母と娘の命がけの逃避行 アフィア・ナサニエル監督の映画「娘よ」

パキスタン出身の女性監督の初長編 10年かけて資金集め

 パキスタン山奥の村で部族のおきてに縛られて生きてきた母と娘の命がけの逃避行を描く「娘よ」が東京・神保町の岩波ホールで公開されている。

 15歳の時に年の離れた部族長に嫁がされた母が、10歳にして同じ運命をたどろうとしている娘と村を脱出。代償に命を狙われる。

 パキスタン出身、米ニューヨーク在住のアフィア・ナサニエル監督=写真=の初長編。1999年に聞いたニュースに着想を得た物語だという。「まだそういう状況に置かれた人がいることに衝撃を受け、命をかけて娘を守ろうとした母親の勇気に心動かされました」

 自由と尊厳を求める女性のスリリングな逃亡劇。パキスタン山岳地帯の壮大な風景の中での撮影を実現したが、資金集めには約10年かかった。ニューヨークでは「女性監督の初長編、しかも現地での撮影には危険も伴うことがハードルに」。母国では「ヒーローはどこだ」とよく尋ねられたという。「女性がヒーローの映画はありませんでしたから。でも、『女性であるあなたにこの物語を撮ってほしい』と言ってくれるパキスタンの男性たちと一緒に困難な挑戦を乗り越えました」

 少女時代から詩や小説を書くのが好きだった。ラホールの大学でコンピューター関係の勉強をしたが、「本当にやりたいことか、立ち止まって考えた」。広告業界などを経て、「映像で物語を表現すること」を志し、米コロンビア大大学院で映画を学んだ。今は次作の準備中。「SFとコメディー、スリラー、三つの脚本を同時進行で書いています。その日の気分で書き分けているんです」