「ジャッキー/ファーストレディ 最後の使命」暗殺から国葬までの4日間

シネマレビュー

© 2016 Jackie Productions Limited

ナタリー・ポートマン演じる歴史の1ページ

 1963年の米大統領ジョン・F・ケネディ暗殺。「ダラスの熱い日」をはじめ事件を巡る映画は多いが、ジャッキーこと妻ジャクリーンにとっての“その時”を見つめたこの映画の視点は新鮮だ。

 パレードの車上。ジャッキー(ナタリー・ポートマン=写真中央)は目の前で夫のジョン(キャスパー・フィリップソン)を撃ち殺される。在任3年弱。どうすれば夫の名を歴史に残せるか。国葬までの4日間、彼女が何を使命としどう行動したかを克明に描く。

 自らホワイトハウスを紹介した当時のテレビ番組と収録現場を再現、彼女がケネディ人気を支えたことを匂わせる。記者の取材に、夫の最期と厳かな国葬にこめた思いを語るジャッキー。回想シーンを交え、報道によって彼女の物語が動かぬ歴史の一ページとして刻まれていく様子は圧巻だ。

 血のりのついた服のまま政府専用機内でジョンソン次期大統領の就任宣誓式に立ち会う――。胸に悲哀と憤りを秘めた女の姿は鬼気迫る。かすかな頬の震えや見開いた瞳。ポートマンは、揺るぎない決意でファーストレディーの有終の美を飾るその人を演じきった。

 我が子の死産と急死。再婚相手の海運王オナシスとの死別。華やかなイメージの一方で、ジャッキーは度重なる不幸に見舞われた人だった。愛するケネディに花道を用意した日々は、64年間の彼女の人生のハイライトとして光り輝く。パブロ・ラライン監督。1時間39分。日比谷・TOHOシネマズシャンテなど。(武田裕芸)