人たちと共に、ブレードランナーの世界観に入り込めるチャンスが与えられたという現実に、なんだか圧倒されるような気分でした。

 アナさん 出演者としてこんなすごい映画の一部になれることに、すごくワクワクしました。同時に怖くもあり、ナーバスにもなりました。そして、皆さんが期待しているような良い演技ができるようにと、心から願いました。

来日記者会見に出席した(左から)アナ・デ・アルマス、ハリソン・フォード、ドゥニ・ヴィルヌーヴ、、シルヴィア・フークス(10月23日)

1日6時間のトレーニングで肉体改造

――役作りでこだわったことは?

 アナさん 衣装デザイナーが、たくさんの種類の衣装を用意してくれて、衣装を選ぶのがすごく楽しかったです。ただ、ドゥニ監督は、ジョイというキャラクターについて、明確なイメージを持っていました。その頃、私の髪の色はブロンズでしたが、監督から「ダークにしてほしい」「前髪を切ってほしい」とリクエストがありました。衣装については、「Kとジョイの心のつながりを表現することが大事なのだから、衣装はあくまでシンプルなデザインで」と。だから私は、監督の意図に合わせようと心掛けました。

 シルヴィアさん 私は元々細身なのですが、ラヴはとても強いキャラクターなので、「筋肉を8キロつけるように」と言われました。そこで、優秀なトレーナーや、栄養学、心理学の専門家まで付けて、肉体改造に着手したんです。1日6時間に及ぶトレーニングはとてもつらく、痛みさえ覚えるほどでしたが、それがラヴという役柄を理解するうえで、とても役に立ちました。ラヴは、心に大きな痛みや葛藤を抱えています。ハードトレーニングで限界を超えるぐらいまで自分を追い込んだ瞬間、ラヴの気持ちを発見できた気がしました。

才能、経験豊富なハリソン、ライアン

――ミュージカル映画「ラ・ラ・ランド」(2016年)でアカデミー主演男優賞候補に挙がった人気俳優、ライアン・ゴズリングが主演。前作でブレードランナー「デッカード」を演じた名優、ハリソン・フォードが再びデッカード役を務めています。2人の印象は?

 アナさん ライアンを知る多くの人が「彼は素晴らしい」と褒めるのですが、そんな褒め言葉では足りないくらいの人物でした。人格者であり、エネルギッシュで責任感が強い。作品を撮っていた5か月間、彼は撮影現場の人たちを引っ張ってくれました。彼がこれまで数多くの作品で主演を務めてきたのは、それなりの理由があるんだと思いました。ハリソンは、とても優しい人。私がミニスカートのコスチュームで現場にいると、「寒くないかい?」と気遣ってくれました。

 シルヴィアさん 私は激しいトレーニングをしていたから、とにかくおなかが空くんです。ある時、ケータリングのテーブルで食べ物をかき込んでいたら、突然、ハリソンが来て、「明日、撮影があるんだけど」とおっしゃったんです。驚いた私は、食べ物をのみ込めなくなって、すごく苦しい思いをしました(笑)。彼の顔を見ると、「(ハリソンが演じた映画「スター・ウォーズ」シリーズの)ハン・ソロだ」「インディー・ジョーンズだ」と思ってしまうので、初めて共演した時には、緊張しながらずっと下を向いていたんです。たまたま顔を上げて、ハリソンの方をチラッと見たら、ハリソンがジョークを言ってくれて。おかげで、それからはリラックスして撮影に臨むことができました。

 ハリソンやライアンのように、才能と経験の豊かな俳優はなかなかいません。インタビューを受けている誰かが、ある俳優についての印象を聞かれて、「素晴らしい」などと答えているのを目にすることがありますよね。「本当にそうなのかな?」と疑う人もいると思いますが、今回は本当ですよ(笑)。

――本作に出演したことによって、女優としてどんな影響を受けましたか?

 アナさん 今はまだよく分かりません。もう少し時間がたって、この作品を振り返った時に、私自身、何が変わったのかに気付くのではないでしょうか。ただ、このような大作に出演したことで、「自分がこれからどんなプロジェクトに関わりたいのか」「どんな監督と仕事をしたいのか」を意識するようになったのは確かです。

 シルヴィアさん 今回のように、高いレベルの才能が集結して、優れた映画を生み出していくといったことを経験すると、これから先も同じような経験をしたいという気持ちに駆られます。ラブを演じたことで、女性的な色彩があるパレットに、男性的な色彩を加えることができました。俳優としてパレットの色彩をより豊かにすることができて、本当に良かったと思っています。

アナ・デ・アルマス(Ana de Armas)

1988年、キューバ生まれ。2006年、映画「カリブの白い薔薇」で女優デビュー。主な出演作は「エクスポーズ 暗闇の迷宮」(15年)、「ハンズ・オブ・ストーン」(16年)、「ウォー・ドックス」(16年)など。米国の映画サイト「TC Candler」が15年に発表した「世界で最も美しい顔100人」で第9位に選ばれた。

シルヴィア・フークス(Sylvia Hoeks)

1983年、オランダ生まれ。14歳からモデルとしてキャリアをスタートさせ、2007年の「Duska」で映画デビュー。11年にオランダ映画祭の最優秀女優賞を獲得。ベルリン国際映画祭ではシューティング・スター賞を受賞し、ヨーロッパを代表する映画女優に。代表作は「鑑定士と顔のない依頼人」(12年)など。

『ブレードランナー2049』は10月27日(金)より全国ロードショー。
監督:ドゥニ・ヴィルヌーヴ 製作総指揮:リドリー・スコット
キャスト:ライアン・ゴズリング、ハリソン・フォード、アナ・デ・アルマス、シルヴィア・フークス、ロビン・ライトほか