「お疲れさま。最近、ゆっくりと寝る暇がなくて疲れちゃった。目のクマも消えないし、肌もカサカサ……肌に良いスープってあるかな?」
午後10時。モコモコのブルゾンを羽織って、マスクをした彼女が、長財布を片手にふらっと訪ねてくれた。目元には疲れがにじんでいる。話を聞けば、昼から何も食べてないみたい。
「おかえり。ボリュームたっぷりの、肌にうれしいスープを作るよ!」
◇ ◇ ◇
こんばんは。エダジュンです。
彼女が帰ってきたのは、都内にある僕のキッチンアトリエ。
「おかえりなさい」の気持ちを込めて、今日も彼女にホッとするスープを振る舞います。
いつもは食いしん坊で、たくさんおいしいものを知っている彼女。新型コロナが感染拡大してからは、お取り寄せの食材なんかも教えてくれます。でも、年末に向けて仕事が立て込み、食べる暇もないほど忙しいみたい。仕事のスイッチが入ると、仕事以外が二の次になるタイプのようです。
だから、夜も深い時間に来てくれるのは、疲れた彼女の“SOS”の証し。食べることは、健康にも美容にも大切なこと。今日はほっこりサケを使った、具だくさんのクラムチャウダーを作ろう。
【まるごとサケのクラムチャウダー】
▽材料 1〜2人分
・サケ 1切れ
・アサリ缶 1缶(180g)
・ジャガイモ 小1個(80g)
・タマネギ 1/4個
・薄力粉 小さじ1
・バター 10g
・黒こしょう 少々
・牛乳 300cc
▽作り方
1 ジャガイモを1cm角に切る。タマネギは薄切りにする。
2 サケは両面に薄力粉をまぶす。
3 鍋にバターを溶かし、ジャガイモとタマネギを中火でいためる。ジャガイモの表面に焼き色がついたら、具材を鍋の隅に寄せ、サケ1切れを投入。両面をうっすら焼く。
4 3にアサリ缶を汁ごと入れて、中火で3〜4分ほど温める。牛乳を入れて弱中火で全体を煮込み、表面がふつふつとして気泡ができたら完成。最後に黒こしょうをふりかける。
先にアサリをつけ汁ごと煮込んでしまえば、牛乳で長時間煮込まなくてOK。牛乳が固まる失敗もありません。サケの表面にまぶした薄力粉のおかげで、うまみは逃げにくくなり、スープのとろみもつきます。
実は、サケは女性にうれしい食材。「リコピン」や「β-カロテン」の仲間の「アスタキサンチン」という栄養素が含まれているんです。抗酸化作用があり、紫外線によるシミ、シワ予防にも効果的。目の炎症の予防にも良いといわれていて、目の下にクマがある彼女にぴったりの栄養素です。ほかにも、ビタミンやタンパク質が含まれているので、サケは「食べる美容液」と言われたりもします。
具だくさんのクラムチャウダーが完成。
「疲れが和らぐといいな〜」
お皿を届けた瞬間、目を丸くして「おいしそう!」と笑顔がはじけた彼女。サケを崩しながら、アサリと一緒に頰張っている。
「ごはんと粉チーズももらえる?」
食欲が出てきたみたいだ。ごはんにスープと具材を載せて、チーズをふりかけ、リゾット風にして食べ進めている。よしよし、いつもの食いしん坊の彼女が戻ってきたな。
「クラムチャウダーって、アサリがメインのイメージだけど、サケもぴったりだね」
ホッとしたのもつかの間、また仕事との闘いに戻っていきました。あまり無理はしないでね。今日もお疲れさま。
※この連載はフィクションです。実在の人物や店舗などとは関係ありません。