浅草、蔵のあるカフェの看板猫「すずのすけ」の熱視線

いろいろな猫の生き方(74)

東京・浅草にあるカフェ「ギャラリー・エフ」は、築150年を超え、文化庁登録有形文化財に指定されています。店内の蔵はアートスペースとして利用されており、展示やイベントが日々、催されています。そんな歴史を感じさせるカフェの自慢はもうひとつ。かわいい看板猫「すずのすけ」(6歳・オス)の存在です。初代看板猫「銀次」もおもてなしをする猫として猫好きの間で有名でしたが、すずのすけも先代に負けず劣らず、高いおもてなし力を発揮しています。

すずのすけの名前の「すず」は、鈴ではなく金属のすず。カフェの経営母体が特殊金属販売と加工業なので名づけられました。先代の「銀次」も金属の「銀」が由来で、創業者の銀次の名前をもらいました。

お店は、作業場と駐車場だった1階を改装し、ギャラリー&カフェとして1997年にオープン。奥には重厚な蔵の入り口が見え、アンティーク家具に囲まれた、落ち着いた空間です。

2013年12月、惜しまれつつ亡くなった先代「銀次」のお葬式が、蔵で盛大に営まれました。その半年後、生後6か月のすずのすけが、2代目看板猫に就任。人気の看板猫として、本の表紙にもなりました。

カフェの奥にある蔵は大変貴重なもので、1868(慶応4)年に建てられました。関東大震災や東京大空襲にも耐え、150年以上たった現在もその形を残しています

すずのすけの顔がきれいに映り込んでいる床は、1996年の改装時に漆塗りが施されました。1階は黒、2階は朱色。展覧会開催中でなくても希望者の方に公開されています。

猫にちなんだ展示や、イベントも多数開催されています。そのひとつ、東日本大震災で被災した福島・飯館村の猫たちの写真展が、実はすずのすけとの縁となりました。

オーナーが、被災した猫たちのボランティア活動で現地に出かけた際に、偶然、出会ったのがすずのすけです。立ち寄ったサービスエリアにポツンと1匹でいたところを保護したのです。

骨折していたので、しばらくは蔵の中にケージを置いていました。すずのすけは、最初はそこにいましたが、現在は主に2階の事務所で過ごしています。お客さまからのリクエストがあれば、フロアに降りてきて看板猫ぶりを発揮する毎日です(状況によってはお待たせしたり降りてこなかったりすることもあります。スタッフより)。

すずのすけがフロアにいるときは、脱走を防ぐため入り口の扉にはこんなプレートが掲げられます。猫が苦手なお客さまへも配慮し、猫がいることを伝えています。

とはいえ、すずのすけはお利口さんで、フロアで大暴れなんてことはありません。静かに猫好きさんのテーブルを回ったり、お気に入りの場所で寝入る姿を見せたりと、接客意識高い系なのです。

触られても、抱っこされても基本的には大丈夫。子どもがベタベタ触っても、多少はじっとしていられる。猫は本来、子どもが苦手なハズなのに……。オーナーによると、耐えている姿がけなげなのだそうです。

そんなわけで、すずのすけはご近所さんや常連さんからも大人気。毎日替えているオシャレな首輪は、そんなファンからの貢ぎ物だそうです。

自分を待ちわびるお客さまがいないと不満げな様子だったり、ギャラリー利用者の搬入作業に割って入ってきたりと、根っからの人好きのすずのすけ。道行く人にも新たに自己アピールです。

ギャラリー・エフは都営浅草線の浅草駅A5出口のすぐ近く。でも雷門周辺と違い、落ち着いた雰囲気です。お店に引き寄せられ、入店する外国人のお客さまも多いそうです。

もちろん、すずのすけも一役買っています。なにしろ道を歩いていて、こんなかわいい猫の視線に遭遇したら、無視することはできませんものね。すずのすけの看板猫ぶりに脱帽です。

浅草に来たら、すずのすけとおいしいコーヒーとスイーツを、ぜひ楽しんでください。写真はカボチャのチーズケーキとエフブレンドフレンチローストのセット850円(税別)。

店内フロアでは現在、山手線内にある蔵の写真展を開催中。もちろん、ギャラリー・エフの蔵の内部の写真も展示されています。

ギャラリー・エフ
所在地:東京都台東区雷門 2-19-18 
TEL:03-3841-0442
定休日:火曜日
カフェ 11:00~18:00
ランチタイム 12:00~14:30
バータイム 水曜日 18:00~23:00
      金曜日・土曜日 18:00~24:30
ホームページ:http://www.gallery-ef.com/j.htm

南幅俊輔(みなみはば しゅんすけ)

盛岡市生まれ。グラフィックデザイナー&写真家。デザイン事務所コイル代表。現在、デザイン以外にも撮影、編集、執筆を手がける。2009年より外で暮らす猫「ソトネコ」をテーマに本格的に撮影活動を開始。日本のソトネコや看板猫のほか、海外の猫の取材・撮影を行っている。著書に「ソトネコJAPAN」「猫と世界遺産の街カレンダー」(洋泉社)、「ワル猫カレンダー」「ワル猫だもの」「サーバルパーク」(すべてマガジン・マガジン)、「どやにゃん」(辰巳出版)など。企画・デザインでは「ねこ検定」「パンダのすべて」「ハシビロコウのすべて」(すべて廣済堂出版)など。

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