「20センチュリー・ウーマン」母の記憶 忘れられぬ熱

シネマレビュー

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 舞台は1979年、米カリフォルニア州サンタバーバラ。原題は「20TH CENTURY WOMEN」。66年生まれのマイク・ミルズ監督が、自らの母親の記憶を投影して描く群像劇である。
 物語の中心は、55歳のドロシア(アネット・ベニング=写真左)と15歳の一人息子、ジェイミー(ルーカス・ジェイド・ズマン=同右)。ドロシアはジェイミーを産んだ後、離婚。誰に頼ることなく息子を育ててきたが、最近彼のことがわからなくなってきた。
 良き理解者の支えが要るのでは。ドロシアは2人の女性に協力を求める。それは、母子の屋敷に間借りする24歳の写真家、アビー(グレタ・ガーウィグ)と、ジェイミーより2歳年上の幼なじみ、ジュリー(エル・ファニング)――。
 冒頭、母子の愛車が駐車中に炎上する場面は暗示的だ。何かが変わろうとしている。ジェイミーも時代もカルチャーもアメリカも。その渦中で、立場も生まれた時代も異なる登場人物たちが感じるときめきと困惑を、ミルズ監督は時代の空気を感じさせるエピソードと共に活写していく。そして浮かび上がるのは、揺れながらも現実を見据える女たちの姿だ。
 諸行無常。でも、しなやかに残る何か、忘れられぬ熱が、本作には刻まれている。それを強く印象づけるのは、ベニングら女優陣の個性と存在感。女もいろいろ。監督が全部わかったような描き方をしていないのもいい。1時間59分。有楽町・丸の内ピカデリーなど。(恩田泰子)