はいだしょうこのおなかの上を歩くアメショーのムーと家族の関係

ペットらいふ

はいだしょうことアメショーのムー
「ムーちゃんは、みんなに愛される人気者のアイドル気質です」(はいださん提供)

アメリカンショートヘアの「ムーちゃん」(メス、12歳)を飼っています。利口で愛らしい我が家のアイドル。実は2代目です。

小さいときから大の猫好き。小学生の頃、道ばたで子猫を見つけては連れ帰り、母親に「うちでは飼えないよ」と言われ、泣く泣く飼える同級生を探したことは一度や二度ではありません。

「大きくなったら猫を飼いたい」。それを実現できたのは、宝塚歌劇団に入団し、一人暮らしを始めた19歳のときです。初めての給料を握りしめ、ペットショップに行くと、アメリカンショートヘアの子猫と目が合いました。手のひらに乗るくらい小さくてふわふわ。肩にしがみついてきて、その瞬間胸がキュンとなり、家に連れ帰りました。それが初代ムーちゃんです。

当時は朝から晩まで稽古が続く厳しい生活。帰りは午前0時を過ぎることもありました。帰宅すると、ムーちゃんはミャーと鳴いて甘えてきます。走り回って遊んだかと思うと、コテッと寝てしまう。ホッと一息つける、癒やしの存在でした。

でも、私のハードな生活を見た母に「家に一匹で留守番して、かわいそうじゃない?」と言われてしまい……。さみしそうにしていたので、1歳くらいのとき、実家に連れていきました。

実家の家族はあまりのかわいさにすぐメロメロになりました。悩み事がありそうな家族の近くに寄って、ずっと座っていることも。励ましてくれているようで家族全員でジーンとしたこともありました。

退団後、東京での芸能生活が始まったので実家に住むようになりました。ムーちゃんは年をとるにつれ、腎臓が悪くなり、他の病気もあって動物病院に通院するようになりました。11歳になったある寒い日の朝、父に抱っこをされながら息を引き取りました。その後、生放送のテレビ番組に出演している間も頭の中はムーちゃんでいっぱい。「きっと天国で応援してくれているはず」とカメラの前では笑顔で乗り切りました。

先代の生まれ変わり?

家族で落ち込み、「もう動物を飼うのはやめよう」と話しましたが、しばらくして知り合いから「そっくりな猫がいる」との連絡。迷いましたが、暖かな春の日にきた子猫は初代ムーちゃんの色や柄とうり二つでびっくりしました。色んな思い出がよみがえり、家族で泣きました。「生まれ変わりかも」。初代ムーちゃんの思い出と一緒に育てようと同じ名前にしました。

こうして始まった2代目ムーちゃんとの日々。先代と同じように幸せを運んでくれます。次回から2代目ムーちゃんとのドタバタ生活をお送りします!

「先代猫と見た目は似てても、性格は真反対。抱っこが大好きです」(はいださん提供)

人見知りなし 犬のよう

アメリカンショートヘアの「ムーちゃん」(メス、12歳)は犬みたいな性格です。人間が大好きで甘えん坊。みんなに抱っこしてほしがるし、遊び方も犬っぽいのです。

スーパーボールやアルミホイルを丸めたものをポンと投げると、「もう一回投げて」と言わんばかりにくわえて持ってきて、ポロンと足元に落とします。ネズミのぬいぐるみがぶら下がった猫じゃらしを投げたときは、ネズミの部分を口にくわえて引きずりながら持ってきました。猫じゃらしなのに、じゃれるんじゃなく「持ってこい」で遊ぶのが犬っぽいでしょう。重たいだろうに、その必死な様子が面白いやら、かわいいやら。一緒に楽しく遊びたいタイプなんです。

それから、足音が大きい。普通、猫って静かに動くイメージがありますよね。ムーちゃんは高いところから下りるとき、床にドスンと音を響かせて下ります。鈴をつけなくても、どこにいるかすぐ分かります。コロナで家にいる時間が増えたけど、ムーちゃんがいると常に気配があって、さみしくありません。

人見知りもなし。知らない人が苦手な猫も多いと思いますが、宅配便の方が来ると、家族の誰よりも先に玄関に行きます。抱っこしてもらって、「かわいいね」と言ってもらうと満足げな様子。「かわいい」という言葉が分かっているようなそぶりを見せます。父が「ムーちゃんは本当にかわいいねえ」と、まさに猫なで声を出すと、おなかを出してゴロン。「なでて~」と甘えてきます。猫が苦手な私のマネジャーさんにさえも寄っていきます。マネジャーさんは逃げていきますが(笑)。

父や母がソファに座るとすぐに膝の上に乗ります。寝やすい姿勢を探りながらもぞもぞ動き、自分の腕にあごを乗せて昼寝します。

ムーちゃんよりも前に飼っていた同じアメリカンショートヘアの先代ムーちゃんは少し怖がりで、あまり抱っこさせてくれない性格だったので、その違いに驚いています。先代と見た目が似ていて、「生まれ変わりかも」と思って飼い始めたのですが、やっぱり性格はそれぞれ違うのですね。こんな様子を見ていると、「あれ、犬を飼っているのかな」と思うこともしばしばです。

そんなムーちゃんですが、苦手なものが一つだけあります。それは子ども!

父が自宅で音楽教室を開いているのですが、そこに通っている子どもたちが「わ~かわいい!」と寄ってくると、あっという間に逃げてしまいます。レッスン室から子どもが出てきそうな音がすると姿が見えなくなることも。子どもの予測不能な動きが苦手なのかな。人気者もつらいですね。

病院の日 家族で総力戦

アメリカンショートヘアの「ムーちゃん」(メス、12歳)と暮らす我が家にとって動物病院に行くのは一大事です。大の病院嫌いのムーちゃんをどうやって無事に連れて行くか――。家族総出でミッション開始です!

