「人生の岐路」での選択に間違いはなかった……松岡茉優さん

 映画、テレビドラマのほか、バラエティー番組の司会などの幅広い分野で活躍中の女優・松岡茉優さん。クルマを人に見立てた世界を描く人気シリーズの最新作「カーズ/クロスロード」(全国公開中)の日本語吹き替え版では、クラッシュ事故という挫折を味わった天才レーサー、マックイーンの再起をサポートするトレーナー、クルーズの声を演じています。人生の岐路(クロスロード)に立たされたマックイーンとクルーズに自身を重ね合わせて、女優生活の転機などについて語ってくれました。

 周りが何を言おうと曲げない性格

 ――クルーズというキャラクターの声を演じるに当たって、どんなことを心掛けましたか。

  子供の頃からずっと見てきたディズニー/ピクサーの作品に出演させていただくことはすごく光栄でうれしかったのですが、いざ台本を開いてみたら、セリフの量がものすごく多くて。クルーズは気持ちが前向きな女の子で、まくし立てるような話し方なのですが、声優としての力が伴っていなかったばかりに、スタッフの方々にはご迷惑をおかけしてしまいました。それでも、クルーズという役を愛して、精いっぱい演じたつもりです。

 ――クルーズというキャラクターとご自身に共通点はありますか。

  クルーズは、自分がやりたいと思ったら、マックイーンの言うことも聞かずに、やりたい方向に突き進んでしまう女の子です。私も「絶対こっちの方がいい」と思ったら、周りが何と言おうと、その気持ちをなかなか変えられないんです。そのせいでよく母に怒られるので、そんな性格を直していきたいと思っています。

 ――クルーズは、クラッシュ事故からの再起を図るマックイーンのトレーナーで、クルマのテクノロジーに関する知識が豊富です。松岡さんには「この知識なら人に負けない」ということはありますか。

  (アイドルグループの)モーニング娘。に関する知識と愛情なら、誰にも負けません(笑)。

――映画のタイトルに「クロスロード」とあるように、マックイーンだけでなく、クルーズもまた過去に「人生の岐路」に立たされた経験を持っています。松岡さん自身、これまでにそうした経験はありましたか。

  そうですね……。高校3年生の頃、私の周りでは、大学進学を決めた子、就職することに決めた子と、いろいろ進路に分かれて、「人生にはいろんな選択肢があるんだな」って感じたんです。私も「ここで決めないと、もしかしたら人生が変わるかもしれない」と。私の場合は、子役からスタートして、学業とお仕事をずっと並行してやっていたのですが、「このまま大学に行って、また4年間、勉強と仕事を並行してやるのか。それとも、学業を終えて俳優一本でやっていくのか」とすごく悩みました。あの時は、まさに「人生の岐路」だったと思います。

――最終的には、仕事に専念することに決めたのですね。

  どちらを選んだ方が良かったのか、今はまだ分かりませんが、学生をしながら俳優業もやるのではなく、すべての時間を俳優業に費やすという選択は間違っていなかったと思っています。

一つの出会いで人生が変わる

 ――「カーズ」は、擬人化されたクルマのキャラクターたちのスピード感が魅力です。松岡さんは最近、マックイーンたちのように「大爆走」したことは?

  今、撮影中のドラマ(日本テレビ系「ウチの夫は仕事ができない」)で、何度か自転車に乗って走る場面があったのですが、「あんなに自転車をこいだの、久しぶりだな」って思いました。そのたびに、ふだんから体を動かさなきゃなって感じています。私の周りではジムに通っている子が多いんですが、私は汗をかくのがあまり好きじゃないので……。

 ――松岡さんは、クルマに乗ってドライブに出かけたりすることはありますか?

  自分でクルマを運転するのは、半年に1回ぐらいですね。運転免許を取ったばかりで、どんどん乗らなきゃ運転が下手になってしまうと思っているのですが、なかなかタイミングがなくて……。でも、免許を取ってから、クルマにすごく興味が湧いてきたんです。今回の作品でも、マックイーンを取材しようとたくさんのクルマが集まるシーンがあるんです。それを見て「これはきっと○○というクルマだ」とか、知っているクルマを探すのが楽しかった。私はまだ街中しか走ったことがないので、いずれは山道などにも挑戦してみたいです。

 ――今回の作品の見どころは?

  作中で、天才レーサーだったマックイーンは、思いがけない挫折を経験しますが、クルーズという“相棒”と出会ったことで人生が変わっていきます。私たちも、一つの出会いによって人生が変わることがあります。だから、大人がこの作品を見たら、いろんなことを感じ取れると思うし、子どもたちは何を感じてくれるのか、感想を聞くのがすごく楽しみです。

松岡茉優 (まつおか・まゆ)

 1995年、東京都生まれ。2008年、テレビ東京「おはスタ」で「おはガール」として本格的デビュー。12年、映画「桐島、部活やめるってよ」、13年、NHK連続テレビ小説「あまちゃん」などで注目される。16年には、「真田丸」でNHK大河ドラマ初出演のほか、「その『おこだわり』、私にもくれよ!!」(テレビ東京)、「水族館ガール」(NHK)に主演、映画「猫なんかよんでもこない。」、「ちはやふる」では第8回TAMA映画賞で最優秀新進女優賞、第40回山路ふみ子映画賞で新人女優賞を受賞。現在、ドラマ「やすらぎの郷」(テレビ朝日)、「ウチの夫は仕事ができない」(日本テレビ)が放映中。初主演映画「勝手にふるえてろ」の公開も控えている。

「カーズ/クロスロード」は全国公開中。
監督:ブライアン・フィー 製作:ケヴィン・レハー 製作総指揮:ジョン・ラセター 日本語吹き替え版の声の出演:土田大、山口智充、戸田恵子、松岡茉優、藤森慎吾ほか