東京の星つきフレンチでやりたいことを全部やる

ごほうびクリエーター×ぐるなび

東京・東麻布のフレンチ「Restaurant L'aube(レストラン ローブ)」のイチゴを使ったデザート

キラリと光るあの人から人生のヒントを。元気をくれる特別なごほうびフードを生み出すごほうびクリエーターの生き方に迫ります。

Restaurant L’aube パティシエール 平瀬祥子さん

一目で深い愛情を感じ取れる、繊細で精巧なデザート。春に旬を迎えるイチゴを主役に、ハチミツと練乳入りの綿菓子やラベンダーのメレンゲとライチのジュレ、5種のハーブを使ったシャーベットなど、どれも食感が異なり、それぞれの魅力が引き出されています。「イメージは土の豊かな香り漂うイチゴ畑。お散歩している気分でお楽しみください」と語るのは東京・東麻布のフレンチ「Restaurant L’aube(レストラン ローブ)」シェフパティシエールの平瀬祥子さんです。

同店は「ミシュランガイド東京 2018」から4年連続で一つ星に掲載されています。平瀬さん自身としても「ゴ・エ・ミヨ2020」でベストパティシエ賞を受賞するなど、華々しい活躍が続いています。

地元ホテルの調理場から、海外にはばたくまで

3姉妹の末っ子ゆえ、おやつの取り合いに連敗していた幼少期。「食べたいものは自分で作ってしまおうと思って(笑)」というユニークな動機から、平瀬さんのパティシエ人生が幕開けしました。漫画で描かれた子ども向けの料理本を教材に、小学生のころからお菓子作りを開始しました。

職業として意識したのは、高校卒業後に地元・熊本のホテルの調理場に就職してから。下働きとして1年ほどたった頃、上司が抜けて自分が戦力にならなければならない状況に。東京や博多から来たシェフたちから、短期間で実践的なことを教わるうちに、責任感や仕事の楽しさに火が付いていきました。

一口にパティシエといっても、ホテルやレストラン、街のパティスリーなど活躍の場は多岐にわたります。国内外で研鑽けんさんを積んだシェフたちからアドバイスを受け、「もっと外の世界を見るべきだ」と、20代前半で海外での修業を視野に入れ始めました。

言葉の壁にもめげず、履歴書片手に飛び込んだ

憧れはアメリカ、フランス、そして東京。2~3週間の短期アメリカ滞在を経験したのち、本格修業のために23歳でフランスへ。語学学校に通いながら、自力で交渉して、研修先を見つけました。パリ最古といわれるパティスリー「Stohrer(ストレー)」を皮切りに、パリで活躍する中山豊光シェフが手掛ける「Restaurant TOYO(レストラン・トヨ)」でシェフパティシエを務めるなど、屈指の実力店で活躍の幅を広げていきました。

東京・東麻布のフレンチ「Restaurant L'aube(レストラン ローブ)」のパティシエール 平瀬祥子さん

立ちはだかったのは、言語の壁。「シェフたちは口頭でレシピを伝える。ちゃんと理解しないと、次のチャンスが巡ってこないんです」。有名店になると競争は激化し、向上心の強い同僚たちと衝突もしばしば。「100人中、日本人が1人という状況で働いていた時が一番精神的に参っていました。人種や言葉、性別が違うというだけで差別的な扱いを受けたこともあります。技術だけでは見返せないもどかしさが、本当に悔しかった」

その分、ささいな幸せが心の救いに。クリスマス期だけ一緒に働くベテランシェフからチョコレート作りの技術を伝授されたり、セーヌ川やリュクサンブール公園を見ながらテラスでビールを飲んだり。「ダメだったら日本に帰ろう」と力を抜いて踏み出したフランス修業の日々は、8年にも及びました。

パティシエも一緒にコースを作り上げていく喜び

家庭の事情を機に、2011年に帰国。しばらく地元・熊本で過ごした後、最後の憧れの地・東京に足が向き、そのままキャリアがスタート。独立前に勤めたフレンチ「Keisuke Matsushima」で、改めてフレンチコースにおけるデザート作りの喜びを味わいました。「フランス時代はシェフが作る料理に寄り添う形でしたが、お互いにディスカッションしながらコースを作り上げていく過程が楽しくて」。同店で出会った今橋英明シェフ、石田博シェフソムリエとともに、2016年に「Restaurant L’aube」の開業に至りました。

東京・東麻布のフレンチ「Restaurant L'aube(レストラン ローブ)」

こだわったのは、厨房ちゅうぼうと客席の近さ。「焼きたてのブリオッシュなど、温かいものが冷めないうちにご提供できること。もう一つは、やはりお客様のお声を直接聞きたいから」。閉鎖的なキッチンでの作業に追われるだけではない、開放感のある刺激的な日々を送っています。

東京・東麻布のフレンチ「Restaurant L'aube(レストラン ローブ)」のデコポンを使ったデザート

旬に応じて変化する2種のデセール。今春はイチゴのほかに、デコポンもピックアップしました。「独特の風味と相性の良かったほうじ茶をアイスクリームに。クレープは、デコポンの皮で香りをつけたカスタードクリームとキャラメルのクリームを包み、フロマージュブランを巻き込んでいます」。ほかにもリオレ(ミルクがゆ)や押し麦、ショウガとコラボした独創性あふれる冷菓がずらりと並びます。

20代までの頑張りを無駄にしない、新しい仕組みづくり

今後の目標は、次世代が夢を持てる職場を作ること。今春より、新設した子会社の代表に就任しました。

東京・東麻布のフレンチ「Restaurant L'aube(レストラン ローブ)」のパティシエール 平瀬祥子さん

「EC事業に特化しつつ、体の不調や出産で離職を考える若者や女性シェフたちの新しい働きの場を提供できる仕組みを作っていきます」。20代をがむしゃらに乗り越えたにもかかわらず、体の不調に悩みながら働いた30代の経験が基になっているそう。

次々に新しい道へチャレンジする果敢さを支えているのは、「やりたいことを全部やればいい」という母の言葉と、これまで出会ったシェフたちから掛けられた「戻ってきても同じポジションはない。ステップアップして帰ってきたなら、一緒に仕事をしよう」という厳しいながらも愛のある激励。「いろんなことがありましたが、“やらなきゃよかった”“やっておけばよかった”と後悔したことは一度もありません」(ライター/麻林由、撮影/片桐圭)

【お店とメニュー情報】

[メニュー]
コース料理にイチゴかデコポンいずれかのデザートが付きます。
どちらかを希望する場合は、事前に店舗へ相談してください。
また、仕入れの状況により内容は変更になる可能性がありますので、あらかじめご了承ください。

[店名]Restaurant L’aube
[住所]東京都港区東麻布1-17-9 アネックス東麻布2階
[営業時間]12:00~15:00(L.O 12:30)、18:00~23:00(L.O 20:00)
[定休日]日、月曜
[問い合わせ先]050-5486-7620
[ホームページ] https://r.gnavi.co.jp/4v5gt3y80000/

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