フィリピン料理「アドボ」、手羽元のうまみを引き出すコツとは

おかえりスープ (10)

「ただいま〜。異国情緒たっぷりの料理が食べたくて来ちゃった。『旅スープ』作って!」

そう言って扉を開けたのは、毎年2回の海外旅行を楽しむ会社員の彼女。

ここは、僕のアトリエ。スープを作るのが好きな僕のところに、彼女がおなかをすかせて訪れます。

ハワイやオーストラリアなど、日本人に人気の観光地ではなく、少しニッチな国を好む彼女は、アフリカや南米など冒険心をくすぐる場所が好きみたい。そのお土産話の中でも特に、旅先で食べた料理の思い出話が面白くて。それを聞きながらスープを再現するのが、僕の楽しみでした。

「これは、現地で食べた味と似ている!」「ちょっと違うかな〜」といった彼女の感想を聞きながら、自己流のレシピにしています。

ところが、新型コロナの影響で、彼女は昨年から海外旅行に行けず、ストレスがたまっているようです。今日は、酸っぱいスープが食べたいということだから、フィリピン料理の「アドボ」をイメージしたスープを作ろう。

【手羽元のアドボ風スープ】
材料 1〜2人分
・手羽元   4本
・赤パプリカ 1個(100g
A
・水     500cc
・黒こしょう 小さじ1/
・酢     大さじ1
・しょうゆ  小さじ2
作り方
1 手羽元の骨沿いに切り込みを入れる。パプリカは乱切りにする。
2 小鍋にAを沸かし、1を入れて、10分ほど弱中火で煮込む。アクが出てきたら、都度すくう。

手羽元は骨の部分からうまみがスープに溶け込むので、骨に沿って切り込みを入れ、しっかりとだしが出るように仕上げました。酢は、鶏肉を軟らかくしてくれる効果があります。アドボは、材料を酢に漬け込んだ「マリネ」の意味。その名の通り、お酢をしっかりと利かせるのがポイント。こしょうもたっぷりふりかけましょう。

赤パプリカにはカロテンが豊富に含まれているので、抗酸化作用が働き、アンチエイジング効果が期待できます。

「このスープ。本場のアドボを思い出すんだよね〜。手羽元、食べ応えあっていいね」

大喜びしながら、手羽元をパクッと食べた彼女の頬が優しく緩みます。酸味があるから、さっぱりと食べやすいみたい。

「初めて一人旅したのはフィリピンだったな〜」

食べ物で旅の記憶を鮮明に思い出すのは、みんなにあること。少しでも旅した気分になってくれたかな。

彼女は、大満足で帰っていきました。早く海外旅行ができる日がきますように!

※この連載はフィクションです。実在の人物や店舗などとは関係ありません。

【あわせて読みたい】

エダジュン
料理研究家/管理栄養士

1984年、東京生まれ。管理栄養士の資格を取得後、「スマイルズ」に入社。SoupStockTokyoの本部業務に携わり、2013年に料理研究家として独立。「パクチーボーイ」としても活動中。スープレシピ、お手軽アジアごはんや、パクチーを使ったレシピが得意。「野菜たっぷり具だくさんの主役スープ」(誠文堂新光社)など著書14冊。ホームページはこちら