保護猫カフェ“小豆沢の森”から、我が家に引っ越してきた三毛猫“うーたん”。
3日目まで私を悩ませた、“うーたん”の食べない&トイレ未使用問題。新しい環境に変わったストレスが原因だったわけだが、私自身も初の猫暮らしで必要以上にナーバスになってしまい、“うーたん”の一挙手一投足にビクビクしていた。そんな私たちの間に流れる緊張感たるや……それはそれは大変なものだった。
かわいい「シャーーー」に変化
しかし食事&トイレの問題が解決した後……4日目の朝に感じた、互いの間に流れるやんわりとした空気。もちろん朝のごあいさつ「シャーーー」はあったものの、その声はとても小さく、攻撃性は含まれていないかわいい「シャーーー」だった。
はい、かわいい「シャーーー」いただきましたー、なんて思える余裕が私にも生まれ、この時を境に、私と“うーたん”の距離もようやく縮まり始めた。
テリトリー拡大中
~~“うーたん”との暮らし5日目~
“うーたん”の朝食&ケージ内の掃除を済ませ、4時間ほど外出。
帰宅後、自分ために昼食を作っていると、ケージ内から「ヒャッヒャッヒャッ」と鳴き声がして、外に出たそうな合図もあったため、ケージの扉を解放。いつもならば私のベッドの下に駆け込むところだが、この日はベッドとは逆方向、イスやテーブル方向へテクテクと進み、身を隠すことなく部屋の探検を始めた。
部屋の中にある出っ張ったところや家具の脚という脚に、額を“すりーっ”とこすり付けてテリトリーを拡大。
あぁ、これこれ、なんか猫暮らしっぽい光景だわ♪……と、思わずニンマリしながら部屋の端っこで“うーたん”の様子をながめていると、なんと目の前でゴロンと寝転がった。
別次元のかわいい物体
えっ、なに!?
ゴロンはケージの中か、ベッドの下じゃないの!?
うれしいやら、ビックリするやら、踊り出したい気持ちをぐっと抑え、静かにこの幸福な瞬間をカメラに収めた。
ケージ越しか、薄暗いベッド下に籠城する姿しか見てこなかった私にとって、動く“うーたん”は予想以上にユーモアあふれる存在で、とにかくかわいかった。
猫ではあるけれど、それとはまた別次元の“かわいい物体”が、目の前でゴロンゴロンと体をひねり、チラッと私を見ては「ヒャヒャ」と鳴いてくれる。
萌える鳴き声にニンマリ
ニャーンではなくヒャヒャ……小さくかすれた声でヒャヒャ、である。
かわいい見た目と「ヒャヒャ」のギャップがこれまた“萌え”で、そうかこれが“萌え”という感情なのかと、改めてニンマリ。
同じ部屋にいつつも、つかず離れずの距離感を保つ、私と“うーたん”。
私が部屋の真ん中にいると、“うーたん”はベッドの下かケージの中へ。私がキッチンやベッドの上にいると、“うーたん”は部屋のメインスペースを散策したり、あちこちに寝転がってゴロゴロしたりしている。
この部屋にもようやくなじみ始めたようなので、ケージを開放したまま、試しに4時間外出してみた。部屋の中が荒らされることは覚悟の上だったが、イスの上でずーっと寝ていたのか、全く荒らされておらず、帰宅した私を見ても無反応で……それはそれで笑えた。
初の猫暮らしのために申請してあった有休は明日の午前中まで。昨日の時点では、有休を延ばすことも覚悟していたが、その必要はなさそうでひと安心した。
明日は、私の日常が戻ってくる。と言っても、“うーたん”が加わったスペシャルな日常。
正式譲渡へ向け
~“うーたん”との暮らし6日目~
ケージを開放して迎えた初めての朝。
これまでのバタバタ、バッターン!という早朝の衝撃は音なかったが、小さな「シャーーー」をいただきつつ、新しい一日がスタートした。
“うーたん”のお世話を済ませた後、バタバタと自分の出勤準備をし始めると、彼女はケージの中に戻り、せわしない飼い主をハンモックの上で静観。「はい、いってらっしゃい」と言わんばかりの落ち着いた表情を浮かべる“うーたん”に我が家を明け渡し、会社へと急いだ。
仕事中もつい見てしまう、昨日撮った“うーたん”の写真。今頃、私のベッドの上も占拠されているのだろうか……想像するだけでほおがユルむ。
残業をしないで急いで帰宅すると、7時間ぶりの再会のせいか、「ヒャヒャ」と小さく歓迎してくれた。「もしかして、私の帰りを待っていてくれた?」と思い、そーっと指を差し出すと、一瞬戸惑いつつも“すりーっ”としてくれた。
「うーたん、新しい名前つけてもいいかな?」
正式譲渡に向け、私の心が決まった瞬間だった。
(※この物語は、実在する飼い主募集型保護猫カフェをモデルにしたフィクションです)
猫クイズ!(四つの選択肢から選んでください)
Q.猫の肉球の特徴で正しいのはどれ?
(1)しっとりしている
(2)硬くて丈夫である
(3)色はピンクしかない
(4)薄く毛が生えている
A.(1)しっとりしている
【解説】肉球には毛が生えていないことに加えて、汗腺があるのでしっとりとしめっています。
(ねこ検定公式ガイドブックより)
(Photo by 保護猫写真家ねこたろう/写真提供・協力 CAT’S INN TOKYO)
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