魚たちとはいい関係 熱帯魚ショップの猫たち

いろいろな猫の生き方(95)

日本では昔から、水や自然を大事にする風習があり、金魚やメダカをめでてきたことから、魚を鑑賞するのが好きな国民性といわれています。現在でも熱帯魚関連ショップはマニアを中心に人気を集めていますが、なんと魚にとっては天敵のような存在の猫が看板猫を務めていると聞き、神奈川県横須賀市にある観賞魚専門店「中央水族館」を訪ねてみました。驚いたことに、そこにはこのお店にふさわしい、熱帯魚とは切っても切れない縁を持った猫がいたのです。 

「中央水族館」は京浜急行線「横須賀中央駅」から徒歩3分、開店50年を超える老舗。「水族館」の店名に負けないくらい、多種多様な魚を取り扱っています。あの“さかなクン”も訪れるという、知る人ぞ知るお店でした。 

レジ近くの台の上で寝転んでいるのが看板猫の「きん」(オス・歳)。精悍せいかんな顔つきは、近所の猫好きの間でも評判です。来客があろうと場所を譲りません。お客さんの方でよけていきます。

子猫の時に弱々しくお店の倉庫に逃げ込んできたというきん。成長してからは、鳥やトカゲなどを狩りの戦利品としてお披露目するほどたくましくなりました。ところで、店内には、思い切り猫の狩猟本能を刺激しそうな魚たちが泳ぎ回っていますが大丈夫なのでしょうか……。 

実はきんには先輩の看板猫がいて、その猫を見習って、魚には手を出さないのかもしれません。たまに、メダカが泳ぐ水槽の水を飲むこともあるそうですが、ぼんやりながめるだけで、魚たちとは、良好な関係を保っているようです。先輩猫とは、白黒猫の「ブータン」(メス・11歳)。年ほど前、近所の公園で暮らす外猫から、お店の看板猫になりました。公園でも人気者だったブータンはマイペースな性格の猫で、階に上がる階段脇のスペースで寝ていることが多いそう。 

そんなブータンですが、鼻の下の黒い模様は、まるでタツノオトシゴが横たわっているような柄です。うしろの水槽のタツノオトシゴと比較してみてください。びっくりです。外猫からお店に迎えられたのは、縁だったのかもしれませんね。 

2匹の関係は、きんが先輩猫に気を使っているようで、こわもてのきんもブータンにはかないません。「顔のタツノオトシゴが目に入らぬか〜」とでもすごんで、「魚が一番大事」と教育しているかもしれませんね。「中央水族館」ではお店は閉めていても、魚たちのために年中無休で水質管理をしています。生き物を扱うことは責任と覚悟が必要。そうした思いが2匹にも伝わっている気がしました。 

中央水族館
住所:神奈川県横須賀市若松町3丁目20−18
電話:046-822-2626
営業時間:午前10時~午後7時30分
定休日:毎月第2または第3水曜日(変更あり)、年始
https://www.chuosuizokukan.com/index.html

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南幅俊輔(みなみはば しゅんすけ)

盛岡市生まれ。グラフィックデザイナー&写真家。デザイン事務所コイル代表。現在、デザイン以外にも撮影、編集、執筆を手がける。2009年より外で暮らす猫「ソトネコ」をテーマに本格的に撮影活動を開始。日本のソトネコや看板猫のほか、海外の猫の取材・撮影を行っている。著書に「ソトネコJAPAN」「猫と世界遺産の街カレンダー」(洋泉社)、「ワル猫カレンダー」「ワル猫だもの」「サーバルパーク」(すべてマガジン・マガジン)、「どやにゃん」(辰巳出版)など。企画・デザインでは「ねこ検定」「パンダのすべて」「ハシビロコウのすべて」(すべて廣済堂出版)など。

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