猫の日の前玉神社にいる“デラックス”な猫の御利益とは?

いろいろな猫の生き方(75)

まだまだ寒さが続く2月。2月22日は、猫好きの間では「ニャンニャンニャン」の語呂合わせで、「猫の日」として知られています。特に今年は令和2年、西暦2020年と2づくしで、猫の当たり年みたいなものです。そんな猫の日にふさわしい、とっても「ありがたい」猫のいる神社をご紹介します。

埼玉県行田市にある前玉さきたま神社では、人なつっこい授与所の猫、境内を案内する猫、ツンデレな猫、幻のような猫の4匹が仲良く暮らしています。神社で頒布している御朱印も、そんな個性的な猫たちをモデルにしています。いつもは毎月1匹ずつの絵柄(猫スタンプ)と22日の日付を入れた書き置きの御朱印ですが、2月の絵柄は4匹が勢ぞろいするそう。一足先に、モデルになった猫たちに会いに行ってきました。

前玉神社は平安時代の法令集「延喜式えんぎしき」に載り、千数百年の歴史を持つそうです。幸魂さいわいのみたま神社ともいい、「埼玉」の地名発祥の地として知られています。

境内に入ってすぐに授与所が見えてきます。遠目にキジ猫がいるのが見えますね。この猫が授与所を定位置にしている「きなこDX(デラックス)」のようです。

きなこDXは、ある日ふらりと神社に現れました。境内で我が家のように過ごし、参拝者からも神社の猫と思われていたので、そのままお世話をすることになったそう。

お守りが並ぶ前にごろんと横たわっているものだから、ついついみんな、なでてしまう。猫好きの参拝者からも「我が家の猫よりも人なつこい」と驚かれています。

しかも、なでなでに対して、こんなうっとりした表情をしてくれる。なんだか「ありがたい」気持ちになってきますね。

きなこDXは現れたときには避妊手術済みで、元々は人に飼われていたようです。人なつこさも納得ですね。

きなこDXにすっかり気をとられていましたが、参拝がまだでした。境内にいた茶白猫の「ガガ」に怒られてしまいそうです。

というのは「ガガ」は、この神社が大好きな猫。参拝をおろそかにする人を見逃しません。元はご近所の飼い猫でしたが、神社から飼い主の家に連れて行っても戻ってきて、ご近所さん公認の神社の飼い猫になったくらいですから。

さて、しっかり参拝しましょう。拝殿には階段を上っていきますが、実はこの拝殿は古墳の上にあるんです。高さ8.7メートル、周囲92メートルほどの浅間塚と呼ばれる古墳の上。この一帯は前方後円墳や円墳などが多く残っています。

参拝を終え広場に戻ると、ガガが参拝者になでられています。神社好きだけれど人も好きで、名前を呼ぶと寄ってきてくれることもあるそうです。

ガガもきなこDXと同様、人間とのふれあいにいやな顔もせず、このうっとりした表情を見せてくれます。

車のボンネットの上で、ころころとかわいい仕草をしていたのが三毛猫の「さくら」。生後半年程でふらりと神社にやってきた猫。避妊手術をして神社に迎え入れました。

さくらは境内で活発に過ごしています。きなこDX、ガガ、さくらの3匹は、べったりと仲良しというわけではありませんが、見知らぬ猫がきたら、3匹で協力して神社内に入らせないようとします。神社を守るという自覚で心はつながっているようです。

残念ながら黒猫の「ミント」には会えず、代わりに猫おみくじの写真を。猫好きの参拝者から要望があり、「お守り」など猫にまつわる頒布物も増えていったそうです。ミントは職員の家の猫ですが、庭の奥や山側にいることが多く、あまり出てこないので、幻のような猫です。逆に姿を見られたらレアですね。

去年の猫の日に頒布した4匹がそろった御朱印。猫印(スタンプ)がかわいいと、大勢の人が詰め掛け、神社の境内には何重もの列ができたそうです。今年の猫の日は、書き置きの御朱印が頒布されます。新たなバージョンは、22日と日付を入れて2月20日~26日の午前9時から午後4時30分まで頒布するそうです。
※ただし22日(土)は大変混雑が予想されますので、なるべく平日に来てほしいそうです。

去年の猫印にあるように、箱入り姿がトレードマークだったきなこDX。元は「きなこ」という名前でしたが、徐々に体形が“デラックス”になり、箱の大きさも変わり「きなこDX」が正式名称になったそうです。

同神社の田島宮司によると、遠方から何度も猫目当てに参拝に訪れる人もいて、それぞれ推しメンがいるそう。「みなさん猫をなでて癒やされているんだと思います」

参拝の際には手水舎で手を清めましょう。ガガからのお願いね。

周辺は前方後円墳や円墳などが多く残る、全国有数の大型古墳群「さきたま古墳群」です。前玉神社を訪れた際は、ぜひ古墳に上ってみてください。

猫たちと触れ合ったら手洗いしてね。

前玉神社さきたまじんじゃ
所在地:埼玉県行田市大字埼玉字宮前5450
TEL:048-559-0464
ホームページ:https://sakitama-jinja.com

南幅俊輔(みなみはば しゅんすけ)

盛岡市生まれ。グラフィックデザイナー&写真家。デザイン事務所コイル代表。現在、デザイン以外にも撮影、編集、執筆を手がける。2009年より外で暮らす猫「ソトネコ」をテーマに本格的に撮影活動を開始。日本のソトネコや看板猫のほか、海外の猫の取材・撮影を行っている。著書に「ソトネコJAPAN」「猫と世界遺産の街カレンダー」(洋泉社)、「ワル猫カレンダー」「ワル猫だもの」「サーバルパーク」(すべてマガジン・マガジン)、「どやにゃん」(辰巳出版)など。企画・デザインでは「ねこ検定」「パンダのすべて」「ハシビロコウのすべて」(すべて廣済堂出版)など。

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