予防接種の日。キャリーバッグを見ると、ムーちゃんは「病院だ!」と感づいてしまいます。だから、まずはキャリーバッグを見えない場所に移動。まだムーちゃんは気づいていない様子。しめしめ、いい調子。

そろそろ出発のタイミングというところで、別の部屋にあったキャリーバッグをリビングルームまで運んでいくと……。「あれ!? ムーちゃん、どこ行った?」。さっきまでソファでくつろいでいたムーちゃんがいなくなっているではありませんか。どうやら、キャリーバッグの取っ手を持ち上げる「カチャリ」という小さな音を聞きつけて、逃げてしまったようなのです。そこからは両親と私で手分けをして家中を捜索。このままでは予約時間に間に合いません。「どこ行った? どこ行った?」と大騒ぎしながら、なんとかムーちゃんを見つけ出し、病院へ連れて行ったのでした。

キャリーバッグが見えなければ大丈夫だと思っていたのに、まさかあんな小さな音で判別するとは。敵ながらあっぱれです。こうしてキャリーバッグ移動作戦は失敗に終わったのです。

ある日、ムーちゃんの体調が悪く、入院することになりました。「あしたは病院だ」。前日の夜、両親と家族会議を開きました。議題はもちろん「どうやってムーちゃんと無事病院に行くか」。キャリーバッグを見えないようにしても逃げてしまいます。誰かが傷を負ってでもムーちゃんを捕まえるしかありません。バッグのふたを開けておく人、ムーちゃんを捜す人、捕まえる人をあらかじめ分担することにしました。

いよいよ決戦の朝。もちろんムーちゃんはいつも通り隠れてしまいました。なんとか捜しだし、バッグに入れようとしますが、ムーちゃんは足を突っ張って、入ろうとしません。ケガすることを見込んで長袖を着た母の腕をよじ登ってきます。母と2人がかりでなんとかバッグに入れると、車で移動する間も「やめてくれ!」と言わんばかりに、ずっと「ミャー!」と叫んでいるムーちゃん。病院に到着すると、バッグから出まいと抵抗してきます。みんなでベッドの上に乗せました。獣医師さんに「フー!」と一言威嚇すると、あとは観念したのか、急におとなしくなりました。

退院後、帰宅のとき。「さあ、帰るよ~」と声をかけると、さっさとキャリーバッグに入ったのには笑いました。今後も病院へ連れて行くのには骨が折れそうです。

「手から直接えさを食べる姿がかわいいです」(はいださん提供)

父の膝でお昼寝

私には姉がいて、2人姉妹。アメリカンショートヘアの「ムーちゃん」(メス、12歳)がやってきてからは、まるで3姉妹のように過ごしています。それは私が結婚して家を出てからも変わりません。

ムーちゃんにとって、父は「一家の大黒柱」。一番頼りになるご主人様だと思っていて、いつも甘えています。父が座っていると、必ず膝の上でお昼寝します。父が寝ているとベッドまで起こしに行くほどなついています。

母はムーちゃんにとっても「優しいお母さん」。夜寝るときは母の腕枕で寝ているのです。本当の子どもみたいでしょう。朝になって母の方が遅くまで寝ているときや、具合が悪いときは、起こさないようにそっと抜け出すようです。優しい子です。

おなかがすくと母の横に行って、腕をトントンとつつきます。母が味の違うキャットフードを三つ取り出し、一つずつ見せて「これ?」と聞きます。食べたくないものだと知らん顔。食べたいものだとお皿のところに行きます。母は「パッケージの色で味を見分けているに違いない。賢い!」と親ばか全開です。

姉は「自分と遊んでくれるお姉ちゃん」。寄っていくと相手をして、猫じゃらしなどで遊んでくれるので大喜びです。姉が帰宅すると玄関まで出迎えに行ったり、部屋にいると出てくるのをドアのところで待っていたり。お姉ちゃん子です。

そして私のことは、頼りになるお姉ちゃん……と言いたいところですが、どうやら違うようです。帰宅しても玄関まで来てくれない。それどころか、リビングルームでゴロンと横になっていると、おなかの上を歩いて横切っていきます。「重いよ! ムーちゃん」と言う私の横で、母は「なんでかしら。ほかの人には絶対にこんなことしないのに」と首をかしげています。

「一緒にかくれんぼしようか」と言うとソファの下に隠れるムーちゃん。「見つけた! こら~」と言って、今度は私が台所に隠れると、ソーッと見に来ます。私は遊んであげているつもりですが、ムーちゃんからしたら「妹のかくれんぼに付き合ってあげた」と思っているのかも。ということは、ムーちゃんは3姉妹の末っ子じゃなくて次女のつもりだったりして。

ムーちゃんが「遊んで」というふうに、私の足を爪でかりかり引っかいてきたときに「痛いよお」と泣きまねすると、「あ、泣いちゃった」という表情ですぐにやめるのです。やっぱり自分の方が上だと思っているのでしょうね。

ムーちゃんは家族の中心でみんなと強い絆で結ばれています。たくさんの喜びと癒やしをありがとう。ムーちゃん!

(このコラムは、読売新聞で5月に掲載されたものをまとめて再掲載しています。)

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はいだしょうこ
タレント

1979年、東京都生まれ。幼少期より童謡歌手として全国各地のコンサートをまわる。98年、宝塚歌劇団に入り、娘役として活躍。2003年、NHK「おかあさんといっしょ」の第19代うたのおねえさん。現在は役者や歌手のほか、テレビ番組などでも幅広く活動している。