あいさつ回りは完璧な「相島」の猫たち

いろいろな猫の生き方(73)

新年も1週間を過ぎました。仕事始めで、取引先や社内へ新年のあいさつはしっかりできましたか? かしこまってあいさつするのは、なんか照れくさかったり面倒だったりして、苦手な方もいると思います。猫の世界へ目を移すと、意外なことに猫同士ではキチンとあいさつをしているんです。特に多くの猫が共存する猫島では、感心するぐらいあいさつ回りをしています。「自由気ままに生きる」を象徴するような猫たちの存在ですが、実はしっかり礼儀を通しているから、自由を得ているのかもしれません。九州・福岡にある猫島「相島あいのしま」(玄界灘に浮かぶ福岡県糟屋郡新宮町の島)で、社会人のお手本のような猫たちの様子をリポートします。

福岡にある猫島「相島」は玄界灘に浮かぶ小さな島。新宮町の船乗り場から約17分でたどり着きます。

「相島」はかつて、米・CNN.comが世界6大猫スポットとして紹介した場所のひとつ。アメリカの「ヘミングウェイ博物館」、台湾の「ホウトン」など、日本からは宮城県・田代島とともに選出されています。

「相島」を訪れたのは今回で2回目。前回に引き続き、島内にある神社の境内で猫たちと遭遇できました。

さて、そんな境内を縄張りにしている猫の背後から、いかにもボス然とした茶色い猫が近づいてきました。

振り返って、しっかりボス的な猫に鼻を近づけます。この振る舞いは人でいえば、会釈にあたるといわれています。

いわば猫のあいさつ。ボス猫を追っていけば、代わる代わる他の猫たちからあいさつを受けている姿を目撃できるのです。

もちろんボスに対して行われる以外にも、猫同士のあいさつも見られます。お互いの信頼の証しでもあります。

ほほ笑ましい光景ですね。お互いに歩み寄ったり、片方が一方的にしたり、猫同士の関係も垣間見えます。

「猫島」なので、猫たちが密集することもあります。猫同士の関係を良好に保つためには、あいさつは必要不可欠ですね。

また集団で過ごしていても、ある程度の距離感を保っているところも、猫たちの生活の知恵のような気がします。

ところで相島は、今でこそ「猫島」として知られる存在ですが、もともと歴史と景観が自慢の観光に力を入れていた島のようです。

船付き場のある港にも観光案内所の「島の駅」があり、トイレはもちろん売店やカフェも併設されていて、とても利用しやすい島です。

また、建物内には猫への接し方など島内でのルールも掲示してあるので、まずここで情報収集することをお勧めします。

相島の猫たちはとにかく人懐こいと、島を訪れた人に評判のようです。撮影のモデルを務めたり、観光客をもてなしたりします。猫同士だけでなく、人に対しても礼儀正しいんですね。

海外からの観光客たちにも、積極的におもてなしをしていました。港前のベンチに腰掛けようものなら、すぐに猫たちが集まってきます。これも猫同士でするのと同じ、あいさつの一環かもしれません。

時期にもよりますが、運が良ければかわいい子猫たちにも出会えそうです。でも、大人猫と違い、まだまだ人懐こいとはいえないようです。

あっという間に草むらに隠れてしまいます。写真を撮るのはこのくらいにしておきましょう。これをきっかけに人嫌いになってしまっては困りますから。

子猫たちはまだ、不安な気持ちでいっぱいの様子ですが、これから大人猫のようにあいさつを通して他の猫や人間とのつき合い方を学んでいくのでしょう。

あいさつは社会人の基本です。さあ、私たちも、猫を見習って感謝の心を込めてあいさつをし、自分にも相手にも晴れやかな気持ちで新年をスタートさせましょう。

南幅俊輔(みなみはば しゅんすけ)

盛岡市生まれ。グラフィックデザイナー&写真家。デザイン事務所コイル代表。現在、デザイン以外にも撮影、編集、執筆を手がける。2009年より外で暮らす猫「ソトネコ」をテーマに本格的に撮影活動を開始。日本のソトネコや看板猫のほか、海外の猫の取材・撮影を行っている。著書に「ソトネコJAPAN」「猫と世界遺産の街カレンダー」(洋泉社)、「ワル猫カレンダー」「ワル猫だもの」「サーバルパーク」(すべてマガジン・マガジン)、「どやにゃん」(辰巳出版)など。企画・デザインでは「ねこ検定」「パンダのすべて」「ハシビロコウのすべて」(すべて廣済堂出版)など。

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