残業で疲れた夜に、カボチャのクリームスープでほっこり

おかえりスープ (1)

「お疲れさま~。仕事で動きまわって、クタクタ。あったかくておなかいっぱいになるスープ作ってほしいな」

午後9時半。勢いよくドアを開けた彼女から、そんなリクエストがありました。夜は上着が欠かせない気温になってきました。彼女はとってもお疲れの様子です。

「おかえりなさい」

そう声をかけながら、僕はエプロンのひもをキュッと結び直します。

◇     ◇     ◇

こんばんは、エダジュンです。

彼女が帰ってきたのは、都内にある僕のキッチンアトリエ。駅から近く、商店街にひっそりとたたずんでいます。看板は出していませんが、小窓からこぼれるあかりが「オープン」の目印。仕事帰りの常連さんたちが、ひょっこりと顔を出してくれます。

「おかえりなさい」の気持ちを込めたスープで、ほっこりと温かい気持ちになって「今日も、明日も頑張ろう!」と思えるよう、みんなの背中をそっと押せたらいいなと思っています。

黒縁メガネの彼女。グレーのパンツスーツも肩や裾がぬれていて、黒革のビジネスバッグには、ノートパソコンと資料がたくさん詰め込まれているみたい。玄関に投げ出した低いヒールのかかとはすり減っていて……。

雨の中ずっと歩き回って、体が冷えているだろうな。

聞けば、仕事を持ち帰っているそうで、今日はとにかく早くおなかを満たしたいとのこと。そんな忙しい秋の夜には、旬のカボチャを使ったクリームスープを用意しよう。

カボチャと焼きベーコンのバタークリームスープ
【材料】(1人分)

ベーコン(厚切り)      80g
カボチャ(5mmほどの薄切り) 4枚
オリーブオイル        小さじ2
水              100cc
牛乳             200cc
バター            5g
パセリ            お好み
【作り方】
1 小鍋にオリーブオイルをひき、中火でベーコンとカボチャを両面焼く。
2 1に水を入れて、4分ほど弱火で温める。牛乳を入れて、さらに温めたら、バターを落とし、パセリをふりかける。

ベーコンとカボチャの両面を焼き色がつくまで焼くと、香ばしさと風味が増します。ベーコンの塩味を生かし、だしいらずでおいしいスープに仕上げます。

10分ほどで完成。

「さあ、どうぞ」

彼女は、きつく縛っていた黒髪をほどいて、両手でクシャクシャに。再びキュッとゴムで縛り、熱々のスープをゆっくりと口に運びます。黒縁メガネを曇らせながら、顔が少しほころんだみたい。

そういえば、「一回、髪を解くとリフレッシュできる」なんて聞いたことがあったな。そうしてリフレッシュしながら、毎日毎日、外では頑張って戦っているんだろうな。ここで過ごす時間くらい、ゆっくりしてね。

ここにいたのはたった20分くらいだったけど、疲れ顔もやわらいで、すぐに帰っていきました。また仕事を頑張るのかな、あまり無理しないでね。今日もお疲れさまでした。

※この連載はフィクションです。実在の人物や店舗などとは関係ありません。
エダジュン
料理研究家/管理栄養士

1984年、東京生まれ。管理栄養士の資格を取得後、「スマイルズ」に入社。SoupStockTokyoの本部業務に携わり、2013年に料理研究家として独立。「パクチーボーイ」としても活動中。スープレシピ、お手軽アジアごはんや、パクチーを使ったレシピが得意。「野菜たっぷり具だくさんの主役スープ」(誠文堂新光社)など著書14冊。